「もう御前は必要ない」
一号を見ながらゼラは僕にそう告げた
「え 、 、 ?」
理解が出来ない。必要無いって、、?
「え、待ってゼラ、どう言う亊?」
思わず尋ねても
「その儘の意味だ。」
「極論にはなるが、少女一号の捕獲に成功した。光クラブの永遠の美の象徴は一号のものとなる。」
と。
「、、、、。」
言葉が出ない。出す気にもなれない。
自身の目は完全に足元を見ていた。
そして涙が出そうになるのを必死で堪える。
ゼラの前で泣いたら、面倒がられる。
顔を伏せた儘、何も言えずにいると
「御前はもう、僕の隣にいる必要もないし、勿論、躰を重ねる必要も無い。好きにしろ。」
と吐き捨ててゼラは基地を後にした。
好きにしろ。
僕は此処、光クラブの存在を世間に明かす程
愚かな人間じゃないと信用だけはされていたみたい。
でも最悪だ。僕が欲しかったのは信用よりもゼラの心だったのに。
僕はゼラに捨てられた。
こんなに愛していたのに。
ゼラも帰り、僕独りになった基地。
1号の前で僕は膝から泣き崩れた
声を殺しているはずなのに僕の泣き声がうざったらしく響く。
醜い、
泣き声ですら少し低くなったこの声も。
不必要とされたこの体も、全部憎くて仕方ない。
「僕の身体が女なら、ゼラは僕を愛してくれたのかな。」
女になりたい訳じゃない
ただ、ゼラに愛されるのなら、女になったって構わなかった。
叶うはずもない妄言は薄暗い光クラブの中で小さく響いて消えてしまった。
ガシュ、
肉と刃物が擦れて切れる音。
気付いたら僕は自分の手首を切りつけていた。
愛しい人に愛されることの無くなった此 躰が憎くて堪ら無かった。
醜いものを何より嫌ったゼラ。
自傷行為なんてしてるのがバレたらきっと怒られる、軽蔑の目で見られるかな、呆れられるだろうか、
怖い。
未だに帝王ゼラに嫌われる事が、
でも、もう肌を見せることも無くなったのだから、と頭が理解してる為か手が止まることを知らない。
刃物が擦れるヒリヒリとした痛みが少しあるだけで、傷自体は痛くない。
それ故にどんどん傷を増やしていった。
家から持ち出したメスは軽く引くだけで簡単に切れる。
当たり前ながら人の肉を切り裂くのに最適だ。
ザクっ
気味の悪い音がなった。
「、、痛い。」
切りすぎたようだった。
ぱっくりと開いた手首の傷から鮮血が流れ出る
とまることを知らずどんどん流れていく。
死ぬかもしれないと一瞬焦りもしたが、もう身を任せるしかない。
ゼラに捨てられた以上生きる意味はとうに無くなっているのだから。
血の抜ける気持ち悪さを感じで目を閉じると自然と意識を手放していた。
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