「……ん……」
カーテンの隙間から差し込む陽の光の眩しさで私は目を覚ます。
「……あれ? 私、……」
寝ていたのが自分の部屋のベッドじゃない事に気付き、勢いよく起き上がろうとしたのだけど、今の自分の格好から昨晩の事を思い出す。
(昨日……竜之介くんと……)
寝惚けていた頭に昨晩の情事の数々が蘇り、一気に顔が火照っていく。
(そうだよ、竜之介くんと、しちゃったんだ……)
ベッドの上では少し意地悪な彼。
強引だけど優しさもあって、それでいて、エッチも上手かった。
あんなに気持ち良く感じたのは初めてで、相性っていうのは本当にあるんだなと改めて思った。
(っていうか! 今何時!? 竜之介くんは?)
辺りを見回してチェストの上に置いてあるデジタル時計に視線を向けると、時刻は朝の七時過ぎ。
竜之介くんの姿が見当たらない所を見ると、彼はもう起きているのだろう。
何も身に纏っていない私のパジャマや下着はきちんと畳んでベッドの端に置いてあったのを見て、竜之介くんがやってくれたのだと分かると尚更恥ずかしくなる。
急いで下着とパジャマを着て部屋から出た私はリビングへと向かう。
「……竜之介くん」
「亜子さん、おはよう。休みなんだし、まだ寝てていいのに」
「おはよう。ううん、目覚めちゃったし、その……シャワーも浴びたいなって……思って」
いつも通りの爽やかな笑顔で『おはよう』と挨拶された事で気まずさは無いものの、気恥しさから視線を合せづらくてすぐに逸らしてしまう。
そんな私に気を使ってくれたのか竜之介くんは、
「それじゃあ、亜子さんがシャワー浴びてる間に俺が朝食用意するよ。トーストでいい?」
「あ、う、うん……ありがとう。それじゃあシャワー浴びて来るね」
朝食を用意してくれるようで、キッチンに立って準備を始めている横を通って、再びリビングを後にする。
脱衣所でパジャマと下着を脱ぎながらふと鏡に映る自分の姿を見てみると、身体の至る所に赤い痣が付いていた。
それは勿論、全て竜之介くんが付けたキスマーク。
恥ずかしさもあるけどそれ以上に、彼のモノだと言われているみたいで密かに嬉しさを感じていた。
シャワーを浴びてリビングへ戻ると、目を覚ましたらしい凜も起きてきていて、竜之介くんと楽しそうに会話をしていた。
「あー! ママ、おはよ!」
「おはよう、凜」
「亜子さん、どうぞ」
「ありがとう」
既に凜の朝食は用意されていて、その横の席に私の分のトーストの乗ったお皿とコーヒーの入ったカップを置いてくれた。
私が席に着くのとほぼ同時に竜之介くんが自分の分のコーヒーカップを持って向かいの席に着く。
「亜子さん、今さっき凜と話してたんだけど、今日は天気も良いし、隣の県にある子供向けの遊園地にでも行かない?」
「遊園地?」
「凜に聞いたら、行った事ないんだって?」
「あ、うん、そうなの。電車で行くのも大変だから、ついつい後回しにしてて、結局行けてなくて……」
「それなら尚更、行こうよ。車なら気兼ねなく移動も出来るでしょ?」
「でも、それじゃあ竜之介くんに負担がかかっちゃうし」
「いいって。俺としては、凜や亜子さんが喜ぶ顔が見たいし、それにさ、俺ら付き合ってる訳だから、これはデートの誘いのつもりでもあるんだけど?」
“デートの誘い”だなんて言われてしまっては、断る理由なんて無い。
「ゆーえんち、いける?」
渋っていた私に、遠慮がちに問い掛けてくる凜。
「……うん、行けるよ。良かったね、凜」
「わーい!」
遊園地が初めての凜は行けると分かると満面の笑みで喜びを表していた。
「竜之介くん、ありがとう。それと、デートのお誘い、嬉しいです」
「喜んで貰えて俺も嬉しいよ。それじゃあさっさと準備済ませて、遅くても九時半くらいには出発しようか」
「そうだね」
こうして、今日の休日は三人で遊園地デートをする事に決まったのだった。
コメント
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一気にここまで読んでしまった! 龍之介超スパダリ💕 亜子さん、凜ちゃん良かったね