恋愛＊スクランブル

待機場所についた 杏葉（あずは）は、ふぅ～と息を吐く。

「緊張してきた？」

「初めての競技だし、人に見られるのって、そんなに好きじゃないから……」

「大丈夫だよ、杏葉ちゃん！　私がついてるよ！」

弥奈（やな）は笑顔でギュッと手を握ってきた。

その両手は 微（かす）かに震えている。

「ありがとう、弥奈。一緒に頑張ろうね」

「うん！」

緊張しているのは、みんな同じ。

あとはベストを尽くすのみ。

「寺久保（てらくぼ）ちゃん、スタートは安全でいいからね。何位でも、オレがしっかりフォローするから！」

「うぅ～、今だけ、藤堂（とうどう）宗次郎（そうじろう）が頼もしく感じられて悔しいです」

「オレのことは、いつだって頼ってくれていいんだからな！」

任せろと胸を張る宗次郎。

（よ～し、頑張るぞ～！）

恋愛＊スクランブル
第２２話　ごめんね
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