テラーノベル
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「まだ今日からなのに……驚いた!」と言うと、
「え〜今日チューしたの〜?」と平気で言う母。
「ちょっと!」と笑うと、
「ふふ、ファーストキスは、幼稚園の頃にしてたじゃない!」と言う母。
「ハハッ、私覚えてないもん」と言うと、
「あら〜あんなに、たっくん、たっくんって、べったりだったのに?」と言われた。
「やっぱりそうだったんだ」
「うん、いつも綾の遊びにも、お父さんのキャッチボールにも付き合ってくれてたわよ」
「そうなんだ……」
「匠くんは、昔から本当に優しい子よ」と太鼓判を押してくれる母。
「うん」と私がニコニコしていると、
「会社で再会したのも、きっと運命よね〜」と母、
「私もそう思ったの」
「素敵ね〜これからが楽しみだわ」と言う母。
そして、匠がお風呂から上がって来て、父のスウェットを着ている。
「あら、やっぱり、ちょっと短いかしら……」と言う母。
父の身長は、172cm、180cmある匠には、ズボンの丈が少し短い。
「いえ大丈夫です、ありがとうございます」と言う。
「綾も入って来なさい!」
「あ、私シャワーだから、お先にどうぞ」と言うと、
「そう? じゃあ、匠くんに飲み物と歯ブラシ出してあげてね」
「うん」
「ありがとうございます」と言う匠に、
「じゃあね〜」とニコニコしながら手を振る母。
「何よ! もう!」と思わず笑ってしまった。
匠に飲み物を取るついでに、私は食器を洗おうと1階へ降りると言うと、「俺も」と言ってくれたので一緒に1階へ。
匠は、お水が良いと言うので、ウォーターサーバーからコップにお水を入れる。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
そして、食器を洗い出すと、「俺も手伝う」と言う。
「いいよ」
「突然来てご馳走になったから」と、結局、匠も手伝ってくれた。
「ごめんね、ありがとう」と言うと、
「ううん」と笑顔だ。
共同作業も匠となら楽しい。
そして、母がお風呂から上がって来るまで、
私の部屋へ戻る。
本当に、こういう状況が今まではまず考えられなかった。
結婚相手になるまでは、男の人は、誰も家に連れて来れなかったのだから、同じ部屋に布団を敷くなんてあり得ない。
もしかすると、父は、本当に匠を待っていたのかもしれないとさえ思った。
「綾の部屋、初めてだ」と言う匠。
「そりゃあそうでしょう、初めて足を踏み入れた男性第1号なんだから」と言うと、
「綾! ん!」と両手を広げて立っている匠。
「ふふ」と、自分からぎゅっとされに行く。
「夢みたい! 匠がウチに泊まるなんて」と言うと、
「うん、俺も夢みたい! 綾がココに居る」と、まだ私たちは、この状況が奇跡のようで、頭が追いついていない。
でも、心地良くて、ずっとくっついていたくて、
とても嬉しかった。
匠が、廊下の方に聞き耳を立てて、
「お母さん、まだ上がって来ないかなあ?」と、
「うん、たぶん」と言うと、
ニッコリ笑って、ゆっくりとキスをした。
「「ふふ」」
「綾、大好き」とぎゅっと抱きしめて言った。
「私も大好き」と言う。
──そう言えば、《《大好き》》って、匠に今初めて言ってもらって、私も初めて言った。
顔を見合わせて、照れながら2人でニッコリ笑い合う。
もう一度、優しく素敵なキスをした。
そして、私がシャワーを浴びる間、アルバムが見たいと言うので、匠にアルバムを渡して、私はお風呂場へ。
出て来てドライヤーを当ていると、その音で匠も降りて来てくれて、髪を乾かしてくれた。
「ありがとう」
「うん、久しぶりだな」と言った。
「え?」と言うと、
「小さい頃、よく乾かしてあげてたんだよ」と言った。
「え? そうなの?」
「うん」と笑っている。
覚えていないことがいっぱいだ。
2人で歯を磨いて私の部屋へ上がった。
すると、アルバムが開いたまま置いてあった。
「わあ! 懐かしい〜」と言うと
「中高校生の綾、可愛かった〜」と笑っている匠。
「ふふ、恥ずかしいなあ」
そして、
改めてピッタリ並べて敷かれた布団を見て2人で笑う。
「「ふふ」」
電気を消して、別々の布団に入ったが、匠が手を繋いで来て、グッと抱き寄せられた。
「ふふ」と結局、匠の左腕で腕枕をされている。
──あ〜嬉しい〜
なんだかドキドキする
そして、匠は私の方にカラダを向けて右手で私の髪を撫でている。
「このままじゃ、眠りにくいと思うから、眠る時は腕、外してね」と言うと、
「うん、今日寝れるかなあ?」と言う匠
「ふふ」
ジッと見つめ合って、またキスをした。
「あ〜ダメだ!」
「ん?」
「幸せすぎて、ずっとこうしてたい!」と言う。
「ふふ、寝なきゃ」と言うと、
「《《寝る》》?」と半笑いの顔で言う。
「ヤダッ! 違うわよ!」と言うと、
「おお、さすがにな……」と笑っている。
「ふふ、当たり前でしょう」
「おお、当然だ! 今日はダメだ」と言うので、
「心配しなくても、私今日から無理だもん」と言う。
なぜか匠には、そんなことも平気で言える。
「そっか……大丈夫か?」と腰を摩って心配してくれる。
「うん。でも、ちょっと眠いかも……」と言うと、
「そっか、もう休め」と言ってくれる。
「うん」
「エロいこと考えてたくせに」と言うと、
「俺も一応、男だからな」と言う。
「そうなんだ……」と、寂しそうに言うと……
「ん?」と優しく聞いてくれる匠
「男の人って、女の人に誘われたら、しちゃうの?」と私は聞いていた。
どうも、トラウマになっているようだ。
すると、
「大丈夫! 俺は綾以外の女に欲情しない!」と髪を撫でながら言う。
「ふふ、そんなこと言っても良いの?」と聞くと、
「もちろん! 俺は、もしそんなことがあっても、その場からすぐに離れるから大丈夫!」とキッパリ言った。
「そうなんだ、分かった!」
そして……
「あ!」と匠。
「何?」
「ちゃんと言ってなかったから、ちょっとだけ良い?」と、ゆっくり私ごと起き上がり、座らせた。
「ん?」
匠が突然正座したので、私も正座をした。
そして、
「綾! 俺と結婚前提で付き合ってください!」と言った。
凄く嬉しかった。
「はい! こちらこそよろしくお願いします」と、三つ指をついてお辞儀をした。
親が先に結婚前提って言っちゃってて、順番がおかしくなったけど、ケジメを付けてくれるところ、凄く嬉しかった。
そして、匠は足を伸ばして両手両足全部で、私のカラダを包み込んで、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「ハア〜夢みたいだ」と又言った。
「うん、ホントに……」
「綾〜〜〜〜」と、更にぎゅっと抱きしめられる。
「ふふふふ」
そして、また素敵なキスをくれる。
「俺と付き合ってくれて、ありがとうな。愛してるよ」と匠が真面目に言ってくれた。
驚き過ぎて、涙が溢れた。
「ん? 泣かないで」と、優しく涙を拭ってくれる。
「ビックリして、嬉しくて……」と言った。
匠は、私を救ってくれた人。
ずっとずっと守ってくれてた人。
匠が居なかったら、私は、智之と別れたことで、しばらくの間、毎日泣いていたのかもしれない。
私の方が感謝してるし、愛してるよ。
「愛してる」と言うと、
「嬉しい! 俺、綾のことが可愛くて仕方がないんだよな」と、また抱きしめられる。
「それは、妹みたいに?」と聞くと、
「ううん、ずっと女性として見て来た! 今は彼女として、婚約者として」と言った。
「じゃあ、もっと可愛がってもらうことにする」
「うん」
まだ、始まったばかりなのに、もう何年も一緒に居る感覚に陥る。
それは、幼馴染だと言う安心感からか、その頃からやっぱり好きだったからなのか……
ようやく、ツインレイの片割れのピースが揃ったような気がする。
そして、横になると、私は匠の腕の中で寝落ちしていたようだ。
コメント
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匠くんとなら綾ちゃん幸せになれるね✨