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「ずず……、ず、」



カップラーメンを啜る。


どれだけ食べても胃には何も溜まらない気がするのに、勝手に手が食べ物を欲しがっていく。


いたい。つらい。

じくじくじくじくする。

ごりごりごりごり心臓が削られるような。




睡眠薬なら楽に死ねるよって、物知りなMENがおしえてくれた。


首吊りならきっと何も考えなくていいからって、教えてくれたのは優しいおらふくん。


ぼんさんが亡くなっちゃって悲しいのは分かるけど、悩みなら、聞くから。

って、ドズルさんは心配しちゃいそうだから、死に方は訊かなかった。




ぜんぶ、忘れて、ください。

俺のことはぜんぶ忘れて、……みんなは、先に進まないといけないから。





だから、今日は。


きょうは、また、ぼんさんに会えるように。

今度は、いつまでも。








「………。」


……縄は、買ってある。


覚悟なんてとうの昔にできてるよ。

あの、睡眠薬を吐きそうなほど胃に流し込んだ夜から。




そういえば、店員さんに変な目で見られたなぁ。

そういうのやめてほしいんだけど。





「………………。」




ぎし。


椅子に、上がる。

もっと低いところでも死ねるって聞いたけど──、まぁ、天井、ベタでしょ。




慣れない手つきで縄をくくりつけて、

よく見る、あの楕円形に、むすぶ。



「……………………。」



………あぁ、俺、自殺するんだ。


「…、」


ぼんさんに、逢える。


そう思うと楽しみでたまらなかった。これから死ぬのにこんなにワクワクする。



息を絶やす痛みなんか、ぼんさんがいないことに比べたら、ずっと。


どうでもよくなるくらい、今は、いたいから。





首吊りで死ぬのは、急激に脳に血液が届かなくなるから。

どうやら、首を締められるのとは違うらしい。


もっといい方法があっただろうか。

ううん。いいや。今は、これで。




「………、」



欠乏症だ。


あんたのいない傷を埋めるものなんて、あんた以外、いないから。





ぼんさん。


ぼんさん。

今から、行くからね。





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