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どうしても登場人物を平等に活躍させるにとか、この場面に登場させるキャラの配置を考えるのが思ってたより難しいです……。まあここまで来たんだし、頑張って続けます。
一番悩むのが、生徒と囚人の戦闘力の差。神秘ってなんですか??
「現在のアビドス自治区を所有しているのは、カイザーコンストラクション……そう書かれています」
「アビドス自治区をアビドスが所有できてないって……どういう事なの!?」
ーー朝。
先生と共に調べ上げ、とある情報を入手した。そして、このアビドス高等学校の一室。そこに対策委員会の面々と大人達が集められていた。
いつもの会議室のテーブル。そこには、とある資料と地図が広げられていた。
“うん……これを見る限り、ここの土地を買ったのはカイザー、そう書かれてる”
「砂漠化が進行している市街地から、そうではない場所まで……かなりの範囲を取ってますね」
「……柴関ラーメンも?」
〈そうみたい。数年前からこのことを知ってて、退去命令が出てたらしい……〉
「そんな……どういうこと!?」
対策委員会からは次々と批判の声が相次ぐ。それもそのはず、彼女らはそもそも、この事実を知らなかった、理不尽な事だったからーー。
「なあ、気になったんだが……何でカイザーの野郎は砂漠まで貰ってんだ?あんな使い道もねぇ場所を欲しがる奴なんかいるか?」
ヒースクリフが顔を上げ、そう問う。
確かに、砂漠化が進行している市街地に加え、何故か進砂漠と化した場所までカイザーが所有している。
「確かそこは、アビドス高等学校の本館があった場所だね……今はもう使われてないけど」
“本館が……?”
生じた疑問にホシノが答えるが、尚更謎が増えるばかり。
使われていない本館……。それなのに何故かカイザーは欲していた……。土地があっても、結局使えないはずだが……。
「土地の売却名義……これって」
「アビドス生徒会……これを決めれるのは生徒会長だけ」
「生徒会が……!?」
「学校の土地を売る!?それもカイザーコーポレーションなんかに!?」
「どうどう、子猫ちゃん!ここで焦っても、何の解決につながらないわ」
「それはそうだけど……!」
ホシノから次々と、情報が取り上げられるが……どれも理屈に合わず謎が謎を呼ぶ状況へと陥ってしまう。
「まさか知らぬ間に、こんな大事になっていたなんて……」
「……それぞれの学校の自治区は、学校のもの。余りにも当たり前の常識です。当たり前すぎて、借金の方にばかり気を取られて、気づく事は出来ませんだした……私がもっとこの事に早く気がついていれば……!」
「ううん、アヤネちゃんの落ち度じゃないよ。これはアヤネちゃんが入学するよりも前の……いや、対策委員会ができるよりも前の事なんだから」
「ホシノ先輩、何か……いや随分知ってるね?」
「……まあね。おじさん、昔生徒会の副会長やってたからね」
「えっ!?そうなの!?」
その事実を知り、私たちはホシノへと注目する。だが、彼女は、どこか照れ臭そうに、あるいは、何かをはぐらかすように、話を続けてくれた。
「うへ~……。そんな、おじさんに熱い視線を向けても……。あんまり、関係するような情報は出てこないかな……。ただ、その頃のアビドスの生徒は、もう、二人しかいなかったのと。その時の生徒会長の先輩が、ちょっとおバカさんで、いっつも、私が世話を焼いてたな~、ってことくらいしか……」
「生徒会長が、バカって……。それ、ちょっとまずいんじゃ」
「アビドスの全生徒が、二人しかいなかったんですから。そうなってしまうのも、仕方がなかったのかもしれませんね」
「いやぁ、実際、生徒会なんて肩書を持った、ただのバカ二人だったし……。何の間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって……。いや~、あの時は、本当に、あちこち走り回ってたよねぇ。ほんと、バカみたいにさ。なーんにも、知らないまま……」
ホシノは、まるで遠い昔を懐かしむように、そう呟いた。
囚人との関わりからだろうか。その瞳の奥に、一瞬だけ、誰にも見せない、深い寂しさの色が浮かんだのを、私はどうにも見逃せなかった。
「そんな卑下する事はねぇぞ。だって今でも、お前のおかげかわからねぇが、ここが残ってるじゃないか」
「ヒースクリフ君……?」
「そう。いつもは怠け者だけど、ここぞって時に誰よりも前に立ってる」
「そうです。セリカちゃんが誘拐された時、真っ先に先生方に助けを求めたのもホシノ先輩でしたし……」
「うへっ?そうだっけ?」
彼女はそう照れ隠しかのように問い返すが……私自身、その現場に居合わせてないから分からないが……確かに、彼女ならそうするだろう。
“うん、いつも本陣切ってくれたね”
「えっ!?私、その事知らなーー」
「ちょっと!雰囲気壊さないでくれます?」
「なっ、何!?急に耳元で囁いて……」
「っていうか、なんで急にそんな青春っぽい台詞を……! おじさん、こういう雰囲気、ちょっと苦手なんだけど!?」
ホシノが、本気で照れながら、わたわたと慌て始める。
「……や。なんとなく、言おうと思っただけ」
「えっ……? えぇ……?」
その、少しだけ気まずく、しかし温かい沈黙を破ったのは、ヒースクリフだった。 彼は、話を逸らすように、テーブルの上に広げられた地図を、再び指さした。
「……まあ、それはもういいだろ。それよりだ。やっぱりこっちの方が、オレは気になる」
「……例の、砂漠の土地のこと、ですか?」
「ああ。アンタらがいくら昔の話をしたって、結局一番の謎はそこだろ。なんでカイザーの野郎どもは、あんな使い道もねぇただの砂漠を、わざわざ買い取ってまで欲しがったんだ? そこに、
何か理由がなけりゃ 話が合わねぇ」
ヒースクリフの、そのあまりにも的を射た一言に、教室の空気は再び真剣な議論の色を取り戻していくのだった。
「……どうして前の生徒会は、カイザーコーポレーションなんかに、アビドスの土地を売ってしまったんでしょうか?」
「……実は、裏で手を組んでたとか」
「ないでしょ、普通」
「うーん、中々答えは出そうにないねぇ。こういう時は、何か知ってそうなそこの大人たちに聞くのが一番だよ~」
ホシノはそう言うと、私たち大人組の方へ、にこりと笑みを向けた。 その全てを見透かしたような視線を受け、イシュメールが代表するように、私と先生へと向き直る。
「……先生、ダンテさん。あの件……ロボトミー・コーポレーションの件、彼女たちに話しても?」
その問いに、先生と私はほぼ同時に頷いた。
“うん。もう、みんなで知っておくべきだと思うな”
〈そうだね。ここからは、全員で、同じ情報を持って進むべきだろう〉
私たちのその穏やかな返答を聞き、イシュメールは覚悟を決めたように、対策委員会の面々へと改めて向き直った。
「皆さん、落ち着いて聞いてください」
彼女は一度、深く息を吸い込むと、このアビドスに隠された最も深いだろう、そして危険な真実を静かに語り始めたのだった。
「朗報なことに、私たちの手には、この問題を解決する、極めて重要な手がかりがあります」
「おおっ! 待ってました!」
「……ん。先生、これって、あの風紀委員長の?」
“うん。それと、深く関係することだよ”
イシュメールの言葉に、先生は静かに頷くと、自らがゲヘナの風紀委員長、ヒナから直接聞いたという情報を生徒たちに語り始めた。
“ヒナから聞いたんだ。カイザーコーポレーションは、今アビドスのあの捨てられた砂漠で、何か大規模な秘密の活動を行っている、とね”
「砂漠で……!?」
〈そして、イシュメールが、ウーティスから得た情報によると……〉
続けて、私は、シッテムの箱を通じて、もう一つの、そして、より核心的な情報を提示した。
〈そのカイザーの活動拠点の近くで、私たちのいた世界にあった『ロボトミー・コーポレーション』という企業の、支部らしき施設が、目撃されているそうだ〉
「……ロボトミー……コーポレーション?」
「聞いたこと、ありませんね……」
案の定、生徒たちにとっては、当然、未知の存在。
だが、その名が持つ意味の重さを、私たちリンバス・カンパニーの人間は、誰よりも、よく知っていた。 アビドスの 全ての謎が、今その一つの名前の下に、繋がり始めたのだ。
「ん。ロボトミー・コーポレーションって、何?」
〈あー……。簡単に言えば、エネルギーを生産していた会社だ。今は、もう倒産しているけどね〉
「……うーん、やっぱり知らないなー。じゃあ、ダンテ先生たちは、その会社と、どういう風に関係してるの?」
〈人の機密情報に、ズカズカと土足で踏み込んでくるな……。まあ、いいか。そこに私たちが探している、とある『物品』がある。それだけだ〉
「はいはい! その『物品』って――」
「――ちょっとー? 今は、関係ない質問はしない約束でしょ!」
セリカが食いつこうとした、その瞬間。ロージャが、その口をむにゅっと手で塞いだ。
「えー!? なんでよ!?てか何で口塞ぐの!?」
「私も、少し質問したかったのですけど……。確かに、今のは関係ない質問でしたし……」
“はは……。まあまあ、その辺は、程々にね……?”
先生が苦笑いを浮かべ、その場をなんとか収めようとする。
今は、まだ、全てを話す時ではない……いや、待てよ。ここで中途半端に隠す方が、かえって変な誤解を招くかもしれないな……。うん、もう少しだけ、話しておくべきか。
私がそう考え直していると、やはり、この中で最も真面目な生徒が、核心に迫る質問を投げかけてきた。
「……すみません、ダンテさん。そのロボトミーという会社と、カイザーコーポレーションには、どういった関係があるのでしょうか?」
アヤネのそのあまりにも的を射た問いに、私はシッテムの箱を通じて、自らの推測を述べた。
〈……あくまで、私の自論だけど。カイザーは、そのL社の……『遺物』を、手に入れようとしている。としか、考えられない〉
「遺物……ですか?」
「なんで? エネルギーを生産してた会社の、ただの『遺物』を、あのカイザーが、そこまでして欲しがるの?」
「……ちっ。また、あの会社の厄介ごとかよ」
次々と投げかけられる質問。 だがその全てに、今答えるわけにはいかない。
〈……そのあたりは、まあ追々。今はただ、『カイザーがそのL社の遺産を狙って、砂漠で何かをしている』。そう認識してくれれば、十分だよ〉
私は、そう言って話を打ち切った。 これ以上は、まだ彼女たちが知るべき領域ではない。 生徒たちの間に答えの出ない新たな疑問が渦巻いているのを、私はただ静かに感じていた。
いや、必ず知ってしまう。どうせ……**『あれ』**とは遭遇するだろうから。
「ということは……アビドスの借金相手がカイザーローンから考えるに、ある目的を達成するためには邪魔な存在だったと」
「そうそう!話が早いねぇ〜」
「まあ、何はともあれ……カイザーが砂漠で何かやってるってことなら、直接目で確かめた方が早いって!」
「……ん、そうだね。そこに行くしかない」
「いや〜、セリカちゃんは良いこと言うねぇ。こんなに逞しく育ってママは嬉しいよ、泣いちゃいそう。ティッシュちょうだい」
「はい☆」
そんな変な発言と共に、目元の涙を拭うホシノに、ノノミがティッシュをそっと手渡した……。
「また……ですか」
〈……何あのギャグ?〉
「心配すんな。いつもの事だ」
「何、何よ!?この雰囲気、私がまともな事言ったらおかしいわけ!?」
「あ、あはあ……そんな事は……ですが、セリカちゃんの言う通りです」
“じゃあ……準備ができたら行こっか。アビドス砂漠へ”
先生の一言と共に、私たちの次の目的地が決まった。
向かうは、アビドス砂漠。謎と悪が蔓延る荒地へ。
こういう描写難しいんだよね。設定の奥まで考えないといけないから……。
いいね、感想お持ちしております。
コメント
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つ、ついにアブノマが来るのか!?なんか、アビドス砂漠て悪の温床かなんかなのかねぇ…