「いつも『柩』(コフィン)って口で言ってるじゃん?なんで“アレ”を陰陽術化(レイノウカ)しないのか、あたしには不思議なんだけど??」
「ああッ‼︎?」
ーーいや、たしかに。今考えると、不思議だ。『柩』(ヒツギ)という名の道具で、『柩』(コフィン)という名の陰陽術(レイノウ)を使っているワケで。『柩』(ヒツギ)を持っていても、『柩』(コフィン)が使えなければ意味はない。なぜ道具を媒介にしているのかすら、ボクにもわからない。ーーもしかしたらーー
「はッ‼︎?柩(ヒツギ)無しで『柩』(コフィン)を使え?無理だっていったろーがッ‼︎‼︎」
「へー。気づいたんだ?そッ!楽器みたいなモノだよ。楽器自体に意味はない。“奏者”がいて、初めて音を奏でるでしょ?『柩』だって、ただの道具にしか過ぎないんだよ??偉い偉い‼︎‼︎」
バカにされてる。ーーまぁ、でも。たしかにーー
「んだとッ‼︎?バカにしてんじゃねーッ‼︎‼︎」
ーー感謝は。やっぱ、無理だよな。でも、せっかくの機会だし、試してみる価値はある。こんな機会でもなければ、『柩』(ヒツギ)を使わずに、『柩』(コフィン)を使うなんて。普段の霊退治なら危険(リスキー)過ぎて、絶対に、試すなんてことは出来ないから。発動しなければ“終わり”だし。やってみるか。
「やってやる‼︎柩ッ‼︎‼︎‼︎(コフィン)」
「なぁッ‼︎?ちょっと、待ッ」
一瞬。少女の周囲を取り囲むように“黒い楕円形の物体”が”スッ”と輪郭を現し、少女の足元にある半月状タイルを”ガラガラ”と崩した。紛れもなく、“あの時”。車掌(結局は、ぬいぐるみだったけど)の呪縛霊を倒した陰陽術と同じ類の感覚。まさか、これっまてーー
「危ないじゃないのよッ‼︎‼︎死んだらどーすんだのよ‼︎‼︎?」
「おおッ‼︎‼︎?な、なんで??」
うん。まぁ、発動するかも。って分かってたら、ボクも止めたんだけどね。仕方ないとはいえ、封印術(サカイ)で死なせ掛けたのは謝ってーー
「ハッ‼︎‼︎あのまま逝っちまえば良かったなぁッ」
ーーそれも、無理か。それは、それとして。一応、しっかり『柩』(ヒツギ)なしの『封印術』(サカイ)を発動し掛けたのは“進歩”だ。これならあの子にだってーーー
「んー。“わかった”みたいだね??ちょっと手間取ったけど、“ゲームクリア“だね」
ーーーえ?
「あッ‼︎‼︎?ゲームクリアだァッ‼︎‼︎‼︎?」
そうそう。まだ『柩』(ヒツギ)と『封印術』(サカイ)について、わからないことも沢山あるしーーー
「おまえブッ殺すまでやんだよ‼︎‼︎‼︎」
ーーそっちかいッ。
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