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br✖️shk
頭の奥底から割れそうなほどに響く蝉の声
走り、焦るほどどこからともなく出てくる汗
病室のドアを開ける
こんな夏が僕は嫌いだ
shk 「えっと…どなたでしょうか…?」
いつもの君に似つかない敬語
br「えっと…」
君を見るのが辛い。
そう、思ってしまった
shk「友達ですかね…?自分が記憶喪失だってことは聞いているんですけど…」
shk「やはり、実感が湧かないもので」
いつもと違う口調。
見た目も表情も彼そのものだが、
どこか違う。
何か違う。
僕にしかわからないその変化
だからこそ辛かった
br「えっと…僕は、ぶるーく。」
br「君の…」
shk「俺の…?」
br「友達だよ…!」
shk「そうなんですね…!ぶるーくさん…ですね?」
はじめ、病院から電話があった時、
こんなベタなシナリオがあるものかと思ってしまった
でも、現実だった
アニメでのこの状況では、よく僕側視点で描かれていく
今なら、その主人公達の気持ちが、
痛いほどにわかる気がした
医者の説明では
「逆行性健忘」つまり過去の記憶が消えてしまっている
と言うことだった
やはり、記憶が戻ることもあるらしい
ここが二次元ならば、記憶が戻ってハッピーエンドなのだが、
やはり、現実はそうともいかない
シャークんの記憶は戻らない。
いつも通りの日常に、急な亀裂が生じた
その亀裂はだんだんと広がり、僕の足元にまですぐに及んでしまいそうなほど
広く、広がっている気がした
br「シャークん、記憶は戻った?」
shk「ううん、全く。」
br「そっか」
あれからと言うもの、僕はほぼ毎日お見舞いに来ている
シャークんが記憶を取り戻すことはやはりなかった
だが、僕らの中には少しずつだが、信用の糸が繋がっていった気がした
br「シャークんに伝えなきゃいけないことがあるんだ。」
shk「何?」
ある程度の信用を得たら話そうと思ってた。
br「僕は君が好きだった」
shk「そっか」
君の寂しそうな顔
窓からの逆光でもわかるほどの。
何年一緒にいただろうか
そんなに一緒にいたら、やっぱり表情の変化にも敏感になってしまう
以前なら、その表情は、僕の感情が昂りすぎて発した
何気ない一言に 向けられる表情。
でも、それも以前の話だ
shk「俺は…記憶がなくなった俺の勝手な考察としては、」
shk「俺とお前は、きっと恋人だった。」
shk「違うか?」
br「…当たってるよ」
shk「そうか、やっぱりな」
shk「普通、ただの友達ならほぼ毎日のように花を変えに病室にはこねぇよ」
感がいいところは変わっていない。
でも、それですら辛い。やめてほしい。
僕が、もう一度
君に恋をしてしまうから。
そう思ってしまってからはもう早かった
br「好きだったなんて、本当は嘘だよ」
br「今でも好きだよ」
br「でも…何か後ろめたさがあったんだ」
br「記憶がないシャークんに僕らは恋人だった。これからも恋人でいてくれる?
って言ったら、絶対にいいよって言ってくれる」
br「そんな君の優しさに漬け込むのが嫌だったんだッ!」
shk「…俺は、正直に言うとお前がそこまで好きじゃないよ」
shk「いつもヘラヘラして、笑って誤魔化してはまた寂しそうに空を見る」
shk「なんで、そんな悲しそうな目で俺を見てくるんだ。って」
shk「俺は…俺は…、多分お前が好きだよッ!」
shk「人間やっぱ、本能には逆らえないんだと思うよ」
shk「昔の俺が、お前のことを思い出せって、うるさかった気がするから」
shk「でも、記憶がなくなっても俺はお前が好きだよ」
shk「記憶がなくなっても俺は、シャークんであり、お前の恋人だよ!」
((何があっても俺は、シャークんであり、お前の恋人だよ‼︎))
その言葉は、あの日、君が僕のプロポーズを受け取ってくれた時の言葉に似ていた。
やっぱり、シャークんは、シャークンなんだ
そう思うと同時に何か目に溜まるものができていた
それは重力に沿って落ちていった
ずっと言いたかった言葉。ずっと我慢してきたこと
二人、夕日の差し込む静かな病室でキスを交わす
br「愛してる」
shk「俺も。」