『兄さん兄さん!私今回のテストもまた学年一位だったよ!?凄くない!?』
ni「はいはい、すごいね〜、学校では先生って呼べ」
休み時間、教卓で次の授業の準備をしている教師に堂々とタメ口で話す女子生徒。
低めの背に、白髪のストレートロング、そして珍しい水色の瞳はどんな男子生徒でも虜にさせてしまう。
所謂モテる女だ。
『いいじゃん別に、家族なんだから』
彼女の名前は 〝 水乃 ことみ 〟
高校一年生でテスト常に学年一位、更にモテクイーンとも呼ばれる何でもこなせてしまう女子生徒だ。
そして彼女と話す教師が 〝 紫雲 新井 〟
歴史の教科を担当していて、ことみの母の兄。
ことみの母が病死した際、彼が引き取って自身が教師をしている学校に転入させた訳で、校内のちょっとした有名人である。
が、本人は気づいていない様子。
「あ、水乃さんまた兄さんにだる絡みしてる〜w」
「飽きませんね、水乃さんも」
ことみと新井が話していると、後ろから二人のクラスメイトの男子生徒がからかうように話に混ざってくる。
ことみは二人を見るなり嫌そうに顔を顰めた。
『また貴方達ですか』
顔を顰めたことみは更にため息をついた。
だが、そんなことみを見ても尚二人の男子生徒は離れようとしない。
ni「チーノ、お前等も俺を先生と呼べないのか」
shp「先生、此奴が先生って呼べると思います?」
ni「思わんな」
ci「酷」
泣くふりをしてショッピに縋り付くチーノ。
そしてだるいとでも言うような顔をするショッピを見て笑うことみは教室にいる男子生徒全員の視線を引き付けた。
『二人共生徒会の仕事は終わったんですか?』
ni「その敬語を俺にも使えよ」
『ちょっとうるさい』
まるでコントのような会話をする二人。
二人が家族だと知らない生徒からすれば、本当に教師と生徒という関係なのかが怪しく見えてしまうほど仲良しだ。
shp「俺とチーノはもう終えてるんで、そんなにいて欲しくないですか?」
『…別に』
ことみはそっぽ向いてからそう言って自身の席へ戻って行った。
ci「あちゃー、仲良くなる前とそっくりやなぁ」
席に戻っていくことみの背中を見つめながら、そういうチーノ。
そしてその言葉にショッピも兄さんも二人共共感というように頷く。
shp「あの人はなんも変わってへん」
〝 何も 〟
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