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あたしは海に来てた。性別なんて壁であなた
といられなくなってしまうなら、
ここにいる意味なんてない。
『好きだよ』
あの日あたしにそう言ってくれたあなたはもうそばにいない。
…なら、せめてあなたとの思い出の場所で最後を迎えたい。
あたしから初めてあなたに『好き』って言った2人の思い出のこの海。
普通の人が思っているような綺麗な海じゃない。ビーチもければ足場も整っておらず毎回同じところで転けそうになる。そんなあたしを見てあなたは笑って、『またいつもの場所で転んでるじゃん笑』そう言ってくれた。
ただ濃い青色が深くまで続いてるそんな海。
あたしたちにぴったりだと思った。だからあたしの方から告白した。
『好きです。』すっごく緊張して顔も真っ赤になったあたしを見てあなた入ってくれたよね。
『ありがとう。わたしも好きだよ。』
あなたが初めて言ってくれた。嬉しかったよ。
あなたがかわいいと褒めてくれた髪型で。あなたがその服いいねって褒めてくれたお気に入りのワンピースで。あなたとおそろいで買って、結局渡すことの出来なかったピアスをつけて。
もういいんだ。全部終わり。…そう思ったとき誰かが後ろから抱きしめてくれた。すごくあったかくて、どこか覚えのある温もり。
… 後ろを向いたらあなたがいた。
『どうして? 』
信じられなかった。あなたがいた。
「1人にしてごめん。やっぱり考えることはいっしょなんだね笑」
『ふふっ笑当たり前でしょ。あたしたちは運命なの。』
あぁ。嬉しいな。大好きなあなたがいる。
ずっとこうしていたい。
「今度は絶対に1人にしないよ。」
「好きです。わたしとずっといっしょにいてください。」
そう言ってあなたが差し出してきたのは指輪だった。今までみたどんな宝石よりも美しく感じた。
『こんなあたしでいいの?』
「あんたじゃなきゃだめなの」
『ありがとう…あたしもあなたとずっといっしょにいたい。離れたくない。』
指輪をつけてしばらく2人でぎゅーをした。
すごくあったかい。
「いこう」
『うん』
「どこまでもいっしょだよ。」
『次は絶対離さないから!』
ドボンッ!
大きな水しぶきとともにあたしたちふたりは海に飛び込んだ。次は絶対離さない。
あぁ。海って冷たいな。でもなんだろう。
あなたとぎゅーしてるとすごくあったかく感じるよ。好き。大好き。
「ゴポッ あ”い”し”て”る”よ” 」
あぁ。やっと言ってくれたね。
あなたからもらえた最初で最後の
「あいしてる」
『あ”た”し”も”…!あ”い”し”て”る”よ”…!』
1週間後ー
「今日𓏸𓏸市の海で女性二人の遺体が発見されました。女性二人は手を繋いだまま抱きしめ合った状態で見つかったとのことです。警察は自殺として捜査を進めています。」