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これは昔の話……何年か前の話だ。
まだ、皆がおかしくなる前の。
山の奥、穴蔵にて
原田「新八ー」
永倉「どうした左之助」
原田「今日友達連れてきた」
永倉「は?友達ぃ?」
原田「おうお前に友達なんていたのかって顔してんじゃねぇよ」
永倉「お前に友達なんていたのか…」
原田「一語一句同じこと言うな」
藤堂「あの…」
原田「あ、すまん、あれが新八…で、こいつは平助だ、新八」
藤堂「えっと…新八…さん?」
永倉「…ああ、永倉新八だ」
藤堂「あ、じゃあ永倉さんで…」
永倉「別にどっちでもいいが…平助でいいか?」
藤堂「はい…あ、藤堂平助です」
永倉「おう、よろしく平助」
藤堂「はい、よろしくお願いします」
そうして出会った3人は、次第に仲良くなっていった。
原田「今日は3人でゲームしようぜ」
永倉「ゲエム?」
藤堂「そこからですか」
原田「遊ぶってこと」
永倉「なるほど」
藤堂「…おじいちゃんってこんな感じなんですかね」
永倉「ジジイではない」
原田「俺らからしたらジジイだが」
永倉「龍族的にはまだピチピチだが?」
藤堂「ピチピチっていうのがまずもう古い」
それまもう仲良くしていた、ある日は斎藤が顔を出してきてたり、ある日は山に来ていた近藤や土方と鉢合わせたり、ある日はただ3人でゆっくりしていたり。
そしてある日、
永倉「珍しいな、今日は平助1人か?」
藤堂「はい、原田さんはご用事があるとの事ですので」
と、その日は珍しく藤堂だけが永倉の住む穴蔵に来た。
永倉「にしても左之助に友達ねぇ…」
藤堂「いつまで言ってるんですそれ…もう2年は経ちますよ」
永倉「いや、平助と左之助って多分年齢も違うだろ?どうやって出会ったのかと思ってな」
藤堂「ああ、高校の、同じ部活の…原田さんは先輩だったんです、もう卒業されましたけど」
永倉「ブカツ?」
藤堂「えっと…なんというか…同じ趣味を共有する仲間…的な?」
永倉「へぇ…同じ趣味ってなんだ?」
藤堂「剣道です」
永倉「剣道…あれか、刀持ってドンバチするやつ」
藤堂「…多分永倉さん物騒な…もっとガチなやつ思い浮かべてますよね………まぁあってはいるのか…?」
藤堂「永倉さんっていくつなんですか?」
永倉「頭の数か?見ての通り1個だが」
藤堂「そうじゃないです…見てわかることいちいち聞きませんよ」
永倉「見てわかるものが全てとは限らないぜ」
藤堂「なんですか本当は頭が2つとか言うんですか」
永倉「ああ、全盛期の時は頭9つくらいあったかな」
藤堂「え!?本当ですか!?」
永倉「さぁな〜」
藤堂「ええー!なんですそれ!!」
永倉「ま、冗談は置いといて、年齢だろ?覚えてねぇわ」
藤堂「……覚えてないんですか…」
永倉「まぁ龍族だからな〜気が長いというか、そういう種なんだよ」
藤堂「そういうものですか」
永倉「そういうものだな」
永倉「……なんか腹減ったなー」
藤堂「…そういえばもう外も暗くなってきてますね…」
永倉「…急いで帰らないと、じゃねぇのか?」
藤堂「………そうですね」
藤堂「じゃあ永倉さん、また今度」
その日から、しばらく永倉の元に藤堂が来ることはなかった。
たまに顔を見せに来ていた左之助に事情を聞いたが、左之助もよく分からないそうで、ただ「家族関係のゴタゴタで忙しいらしい」とだけ。
……藤堂が来なくなって、それから、1年経った
原田「新八ー?」
原田「いねぇのか?」
原田「おーい」
いつも通り穴蔵に顔を出しに来た、でもそこには永倉の姿は見えなかった。
原田「…留守か?出かけるなんて珍しいが…」
原田「…平助、もうすぐ家の事落ち着くって言ってたから、教えに来てやったのに……」
原田「…まぁ、また今度でもいいか、明日また…」
原田「……あ?」
ばくり
背後の気配に振り向けば、次の瞬間 ぬるり、と体を暖かい液体が包む。
あ、これ、口の中だ。
ナニカの、口の中だ。
……俺、食われるのか。
まぁ、でも、
悪くないかもな
…でも、お前が俺のことを吐き出して、そんなに泣きそうな顔をするから、逃げたんだ、逃げてやったんだ。
次の日、普通に新八の所に行った、泣いてた、ごめんって、許してって、怒ってないのに謝ってたんだ、だから俺は「いいよ」って言った、我ながら子供みたいな返事だったとは思う。
平助は、新八と会わないって言ってた、多分、俺が食べられかけたこと、俺以上に気にしてる、でもいつかほとぼりが冷めたらきっとまたあの日みたいに3人で、
3人で……
新八が、泣いていた
俺がそばにいると食べたくなる、食べたくない、そう言って泣いていた。
新八に泣いて欲しくなかった、苦しんで欲しくなかった。
……そうか、じゃあ
その日から山に行かなくなった。
あとがき
今回は出てきた3人の情報。
原田左之助
結果的に永倉のことを悲しませて苦しませた男、この後色々あってああなる。
藤堂平助
家族関係結構ゴタゴタしてる、現在伊東宅に入り浸ってる(てか住んでる)理由がこれ(※高校3年の卒業直前くらいの頃からそのまま住んでる)、伊東への恩の半分くらいは住む場所の提供のこと。
別に永倉のことが嫌いになったわけではないが好きな人が食べられかけたって聞いて会いに行くほど図太くないです、この後しばらくして色々あってこうなるので結局あれきり永倉の顔を見てない。
永倉新八
ずっと昔から生きてる龍族の者、名前は時代によって変わる(呼ばれ方が変わっていった)が、「永倉新八」という名前がどこから来たものなのか不明。
左之助のことがそういう意味で好きなのは言わずもがなだけど友愛的な意味では平助の事も好き(友愛枠で考えると普通に平助食べかねない)。