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第一章 “ 灯の届かぬ場所で ”
第一話 「 不自然 」
あんなあっけなく日常が消し去るだなんて
あの頃の僕は思いもしてなかった ______
ある日の夜 、僕は夢見をした 。
それは 、あまりにも苦で苦で仕方がなかった
だけど 、きっとそれは予言しているのだと悟る
だから覚悟を決めた 。
まだ夜明け前で辺りはまだ暗く凛と静かだった
もう一度寝ようも 、また夢を見ては意味が無い為
少々気落ちはするが外へ出てみることにした 。
『えっさ 、えっさ 。』
深くて滑らかででも頑丈な穴を掘らなくちゃ 。
まるで 、人ひとり入ってしまいそうなくらいに
何ひとつ動作を怠ってはならない 。
それが僕に与えられた使命だから____??
「…….喜八郎 、?」
ふと 、目を覚ましてみれば喜八郎が居ない 。
普段なら絶対ありえぬ事態に私は焦りを覚えたが
壁に踏鋤の踏子が立てかけられていないことに
気づき 、寝付けず穴でも掘っているのか。
そう確信を抱いて 、薄い寝巻きのまま外を出る
『…….まだ掘り足りないのか 。』
「……..あ 、滝夜叉丸 。」
『???』
『あぁ 、私だが……なんで今穴掘りなんだ?』
喜八郎が滝夜叉丸と呼ぶのには 、
いつも事情がある時だけだ 。
なら 、今時間に穴掘りをしているのは
なにか事情があったんだなとわかった 。
『よし喜八郎ッ!この平滝夜叉丸が
お前の悩みを聞いてやろうじゃあないか!!!』
「…….は?何言ってんの 。」
『……はて 、何か悩んでいるのだろう?』
「悩んでないけど 、てか悩んでてても
お前にだけは絶対に言わないけどね」
『なッ 、こんのアホ八郎ーーー!!!!!』
「夜更けに…..うるさいんじゃお前らーー!!!」
まぁ 、夜遅くに騒いでいたのは私たちに非がある
だが…..せめて殴るなら喜八郎も殴らないか!?
なぜ私だけなのだあんの馬鹿野郎ッ!!
ま 、ここで大声で言わないのがこの平滝夜叉丸
今度は罪のないタカ丸さんや守一郎まで
起こしかねんからな 。
してだ 。この私の膝で眠るコイツを
どう起こしてまた部屋へ戻らせようか 。
こいつの睡魔を甘く見てはならんだろう 。
きっといまも夢の中でも
穴を掘りまくっていることだろう 。
そうしてもう一度 、
喜八郎の顔を見ていれば私は目を見開いた 。
目の前にいる喜八郎が 、大量の冷や汗をかかせ
眉間に皺を寄せながら魘されていたからだ 。
それは予言しているのだ
『……..っ 、!?』
待て 、いまはなに?なにが起きたの 。
どこまでが本当なの?なにが夢だったの?
わからない 、全部 。
僕が 、なにをしなきゃいけないのかも 。
「やっと起きたな?まったく寝坊助にも程が
『滝 、僕は…僕だよね?』
「……….は?」
まるで 、それは予言されているようだった
「見損なったぞ 。喜八郎 。」
「今までずっと騙してきたんだな」
「この裏切り者がッ!!!!」
きっと滝夜叉丸だったら 、変な夢だ 。
なんて言って愚痴をこぼしていくだろうけど
こればかりは僕だってできやしない 。
何故なら僕は 、僕は…….
僕はみんなにとっての悪だから 。
幼い頃から 、僕には決まって人が付いていた 。
いかつい甲冑の人が後ろに数人 。
そして 、僕の大好きだったあの人は
いつも僕のお世話をしていた 。
僕の家系は 、由緒ある名家で
父はアヤメ城の城主であり 、いつも僕にお優しく
チャンバラをしたり花札や絵描きなど 、
お忙しい中で時間を割いても
僕を大切にしてくださった 。
そんな父が 、僕は大好きだった 。
母は僕を産んですぐ 、持病で亡くなった 。
治療法のない 。残念な病だった 。
でも 、父が手厚く愛してくれたおかげで
僕は寂しいなんて思うことはなかった 。
そんな時だろうか 。僕が七つのころから
父は 、僕に勉強と体術を教えてくれていた 。
勉強の歳では無いものの 、教え込まれたおかげで
うんと先の年代の子がやるような問題も
スラスラと全問正解することができた 。
体術では 、苦手な走り込みに練習三昧で
みっちりと鍛え込み上げられ 。
その頃には図体がでかい獣なんかを
ひとりで倒すことができていた 。
その頃は 、なんて教育熱心な父なのだろう
僕も期待に添えなくちゃ!って
今ではいい笑い話だけど
僕が忍術学園に入り出した頃 、
あれはやりすぎだったんだとわかる
気づけば僕は 、実技も教科の評価も
学年一位を取り続けていた 。
そのせいか 、同室に目をつけられるわ
同級生からは威張られるわ大変な目にあっていた
それを父に助けを求めた一年最後の長期休暇の日
僕は 、地獄をみた
事情を話せば父は抱き締めて慰めてくれる
きっと 、同級生にぎゃふんと言ってくれると
そんな自分が浅はかだった 。
僕が言葉を終えた瞬間 、父が立ち上がった 。
(….頭でも撫でてくれるのかな?)
そう思っていた矢先に 、
僕は右側へ吹っ飛んで行った 。
頭が壁にぶつかってとても痛い 。
鼻血も出たし 、グラグラしてた歯だって
取れちゃった 。もうとにかく痛かった 。
でも 、それが父が原因だってすぐに気づいた
『……父さん 、?なんでなぐったの…』
そう問えば 、僕の望んだ答えなんかは
帰ってくるはずもなかった 。
「喜八郎 、お前を何故
忍術学園に送ったかわかるか?」
『….?なぜ 、ですか?』
「お前みたいな子供を利用して
大川平次渦正を殺す為だ 。」
『………え?』
父が学園長の名前を呼んだ瞬間 、僕は気がついた
頭の良い優秀な僕だからこそ気がついた
僕は 、父の復讐の為の子供で 。
子供の僕は怪しまれず情報収集が簡易だから
忍術学園に通わせていただけの
僕だけに与えられた 、僕だけの任務だった
「…..察しのいい息子で良かったよ」
「これからもアヤメ城のために頼んだぞ喜八郎」
『はい 。父さん』
父が僕を殴った理由は 、
僕が演技をしなかったから 。
いくら僕が優秀過ぎたとて所詮は 、
十歳ばかりの男児なわけで 、そんな子供を
怪しむヤツもでてくるだろう 。
だから 、わざとちょうど良い成績をおさめ続けろ
きっと 、そういうことなのだろう 。
父の言いつけを僕は必ず守っていた
忍術学園に通っている今でもまだ 。
そのひとつが 、穴を掘り続けることだった 。
だからいまも僕は 、
深くて滑らかで頑丈な穴を作り続けている
「 …………. 」
「??何ボーッとしてんだ仙蔵 。」
「…..すまない文次郎 、ちと余所見だ 。」
「はー珍しいな」
「….まぁ 、そうだ」
「次は四年六年いろは別合同実習だろう 。
早く準備をするぞ 、遅れは許されん」
「…..今行く」
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