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Hayato side
顧問に用事がありサッカー部が練習しているところに顔だけ出した
ふと校舎を見上げると
あいつはまたあの席に居た
グラウンドを見てる
階段を駆け上がり
ガラガラと音をたて扉を開けた
「仁人」
いつもの席のあいつを呼ぶ
ビクッと体が跳ねた
「なんで…」
「お前が、見てたから」
「部活は…」
小さな声で尋ねてきた仁人の眉がこれ以上下げようがないくらいに下がった
今にも泣きそうだ
また迷惑になったとか思ってるんだろうな
「3年は今日は休みだよ」
ほっとした表情に読みはだいたい合っていたようだ
近付くとはっと何かに気付いて机の端を隠すように突っ伏した
「なに、隠したの」
「隠してない」
明らかに動揺した声が答えだ
静かに近付いて腕を少々強引にどけるとそこには小さな相合傘
涙でびしょびしょになった顔
胸がぎゅっと傷んだ
「ねえ仁人、俺はお前といると楽しい」
手を取ったまま
伏せている目を見ながら言った
「また一緒に飯食ってよ」
あれから飯も味気ない
「ね、休みの日も、会ってよ」
学校だけじゃ足りない
「俺、仁人のこと、好きだよ」
勢いよく上げられた歪んだ顔
涙が溢れて止まらない
泣いている仁人をそっと抱き寄せた
「…俺のこと、嫌い?」
「…す、き」
しゃくりあげて途切れとぎれの小さな声だったけどちゃんと届いた
君が書いた小さな相合傘と、 その気持ちごとぎゅっと抱き締めた
fin.