TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

合格発表から数日。少しずつ春が近づく中、陽はずっと考えていた。

卒業式を前に、どうしても伝えたい想いがある。


——このままじゃ、絶対に後悔する。


陽は澪を呼び出した。

場所は、2人にとって特別な場所——あの図書館の裏庭。

春の気配を乗せた風が、2人の間をやさしくすり抜けた。


「……澪」

陽はぎこちなく、でもまっすぐに呼んだ。


澪も、ふっと笑って、陽を見つめ返す。


「ずっと、言いたかったんだ」

胸の奥から、言葉があふれ出す。


「俺、ずっと澪のことが好きだった。……これからも、ずっと一緒にいたい」


静かな空気の中、陽の声だけがはっきりと響いた。


澪は少しだけ驚いた顔をして、それから、ふっと微笑んだ。


「……私もだよ」


そして、小さく声を震わせながら、こう続けた。


「ずっと、待ってた。」


次の瞬間——


澪は陽に、ぎゅっと抱きついた。


まるで、これまでの不安や迷いをすべて包み込むように。

陽もそっと、澪を抱きしめ返した。


心臓の鼓動が、お互いに伝わるくらい近くで。


——春の匂い。

——あたたかな風。


世界に、2人だけしかいないみたいだった。

loading

この作品はいかがでしたか?

2

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚