テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
登場人物
カグラ
小さな子供、絵本がともだち
牢獄にずっと閉じ込められている
喋れるが、ほとんど無口
ジルベール
冷たい帝王
カグラを犬扱い
暴力を振るっている
カグラはただ、必死に生きているだけ。
文字もわからない絵本を何回も読んで、たまに現れるネズミを食べる。
そのたびに、熱が出て…誰も来ない。
ときどき、人が来てカグラを殴って帰る。
その生活は、記憶の中からずっと続いていた。
「………」
ぐちゃぐちゃと、ネズミを食べているカグラの咀嚼音が牢獄に響き渡る。
その時
扉が開いた
ジルベールだ。
ジルベールはカグラの居るケージを開け、殴り始めた。
「犬なんか、生まれて来なければよかったな」
カグラは殴られたら起き上がる人形のようだ。
「早く、死んでしまえ」
ジルベールは殴るスピードを早くする。
「何故、犬は生きているんだ?死ぬ気はないのか?」
「汚物が、生きるのではないんだよ? 」
「そのくらいも分からないのか……」
「犬の家族なんて… 」
何時間も殴り続け、気が済んだのか、ジルベールは牢獄から去った。
ジルベールが居なくなると
カグラは、布団代わりのボロボロの布を破り傷口に当てた。
その後、何回も繰り返した絵本を読んでいた。
絵本の中は、小さな家族の話。
おとうさんとおかあさん、おにいちゃん、おねえちゃん、おとうと。
カグラは文字は読めないけど、絵で分かった。
その時だけ、笑みを浮かべていた。
次の日。医者が来ていた。
医師はカグラに尋ねた。
「」