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愛の重い4機捜隊員

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愛の重い4機捜隊員

2 - 第2話 安心、ってやつ?

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2025年07月27日

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夜中。
志摩んちのリビングの隅っこに、久住はブランケットをかぶって丸くなってた。

畳んだ布団の上じゃなく、なぜかソファの端。布団は使われてすらいない。


伊吹がリビングにそっと入ってきて、足音を忍ばせながら覗き込む。


「……ちっさ。なんか久住、ちっさくなってね?」


「最初からちっさいよ」


志摩も眠そうな目でキッチンから水を飲みながら返す。

それでも目線は久住に向けられていた。


久住はというと、くるんと身体を丸めて、膝を抱えてブランケットの中にすっぽり。

髪が少しはみ出てるくらいで、あとは全部包まってる。


伊吹が眉をひそめる。


「なんか、あいつ猫みたいに丸くなってんじゃん……こないだまで爆弾ぶん投げてたやつとは思えねぇ」


「……こういうとこだけは、ちゃんと生きてるって感じするな」


志摩がぽつりと言った。


しばらくふたりとも黙って見ていると、ブランケットの奥から小さく「くしゅっ」とくしゃみ。

そのあと「ん……さむ……」と寝言のような声が漏れて、さらに深く丸まった。


伊吹、つい笑ってしまう。


「なにこの現象。めっちゃ警戒心強い野良猫が、急にストーブの前に寝転がったみたいな……」


「少しは気を許したってことだろ。あいつなりに」


志摩はそう言って、久住のすぐそばにあったタオルケットをそっとかけ直した。


「……起きたら絶対文句言うな、これ」


「絶対言う」


「『触んなや』『勝手なことすんなや』『夢に伊吹出てきて最悪やったわ』って三連コンボで来る」


「言うな、フラグ立つ」


ふたりしてぼやきながら、それでも久住にかけた毛布だけは丁寧だった。


「……まあ、文句言うってことは元気ってことか」


「うん。そんときはまた、捕まえてやればいい」



ブランケットの奥で、久住がひとつ深い息をついた。


それはたぶん、久しぶりの“安心”の音だった。


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