テラーノベル
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地下から這い上がってきた影は、六人の姿をしていた。
メバルの顔。
カキの姿。
マサカゲの髪型。
ミステーのピラミッド。
アオノの装備。
そして、K-Tの紫色の瞳。
だが、それらはすべて人形のように無表情で、体の表面には黒い亀裂が走っていた。
「複製体……?」
アオノが淡々と呟いた。
「違う」
K-Tが答える。
「敵だ」
複製体たちは、同時に武器を構えた。
メバルの複製体が剣を抜き、カキの複製体が巨大な斧を持ち上げる。マサカゲの複製体は長槍、ミステーの複製体は奇妙な杖、アオノの複製体は魔力銃を構えた。
最後に、K-Tの複製体が紫色の刀を抜く。
その刀身は、夜空のように暗く、刃の中央だけが紫色に光っていた。
「同じ武器を使ってくるのか」
マサカゲが剣を構える。
「なら、先に本体のメバルを倒す」
マサカゲ、カキ、ミステー、アオノの四人が、メバルへ向き直った。
「えっ、そっち!?」
メバルは思わず後ずさった。
「試練の条件を満たすには、お前を倒す必要がある」
マサカゲの声は冷たかった。
「倒すだけなら、殺さなくてもいいでしょ!」
「この世界がそう判定する保証はない」
アオノが銃口を上げる。
「メバル、動かないでね」
カキが斧を両手で構える。怯えていたはずなのに、武器を持った途端、目つきが変わっていた。
「ごめん。でも、私たちも帰りたいの」
「カキちゃんまで……」
ミステーは杖を掲げる。
「メバル、君は星になる」
「物騒な言い方やめて、ミステーちゃん!」
四人が一斉に動いた。
アオノの魔力弾が飛び、カキの斧が地面を砕く。マサカゲの槍がメバルの逃げ道を塞ぎ、ミステーの杖から無数の光球が現れた。
メバルは剣で魔力弾を弾いた。
しかし、斧の衝撃で足元が崩れ、体勢を失う。
その背後へ、マサカゲの槍が迫った。
メバルが目を閉じかけた瞬間、黒い影が割り込んだ。
K-Tだった。
K-Tは左手に盾を構え、槍を受け止めた。激しい衝撃が響く。続けて飛んできた光球を盾で防ぎ、カキの斧を肩で受け流した。
「Kさん!」
「下がれ、メバル」
「でも!」
「俺が守る」
短い言葉だった。
K-Tはメバルの前に立ち、完全に壁となった。
アオノの魔力弾が防弾盾へ当たる。盾の表面に亀裂が走ったが、K-Tは一歩も下がらない。
「Kさん、盾が壊れかけてる!」
「問題ない」
「それ、問題あるときの言い方だよ!」
マサカゲが槍を振りかぶる。
「どけ、Kさん。お前まで敵に回すつもりはない」
「なら、攻撃をやめろ」
「できない」
「そうか」
K-Tは盾を下ろした。
代わりに、腰へ手を伸ばす。
黒いガラケーを取り出し、アンテナを伸ばした。
金属のアンテナが伸びきった瞬間、形状が変わる。硬い黒色の警棒となり、K-Tの手の中で紫色の光を帯びた。
だが、K-Tはそれを使わなかった。
地面に突き立っていた、複製体の紫色の刀へ手を伸ばす。
刀はK-Tの手に触れた瞬間、黒い霧へ変わり、そのまま一本の刀として実体化した。
紫色の刀。
それだけを手に、K-Tは前へ出た。
「Kさん、刀一本で四人を相手にするつもり?」
メバルが叫ぶ。
「問題ない」
K-Tの姿が消えた。
最初に吹き飛んだのは、カキだった。
斧を振り下ろすより早く、K-Tの刀の柄がカキの腹部へ入る。カキの体が宙に浮き、そのまま数メートル先へ転がった。
「カキちゃん!」
「痛い……でも、立てる……!」
カキが起き上がろうとした瞬間、K-Tはすでに目の前にいた。
紫色の刀が横薙ぎに振られる。
刃はカキの体を傷つけず、斧だけを真っ二つに切断した。さらに刀の峰がカキの肩へ当たり、カキは再び地面へ倒れ込む。
「武器を壊したうえに二回!? オーバーキルだよKさん!」
メバルの叫びは届いていない。
マサカゲが槍を突き出す。
K-Tは刃を一度返した。
槍の穂先が切り落とされ、続けて柄が切断される。丸腰になったマサカゲの前へ、K-Tは一瞬で踏み込み、刀の柄で肩、脇腹、背中を順番に打った。
マサカゲは三歩、四歩と後退し、最後には草の上へ倒れた。
「一回でいいでしょ!」
「メバル、敵の戦力を奪っている」
アオノが魔力銃を連射する。
K-Tは刀を振った。
紫色の斬撃が空中を走り、魔力弾をすべて切り裂く。さらにその斬撃はアオノの銃を縦に両断し、地面へ突き刺さった。
K-Tは間髪入れず、アオノの足元を払う。
アオノは倒れ、K-Tの刀の鞘が胸元へ叩き込まれた。
「分析を続行……する必要は、ない……」
アオノがその場で動かなくなる。
最後に、ミステーが杖を高く掲げた。
「宇宙の扉よ、開け。ピラミッドの角度は三十――」
K-Tの刀が杖を切断した。
「詠唱中だったのに」
ミステーが呟く。
K-Tは刀を返し、ミステーの額へ柄を当てた。
「寝ろ」
「了解した」
ミステーは素直に倒れた。
四人が、数秒の間に全員地面へ沈んでいた。
メバルは呆然と立ち尽くした。
「……Kさん」
「問題ない」
「いや、みんなのほうが問題あるよ!」
K-Tは紫色の刀を下ろした。
その直後、地面に倒れていたマサカゲがゆっくり起き上がる。
「なぜ……殺さなかった?」
「必要ない」
「試練の条件は?」
「知らない」
K-Tは淡々と答えた。
「だが、仲間を殺す必要もない」
メバルの胸が詰まった。
性格が反転しても、K-Tだけは変わらない。
否。
変わっていないように見えて、実際にはもっと危険になっていた。
誰かを守るためなら、相手が仲間でも容赦なく叩き伏せる。
しかも、紫色の刀一本で、四人を完膚なきまでに。
空に浮かんだ文字が震えた。
『第一試練、失敗』
『想定外の守護行動を確認』
『K-Tを最優先排除対象に指定』
草原の上空に、巨大な魔法陣が開く。
そこから無数の紫色の刀が降り始めた。
K-Tはメバルの前へ立つ。
一本の刀を握ったまま、空を見上げた。
「問題ない」
「いや、今度は本当に問題あるって!」
無数の刀が、六人へ向かって落下した。
コメント
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うわああ第4話読み終わったよ…!😭💕 K-Tさん、紫色の刀で四人を一瞬で制圧して「問題ない」連発、かっこよすぎかよ…!! しかも仲間を♡♡♡ず武器だけ壊すスタイル、、本当に強い人は優しいんだなって思った。 メバルの「問題あるときの言い方だよ!」のツッコミも可愛すぎるし、最後の空からの刀の雨もヤバすぎて次の話が待ちきれない…!!K-Takasakaさん、今回も神回ありがとうございます🌸✨
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