〈 注意!! 〉
・これは完全妄想の物語となっております。
・御本人様とは一切関係がございません。
・キャラ崩壊にご注意ください。
[ヴァンダーマー視点]
今年もロスサントスに冬が来た。
外に出れば息が白く、足元からはサクサクと軽快な音が鳴る季節。
12月25日午前8時、いつもより厚着をして扉を開ける。
目に飛び込んできたのは白色で覆われた世界。
『これがホワイトクリスマスってやつか…』
なんて呟いてみて、アジトへ車を走らせる。
着いて早々、迎えてくれたのは無駄に意地を張った男たち。
「別に〜、今日誘いがなかったわけじゃないし?」
「そうそう、ただ入れてないだけだし?」
『お前ら…』
哀れんだ目で見つめ返すが、俺もその仲間だ。
そんなどよどよとした重い空気を破ったのは、俺の次に来た客人だった。
アジトのチャイムが鳴らされ、何事かと数人で見に行くと…
赤いもこもことした帽子、白い袋。
サンタクロースだった。
「えっ!サンタさんだ!!」
「幻覚じゃないですよね…?」
「俺たちにもクリスマスが来たぞー!!!」
わーっと走っていく小鳥たちをサンタと眺める。
『凄いことを思いつくな、ルーファス』
「あら、バレてましたか」
「でも今はサンタクロースなので、よろしくお願いしますね?」
だからちゃんと信じなきゃと笑っている。
『…まぁ年齢的には、私もそちら側だがな』
そう言って重そうな袋をひとつ持ち上げたところで、ルーファスに声をかけられた。
「あ、ここではあまり食べ過ぎないでくださいね」
「ん?あぁ、わかった…?」
首を傾げつつも部屋に戻れば、静かにこちらの動向を待つ小鳥たち。
「私の袋には装飾などが入ってます」
取り出されたのはTheクリスマスと言ったカラーの飾りや、カチューシャたち。
みんな目を輝かせて手に取っている。
「ダーマー様の方は料理やお酒などです」
袋から出してみれば、この人数でも食べ切れなさそうな程だった。
さっきの歓声が雄叫びに近くなる。
「じゃあ、準備するぞー!!!」
その掛け声で皆一斉に動きだした。
食器を用意するもの、飾り付けをするものとで部屋がごった返しているが、誰の表情を見ても楽しそうだった。
「ほら、ボスもつけてください!」
渡されたのはトナカイのカチューシャ。
それをつけて準備に参加する。
飾り付けのセンスがない!と怒られながらも和気あいあいとした空気を楽しんだ。
本格的にパーティーが始まって皆に酒がまわり出した頃、ルーファスが立ち上がった。
「ではダーマー様、そろそろ出掛けましょうか」
『え、もう参加しないのか?』
「後は子供たちだけで楽しめるでしょうし、それとも私と2人きりは嫌ですか?」
『そんな訳ないだろう、で何処へ行くんだ?』
「着いてからのお楽しみですよ」
ふふと笑い歩き出すルーファスの後を追って、俺もアジトを出た。
「…あれ、ボスたちがいない?」
「ん?あー…オトナのジジョーってやつだろ、きっと」
「折角ルーファスさんが買ってきてくれたんだし、俺らはこのまま楽しもーよ」
「そうだな、じゃ次の瓶開けるぞー!!」
アジトを出て、ルーファスの運転する車に乗り込む。
時間はすでに13時を回っている。
「よし…まずは服屋さんに行きます」
いや言うんかい。
着いたのはクリスマスムードなお店。
BGMだけでなく、店員もサンタの帽子を被ったりしている。
「折角ですしペアルックでも組んでみますか?」
きらきらとした目でこちらを見つめ、そう提案された。
『面白そうだな、系統はどうする?』
「うーんクリスマスっぽい…これとかどうでしょう?」
手に取ったのは赤いセーターに
” I ♡ サンタ ”と文字が印刷されたもの。
『、、せめてこっちにしないか?』
とりあえず近くにあったニットに手を伸ばす。
無地だが意外と良さげだったため、この上に別々の羽織りを着ることで落ち着いた。
よかった、本当に。
最終的には小物はお揃いで、私は長めのコート、ルーファスはジャケットという形で決定した。
『じゃ、会計してくるから待っててくれ』
「え?そんな、私が払いますよ」
レジに向かおうとすれば止められた。
けどそんな訳にはいかないので、諭すように声をかける。
『アイツらにサンタとして色々買ってくれたじゃないか』
「いや、それとこれとは別です!」
『それに俺にも楽しい時間をくれた訳だ。ここは払わせてくれ、な?』
そう言えばルーファスも渋々了承してくれた。
「ありがとうございます、まさか買っていただけるとは…」
『一緒に来たんだ、たまにはいいじゃないか』
服選びに随分盛り上がっていたようで、外に出れば日が沈みかけていた。
「ちょうどいい時間帯ですね」
早速買った腕時計で時間を確かめている。
「予約の時間もありますし、そろそろ行きましょう」
『…予約?』
行けばわかりますよと車を飛ばす。
「着きました、ここです」
窓の外には、良いムードのレストラン。
まさかの場所に驚いていると、スッと手を引かれた。
「ほら行きましょう、ダーマー様」
店に入れば奥の個室に通された。
もうコースを注文してあるようで、次々と料理が運び込まれてくる。
前菜も、メインも、デザートも。
どれも頬が落ちそうなくらい絶品だった。
「ね、さっき軽めにしておいてよかったでしょう?」
食後のコーヒーを嗜みながらそう言われる。
『あぁ、本当に危なかった…』
その返しでまた微笑むルーファス。
しばらく雑談で盛り上がってから店を後にした。
日は完全に沈んだが、街の光とたくさんの飾りでまだ明るく見える。
「次が最後の場所になります」
「1番のとっておきですので、あと少しだけお付き合いください」
『1番か…それは楽しみだ』
車は郊外へと進んでいく。
ひとつ、またひとつと間隔が空き、なくなっていく街灯。
ほとんど光がなくなった場所で車が止められた。
「ここです、外に出たら空を見てください」
車のライトすら消えた暗闇の中で言われた通り上を眺める。
空は昨日までの雨が嘘だったかのように晴れ渡り、いくつもの星で埋め尽くされていた。
「よく見えるでしょう?」
声のした方向を見れば、ルーファスとぱちりと目が合った。
『…あぁ、綺麗だ』
「へっ?//…えぇ、星綺麗ですよね」
つい本音が漏れて恥ずかしくなり、すぐに目線を戻した。
『…ん、なんだ?』
思い込みか、一瞬星が流れたように見えた。
「あれ、流星群!まだ見れるなんて…」
確か数日前がピークだったと聞いた気がする。
「素早く3回唱えれば願いが叶うんですよ」
そう教えてくれたところで、ひとつ疑問が浮かんだ。
『流星群は普通の流れ星判定なのか、、?』
「願うことが大事なので大丈夫ですよきっと」
まぁそうかと頭の中で3回唱える。
「ふふ、ダーマー様は何を願いました?」
『…ナイショだ、そんなもん』
照れ隠しでまた目をそらす。
そんな俺を楽しそうに見つめ、ルーファスは車へと歩き出した。
『今日はありがとう、最高の1日だった』
その背中へと言葉を投げかける。
「こちらこそ、すごく楽しかったです」
俺の方を見てはくれなかったが、恥ずかしくも嬉しそうな声だけで十分満足だった。
『「来年もまた一緒に。」』
寒空にふたり同じ願いを落とし、街の光の中へと向かう車に乗り込んだ。
コメント
2件
スキッッ最高すぎる!!!