テラーノベル
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朝、教室に入ると、
いつもより少しだけ空気が軽かった。
💎「おはよー!」
🐤「おは!」
りうらの声が、やけに明るい。
🐱「今日なんかええことあった?」
いふが聞く。
🐤「え、分かる?」
りうちゃんは笑って、少し照れた。
🐤「昨日のやつ、先生にめっちゃ褒められたの!」
🐱「すごいやん!」
🍣「さすがりうら!」
拍手みたいな笑い声。
——あ、そっか。
胸の奥で、
何かが小さく鳴った。
💎「おめでとう」
ちゃんと笑って言えた。
声も震えてない。
🐤「ありがとう!」
りうらは、素直に嬉しそうで。
その顔を見て、
また胸が、ちくっとする。
授業中。
りうちゃんが当てられて、
きれいに答える。
「いいね」
「よく考えてる」
先生の声。
ノートを取りながら、
自分の字が少し歪んでいるのに気づく。
——僕だって、考えてた。
——同じくらい、やってた。
そんな言葉が、
頭の中に浮かんでは消える。
……言い訳みたいで、嫌だ。
休み時間。
🍣「りうら、ほんと最近調子いいよね」
ないちゃんが言う。
🍣「無理しない?」
🐤「大丈夫!ちゃんと話聞いてもらってるし…」
……話、聞いてもらってる。
その一言が、
胸の奥に、すっと入ってくる。
アニキが、ちらっとこっちを見る。
でも、何も言わない。
昼休み。
りうちゃんが、ないちゃんと話してる。
🐤「昨日、家でちょっとしんどくて」
🐤「でも聞いてもらったら、楽になって」
🍣「えらいな」
🍣「ちゃんと頼れてんじゃん」
“頼れてる”。
その言葉が、
自分には向いてない気がして。
🐰「いむくん?」
呼ばれて、顔を上げる。
🐰「大丈夫?」
🐰「ぼーっとしてんで?」
💎「あー、ごめん」
💎「ちょっと考え事」
嘘じゃない。
でも、本当も言ってない。
放課後。
帰り道。
りうちゃんが、少し前を歩いてる。
みんなに囲まれて、
楽しそうに笑ってる。
——眩しい。
そう思った瞬間、
胸が締め付けられる。
💎「……最低すぎるでしょ」
小さく、呟く。
嫌いなわけじゃない。
むしろ、大切だ。
なのに。
💎「羨ましいって思うとか」
💎「そんなこと、思う資格ないのに」
自分で自分を責める。
アニキが、隣に来た。
🦁「今日、しんどそうやな」
💎「……そう?」
🦁「おん。分かりやすいw」
少し笑う。
💎「別に、何かあったわけじゃないよ」
💎「ただ……」
言葉を探して、
見つからない。
家に帰って、
部屋に入る。
制服を脱いで、
ベッドに倒れ込む。
天井を見ながら、
昼の光景を思い出す。
りうらの笑顔。
みんなの声。
「おめでとう」。
💎「……僕、なにやってるんだろ」
素直に喜べない自分が、
一番嫌いだ。
「りうちゃんは、悪くない」
何度も、頭の中で繰り返す。
「ちゃんと頑張ってたし」
「ちゃんと、しんどいって言えたし」
……言えた。
そこに、
全部が詰まってる気がした。
スマホを見る。
りうらからのメッセージ。
🐤「今日ありがと!
ほとけっち言ってくれたの、めっちゃ嬉しかった!」
指が、止まる。
嬉しかった。
その言葉に、胸が痛む。
💎「こちらこそ。
本当におめでと!」
送信。
ちゃんとした言葉。
ちゃんとした文面。
——ちゃんと、してる。
布団に潜り込んで、
声を殺して息を吐く。
💎「僕もさ……」
言いかけて、止まる。
💎「僕も、しんどいんだよ……」
その一言が、
どうしても言えなかった。
涙は出ない
でも、
胸の奥が、じわじわ痛む。
——羨ましい。
——置いていかれそう。
そんな感情を持つ自分が、
恥ずかしくて、情けなくて、
💎「……誰にでもある話、なんだろうね」
そう思っても、
楽にはならない。
スマホが鳴る。
悠祐:
「比べんでもええで」
短い文。
見られてたんだな、って思う。
🦁「それ、悪いことちゃう」
その続きは、ない。
画面を閉じて、
目を閉じる。
——比べたくなかった。
——でも、比べてしまった。
それだけのこと。
それだけなのに、
今日は、やけに苦しい。
「羨ましい」って気持ちは、
いつから悪者になったんだろう。
第6話
“比べてしまう夜”
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