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お風呂気持ち良かった~……フェルの好意に感謝だよ。地球だと邪魔になるかと思ってずっと翼を畳んでたから、痛かったんだよね。
私を含めてアード人の翼、真っ白で天使みたいな翼だけど、広げたら左右それぞれ2メートル近くはあるんだよね。当然広げたら邪魔になるわけで、地球では自重してた。
アード?屋内は通路を含めてかなり広めに作られてるよ。どこでも自由に翼を広げられるようにね。
「こっ、こんなに瑞々しい植物があるんですか!?しかも食べられるの!?」
お風呂を済ませた私達は、ジョンさん達が包んでくれた地球の料理を堪能していた。フェルはリーフ人らしく野菜が大好きだから、サラダやフルーツを多めに貰ったんだけど……うん、喜んでるね。
私があれこれ注文してたから、ジョンさんは私以外にも居ることを察したかもしれない。
何故か胸元を押さえて辛そうにしてた。次に来たときはお詫びの育毛剤以外にも健康に良いものを持ってきてあげよう。頑張ってるのは充分に伝わるからね。
「あっ、ティナ。それは焼き鳥ですか?」
「本場の料理だよ、食べてみて!」
「はい!」
あー、エナジーカートリッジの再現料理が食べられなくなるくらい美味しい。
レシピも教えて貰ったし、早速調理ロボットにデータを読み込ませたけど、新鮮な料理には及ばないだろうなぁ。
焼き鳥を食べてると何故か罪悪感を感じる。あれかな、共食いになるから?
……深く考えないようにしよう。
「こんなに美味しいものがたくさんあるなんて、地球は素敵な星ですね!」
「食べ物に関しては地球のほうが優れてるよねぇ」
保存食、栄養食が基本のアードや開拓船で生まれ育ったフェルにとって地球の食べ物は衝撃的な美味しさの筈。アードでも新鮮なお肉や野菜を食べられる一部の人以外には需要がある。
まあ、先ずは食べて貰わないといけないからそこが大変なんだけど。
「ティナ、これとても美味しいですよ!食べてみてください!」
そう言いながらフェルが私へニンジンのサラダを差し出してきた。
……これってあれかな前世でも今世でも一切経験がなかったあーんってやつかなまさかそんなことあるわけ無いよねでもそれはそれで嬉しいいや嬉しいなんてものじゃない幸せだよだって妖精系美少女のあーんだよこれで嬉しくないなんて感性を疑うね。
「うん?」
「大丈夫……ん、美味しい」
フェルから差し出されたニンジンのサラダを食べる。しゃきしゃきしてて美味しい。
エナジーカートリッジじゃ見た目と味はある程度再現してくれるけど、この新鮮な感じは再現できないからなぁ。
高いものなら違うのかな?どちらにせよ買う余裕なんて無いけどさ。
フェルとイチャイチャ(?)しながら地球の料理を堪能した。まあ、私は夕食を食べたからあんまり食べられなかったけどさ。フェルは予想通りサラダを中心に、新鮮な野菜をふんだんに使った料理を好んで食べていた。見ていてほっこりしたよ。
ちょっと食休みをして、眠るにはまだ時間があるから私は地球での事を話して明日の相談をすることにした。
「地球の人びとにもセンチネルのことを伝えるんですね」
「対策なんて思い付かないけど、とにかく宇宙へ自分達の情報を発信することを止めさせたいんだ」
『既に地球から宇宙へ発信されている電波を多数確認しています。センチネルが傍受した場合、襲撃を受ける公算は大かと』
「アリアの言う通りだよ。センチネルの活動範囲が分からないから、早とちりになるかもしれないけどね」
センチネルの活動範囲は分からない。天の川銀河全域なのか、それともアードから見れば反対側にある太陽系は範囲外なのか。
後者だった場合は地球への脅威は無いけど、こればっかりは分からない。予測できないなら最悪を想定しなさいってお母さんの言葉もあるし、私もそう考えてる。
問題は、どう訴えるかなんだよねぇ。
「そのままお話しては?」
「証拠がないんだよね。こっちが用意したデータや映像はあるんだけど」
『フェイクであると断定された場合、ティナに対して地球人が攻撃的になる可能性もあります』
「そんな……」
フェルが悲しそうにしてる。そりゃそうだよね。助けに来て疑われて敵視されるなんて悲しすぎる。かといって妙案がある訳じゃない。
「真摯に訴えるしか無いかぁ……」
『幸い、原地名ニューヨークでの活動によりティナに対して好意的な地球人は多いかと』
「先ずは少しずつ味方を増やしていくしかないね」
多分アメリカでは受け入れて貰える……日本?謎の信頼感はあるよね。日本人ならあっさり受け入れてくれそう。
問題はアメリカ側と仲が悪い口の人たちかな。控目に言っても地球滅亡の危機なんだけど、SF映画とかでも皆が一致団結して、何て描写は少なかったからなぁ。
「批判されるかもしれませんよ?ティナ」
「うん、それは仕方ないと思ってる」
いきなりやってきて、それは危ないから今すぐに止めろ何て言われてはいそうですかってなるのは難しい。でも、訴えていくことは大事だと思う。
「大丈夫だよ、フェル。記者会見の前にハリソンさんやジョンさんに伝えるつもりだから」
「根回し、ですか?」
「うん。危機感を共有できたら、知恵を貸してくれると思う」
センチネルの問題は、アードだけじゃない。地球全体で考えていく必要がある。本格的な交流が始まれば、地球の技術水準を飛躍的に高めることが出来る筈。
まだまだ取り掛かり始めたばかりだけど、将来のためにも頑張らないといけない。
翌日、私はお昼前。現地時間で10時30分くらいにホワイトハウスへ移動。何故かジョンさんが凹んでいたけど時間をもらって、ハリソンさんとジョンさんにセンチネルについての情報を伝えた。
簡単に話して反応を見てみると……ああ、深刻な顔をしてる。
「ティナ嬢、そのセンチネルだが……交渉は?」
「不可能です。彼らは全て無人機、長年交信を傍受してある程度は言語を解析できましたけど……プログラムされている命令はひとつだけです」
「それは?」
「知的生命体を殲滅せよ、です」
私の答えにハリソンさんは考え込んでる。
「ティナ、センチネル襲撃してきたとして我々は対応できるかな?」
「これまでの記録だとセンチネルドローンはシールドを搭載していませんし、装甲も薄い。地球の軍事力でも撃破できると思います」
「なんだ、それなら……」
「ただし……万単位の数が際限無く波状攻撃してきます。ジョンさん、対応できますか?」
「……無理だな」
ジョンさんが胸元を押さえてる。どうかしたのかな?
「ティナ嬢、その事を記者会見で説明するつもりかね?」
「はい。今すぐに宇宙へ地球のことを発信するのを止めさせないと危険ですから」
「君の懸念は分かる。だが、このまま記者会見で暴露したらパニックを呼ぶだけだ。君の紹介はするが、センチネルのことは控えてほしい」
「ハリソンさん?」
「先ずは各国首脳と情報を共有する。ああ、安心してほしい。統合宇宙開発局はすべての電波の発信を止めよう」
「ティナ、我々統合宇宙開発局が一番大きな発信源なんだよ。個人レベルで発信するのは出力が小さいから外宇宙まで届くことはない……と思う」
「先ずは足並みを揃えたいんだ。どうかな?ティナ嬢」
んー、出来れば今すぐに個人レベルまで止めてほしいけど……それをしてハリソンさんの言うようにパニックが起きたら目も当てられない。
……任せるべき、なのかな。