自覚してしまった日、俺は恋の魔法にかかってしまった。
俺は、今まで恋愛なんて一度もしたことがなかった。
俺の中で1番はやっぱりバレーやし。他人にそもそもあまり興味がない。
治は…まあそうだな。もちろん大事。
いつも一緒にいるし、俺のこと多分1番大事にしてくれてると思う。
だが、ある日治の “1番” は俺ではなくなった。彼女ができたのだ。
俺はそのとき自覚した。自分は治のことが好きなんだと。
「ツム、でかけてくる」
本当は行かないで欲しかった。前の俺ならきっとわがままを言って、治を困らせていただろうけど、嫌われたくないし、そんなことをする勇気は出なかった。
「治」
「なん」
「…やっぱなんもない」
気づきたくなかったけれど、気づいてしまった。こういう時、本当に双子が嫌になる。産まれる前から一緒にいるのだ。少しの変化も感じ取ってしまうのだ。
彼女と一線を超えた、なんて治の口から聞きたくなかった。
いやや。俺まだなんも経験してへんのに。
いつの間にか、俺の中の “1番” は治になっていた。でも俺はもう、治の “1番” にはなれない。
(お前はいつからそこに居るん?)
やっぱり、恋愛なんて知りたくなかった。
「やっとやな」
いたずらっ子みたいに笑う治の表情を、今でも忘れられない。
俺はそのときぽろぽろと涙を流して泣いていたと思う。
思いが通じた日。片思いが実り、嬉しさと驚きで涙が止まらなかった。
「おーさむっ」
「ん?」
「愛しとる」
「ふっふ、俺も、愛しとるよ」
今は毎日治と楽しい毎日を過ごしている。
治、俺に恋愛を教えてくれてありがとう。
やっぱりお前が初恋で良かった。
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【Liebesmagie】
⤿ドイツ語で『愛の魔法術』という意味。
短編集書くの楽しっ!🫰🫰
コメント
4件
やばぁ…最初切ないか?って思ったけどハピエン(?)になっててめっちゃ安心した( ˊᵕˋ )💕 もうさ好きすぎる🫵😘😘まじ短編集でこれはクオリティが高い!!
ありがとう、兄のせいでイライラしてたのと勉強のモチベがなくて困っていた(?)から まじ助かったわ あーーーー一番になれたのか良かった🥹🥹🥹てかめちゃくちゃ嫉妬してる(?)侑君可愛すぎるだろ……短編集でこの満足感はやばいぞ🫵🫵最高すぎる😘😘💕