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当作品は
◾︎ nmmn
◾︎ BL
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を含みます。
nmmnが苦手な方、タグ等上記の意味を理解しかねる方、見覚えがない方は閲覧をお控えいただきますようお願い申し上げます。
また、
◾︎ 話はすべて筆者の妄想・フィクションであること。
◾︎ ご本人様及び関係者、同名の団体、事務所その他とは一切関係・関連がないこと。
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これらを全て了承でき、自衛できる方のみ本編の閲覧をお願い致します。
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リクエスト作品になります。
ruが頑張ってバレンタインチョコを作る話。
約7000字
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街ゆく先々に映るチョコレートのポップ。シンプルなデザインだったり、ハートで可愛らしくデコったり。多種多様なその姿に、小柳はそうか、と腑に落ちた。
バレンタイン。
世のカップルがここぞとばかりに騒ぎ出すこの季節を地球は迎え始めたらしい。
✦︎✧︎✧✦
バレンタインだからと言って特に生活が変わる訳ではない。いつも通り任務はあるし、いつも通り長時間配信もする。だが、バレンタインの情報が視界に入る度、小柳は恋人の姿を思い浮かべてしまうようになった。
…用意するべき、なのだろうか。
きっと星導は今年も用意してくれるであろう。去年だって、美味しそうな手作りのチョコレートを用意してくれたのだ。きっと今年もそれなりに手のかかったものを用意しているはず。
ならば、自分もそれに答えるべきなのでは?
小柳は去年、何も用意していなかった。もちろんバレンタインの存在は知っている。配信でも話題に出るし、今年のように外に出れば嫌でも目に入る。前日くらいには当日渡せないからとスタッフが少し早いですが…と全員に配ってくれてくれるものだから、この職業に立つ今、知らないは通用しないであろう。
けれどまあ、 別にいいか、と投げ出したのがちょうど1年前ほど。当日に星導から綺麗にラッピングされたそれを受け取って嬉しかったのと同時にとても焦ったのを今でも覚えている。その時はそう、ホワイトデーに花でも贈ったのだったか。小柳の恋人は可愛いものが好きなのと同様に、綺麗なものも好きだからかなり喜んでくれた。邪魔にならないよう小さな束の造花にしていたため未だに彼の寝室に飾っているのを見かける。
別に今年もそれでいいっちゃいい。しかし、小柳は悩んでいた。イベント事はいつも彼に任せっぱなしで、小柳が進んで行動するのは彼の誕生日くらいだろうか。申し訳ないと思いつつ、元々イベントを気にするタイプでは無かったから仕方ないと思って欲しさもある。が、イベントを大切にする男と恋人になった今、それは良くないのではないかと思っていたのだ。
(渡したら、喜んでくれるかな)
もし、小柳が手作りのチョコレートをバレンタイン当日に渡したら。…いや、必ず喜んでくれるだろう。仮に彼があまり好まないとても甘いチョコレートを渡したとしても、小柳が丹精を込めて作ったチョコレートならありがとう、と優しく微笑みながら完食してくれると確信している。
ならば、答えは一択。悩む余地すらないではないか。
覚悟を決めた小柳の行動は早い。少しでも良いものを作ろうと努力するだけである。
まずは敵を知るところからだ、と小柳はスマホを開き画面をタップ。
“バレンタイン 初心者 簡単”
“チョコ 失敗しない”
検索履歴に並ぶワードを見て、うわ、と一人で顔を顰める。任務の下調べより真剣かもしれない。
星導は甘いものがあまり得意ではない。苦手なものでも小柳が贈れば喜んではくれるだろうが、せっかくなら美味しく味わって頂きたい。ならば、少しでも彼の好みに寄せるべきだ。
「ビター……カカオ高め……砂糖控えめ……」
ぶつぶつと呟きながら材料をメモしていく。高カカオチョコレート、生クリームは少なめ、洋酒をほんの少し。甘さよりも香り重視。……よし。
✦︎✧︎✧✦
キッチンに立つ小柳は、これまでにないほど真剣な顔をしていた。
何度も何度も材料を確認して、ふぅ、と意気込んで。
溶かしたチョコレートを湯煎にかけながら、温度計と睨めっこする。
「テンパリングってなんだよ……」
説明動画を流しながら慎重に混ぜる。温度が上がりすぎて慌てて火から外し、下がりすぎて再び戻す。任務
よりも緊張するのは何故だろう。
(星導は、こういうの簡単そうにやるんだよな……)
思い出すのは、去年の彼の姿。小柳が何の連絡もなく突然星導の家に凸ったときもキッチンに立っていて、世話になっている人にでも配って回るのかなと思っていたのに、当日に自分のためだと知って胸が熱くなったことは誰にも言えない秘密。
✦︎✧︎✧✦
これは形が歪。これは艶が足りない。これは硬いし甘い。
彼に渡せるほど納得のいくものが完成しなくて、そろそろチョコレートを自分で処理するのにも飽きてきた。誰かに食わせるか、とも考えたが、彼にあげる予定だったものを別のひとに食べさせるのも如何なものかと思いとどまり、最近の主食はチョコレートになってしまっている。
目の前の惨状に、流し台にもたれてはあ、と大きく息を吐いた。シンクの横には失敗作が整然と並んでいる。整然と、というよりは……山積みだ。
お菓子作りなんて生まれてこの方したことが無い。故に道具が揃っているはずもなくて、材料と共にわざわざ買い揃えたというのにこのザマ。先の明るくない未来に全てを投げ出してしまいそうだ。
最初は“少し作るだけ”のつもりだった。彼が喜んでくれるのなら、少し頑張ってみてもいいかななんて。
それがどうだ。形が気に入らない、艶が足りない、硬さが微妙だと理由をつけてはやり直し、気づけば部屋はほんのりカカオの匂いに満たされている。
(これ、渡せるのか……?)
ラッピング用に買ってきた小さな箱を見つめる。
ラベンダー色の箱に、鮮やかな空色のリボン。あまりにも彼そのもの過ぎて悩んだが、結局星導に似合うと思って選んだ。
けれど。
作れば作るほど、恥ずかしさが増していく。渡す瞬間を想像してしまうからだ。
⎯⎯これ。バレンタインだから
……無理だ。
声が震えそうだし、目も合わせられなさそうだし、たぶん顔が赤くなるだろう。…彼からしたらきっと今更なのだろうけれど。
ハグもするし、キスもする。甘い言葉だって、その先だって、彼にしか見せない姿をたくさん見せてきた。
なのにどうして“好きです”を形にした途端、こんなにも怖くなるのか。
チョコレートは、ただの菓子だ。けれど、「バレンタインに渡す」、たったそれだけのその行為で告白のようなものになる。恋人関係にあたる自分たちにももちろんそれは適応され、少なくとも好意を持っていることは明白だ。
去年、何も用意していなかった自分。焦って、誤魔化すようにホワイトデーに花を渡したあの日。星導は本当に嬉しそうに笑っていた。
あの顔を、もう一度見たいと思った。ならば、恥を忍んで努力するしかない。
実際、星導にチョコレートを受け取った時、とても嬉しかった。彼が自分のために作ってくれたのも、自分が喜ぶと思って試行錯誤してくれたのも、全部暖かくて。
みてろよ。アイツが驚くくらい、完璧なチョコレートを作り上げてみせるから⎯⎯
小柳は腕を捲り目の前の愛の代弁者たちと向き合った。
✦︎✧︎✧✦
来たるバレンタイン当日。
あれから何度かトライし続け、遂に納得のいく出来栄えのチョコレートが完成した。完成したはいいが、その後のラッピングにもかなり時間を費やしたのは言うまでもない。
向きが違う、リボンが曲がっている。気づいてしまえば気になるもので、当日までに間に合うか危うかった。
けれどまあ、何とか綺麗に纏められた箱を拝めたのが先日の深夜。任務を早急に終わらせ、配信も休んで取り掛かったかいがあった。これで今日、星導に渡すことができるのだから。
心臓が落ち着かないから早く渡してしまいたいのは山々なのだが、生憎本日の予定は午前中から午後にかけて収録と配信。その後任務に行き、帰り着くのがおそらく21時辺り。
気温的に大丈夫だろうが、万が一のことを考えてチョコレートは家に置いて行く予定だ。今回の収録も任務も星導と会える訳では無いから、夜までは会えない。
メッセージに『夜お前の家』とだけ送っておいた。あまりにも端的すぎるかもしれないが、あの男には伝わるだろう。
浮き足立つ心臓に気付かないふりをして、彼に会えるその時までいつもの小柳ロウとして立つべく、1度頬をぺちんと両手で鳴らした。
✦︎✧︎✧✦
「おかえり、小柳くん」
「…ただいま」
見知った扉を合鍵で開けばソファに座ってスマホを眺めている最愛の姿。小柳の気配に気がついた星導が振り返りおかえり、と小柳の家でもないのに笑いかけてくるものだからつい反射的にただいまと返した。
そのまま立ち上がった星導が、お風呂は?と首を傾げるが、チョコレートを取りに家に帰った際、ついでに入ってきたので遠慮しておいた。
「…あれ、小柳くん甘い匂いする」
ドキり、心臓が脈打ったのが嫌でもわかった。懐にチョコレートを忍ばせているからなのか、それともここ数日チョコレートと共に過ごしてきたからなのか、…きっと後者。早急にバレて頭が真っ白になってしまった。
「…んふ、待って、俺から渡すね。」
固まった小柳の姿を見て、察してしまったらしい星導がどこからか小柳と同じような箱を持ってきた。落ち着いたネイビーの箱に、ラメの入った金色の輝くリボン。どこか小柳を彷彿とさせるその姿に、考えることは一緒なのだなと少しおかしくなった。
「はい、どうぞ。」
「…ありがとう」
「ほらほら、座ろ。お茶淹れるね。」
キッチンに立った星導が帰ってくるのをソファに座って待って、ことりと置かれたマグカップ。開けていい?と控えめに聞けばもちろん、と笑われた。
開けた先には綺麗に陳列された艶やかなチョコレートたち。本格的なその姿に、去年よりも腕前が上がっているような気さえした。
「えぐ、ガチやん。」
「ふふん、可愛くできてるでしょう?ほら、口開けて」
ぐい、とチョコレートをひとつ摘んで口元へと差し出す。何をしようとしているのか瞬時に理解して「やんの?」と目で訴えればほら、とチョコレートが口に触れた。どうやら拒否権は無いらしい。少し気恥ずかしいが仕方ない。他ならぬ恋人の要望だし、他者の目はないから、仕方なく受け入れてやろうと恐る恐る口を開く。侵入してきたチョコレートは想像を絶するほど絶品で、目の前でどうよと自慢げな顔をしている男にぐうの音も出ない。
「うま…」
「やったぁ。小柳くんへの愛を詰め込んだからね!小柳くん専用の味です」
「ハッハ、『隠し味は俺の愛♡』ってか?やかましいわ。」
「やめてあげて、泣くよ、俺が。」
「優しい方やね、普通に。…でもまあ、…ありがとう。めちゃ美味いわ。」
「どういたしまして。喜んで貰えてよかった。……んで?あまぁ〜い匂いを纏わせた小柳くんはだぁい好きな恋人に渡すものがあるのではなくて?」
ぐ、と言葉を詰まらせる。今はお前のターンでしたやん。先にこんなクオリティのものを出されてはこちらも出しにくい。でもまあ、ご所望ならば仕方ない。
文句言うなよ、と一言だけ念押しして、ラベンダー色の箱を取り出した。
「は、ハッピーバレンタイン…なんて、はは……」
案の定震えた声。居た堪れなくなってつい視線を逸らした。ああもう、なんか言えよ。どうすんの、この空気。
チョコレートを差し出したままどうしたらいいか分からなくて、耐えきれず顔を向ければそこで目にしたのは真っ赤に染まっている星導の顔。想定外の反応に、小柳もまた困惑。
どういう事だ、甘い香りで察したはずだろう。小柳がチョコレートを渡したくて家に凸りに来たのも、健気に用意していたことも、きっとあれだけで察したはず。だというのに星導は想定外だったかのような反応を見せている。
「おい、ほしるべ?…星導さん…?」
「へぁ…ッ!? あ、はい、はい星導です!」
「なん…なんでそんな顔赤いん」
「いや、ちょ…ちょっと待ってね、ごめん。うわどうしよダサすぎ、かっこわる。…あーもう、くそ、!」
目の前で自分と格闘し始めた星導。わたわたと動く手足が長いのも相まってかなりキモイ。こんなこと言ったら泣くから言わないであげるけれど。
顔を覆った手の隙間から真っ赤な頬が見えて、今までの緊張が全て吹っ飛んだような気すらした。
「なに、お前。俺からチョコレート貰えて照れるほど嬉しいん?」
「そりゃあ誰でも嬉しいでしょ、好きな子からのチョコレートなんて…」
「まだチョコだとは限らんね」
「うっそ、ここに来てフェイントの可能性あんの?終わってんね」
「んは、冗談。さっさと食えよ」
「……………開けるのこわい」
「は?そんなヤベェもん入れてねぇよ」
小柳の手に置いてあったままの箱をそっと両手で受け取った星導を急かせば、未だうだうだと悩んでいる。
開けるのが怖いってなんだよ。摩訶不思議なものを作ったのかと疑われている気がして眉を歪ませればそういう事じゃなくて…と呟いていた。
緊張が吹っ切れた小柳はもういっそ面倒くさくなってきて、サッと箱を開け1粒つまみ、星導が声をあげる間もなく星導の口に突っ込んだ。
んぐっ、と唐突に口の中に固形のものを詰め込まれた星導は入ってきたチョコレートを数秒口の中で放置して、しばらくしてようやく味わい始めた。もっと堪能したかったのに、と小柳をじとりと見つめながら。
「……………ど?」
「んまい…俺好みの甘さなのやばい、美味しいんだよね、ちゃんと。」
「ちゃんとってなんだよ。舐めてんのかぶっ飛ばすぞ」
「だって小柳くんだよ?あの小柳くん!あ、いや馬鹿にしてるわけじゃなくて。マジで。」
「おう、喧嘩か?買ってやるよオラ」
「違う違う、言葉選び間違えたわ。小柳くん、料理だけは絶対しないって言い張ってたじゃん。な、なのに、なのにだよ?俺のために、俺だけのために、俺が喜ぶと思って頑張ってくれたんでしょ…?そんなの嬉しくないわけないじゃん……」
もう!と何故か悔しそうに再度顔を覆った星導。
小柳はただ、返したかっただけ。去年、星導から手作りの、明らかに手が凝ったそれを受け取った時本当に嬉しくて。宇宙一幸せ者だなと、もうそろそろ死んでしまうのではないかと思うほどに幸福を感じてしまって。自分ばかり受け取るのは嫌だから、せめて同じようなことをしようと思って。
今だって、星導からチョコレートを貰って内心素直に喜んでいる。今年も用意してくれたことが心底嬉しい。愛されているなと目に見えてわかるから。
「もう一個食う?」
「食べます…」
「口開けて」
「また食べさせてくれんの?」
やったぁと素直に口を開けた星導に、つい口角を上げる。小柳はふっと笑ってチョコレートを自分の口へ放り込んだ。
向き合うように距離を縮めて、星導が反応するより早く小柳の手が顎を軽く掴む。
「ん」
柔らかく唇が触れ、突然の口づけに星導の肩がびくりと跳ねた。けれどすぐに、ほんのり苦いチョコの味が唇越しに移ってくる。
「……っ、んんッ」
逃げようとした瞬間、小柳が少しだけ深く口づける。溶け始めたチョコが舌先に触れて、甘さと苦さがゆっくり広がった。舌が動く度にじわりと広がっていく甘さに目眩がしそう。
目の前の星導は混乱しているようで未だ視線をぐるぐると迷わせている。普段おちょくられているのは小柳のため稀に星導のこんな姿が見られるのは随分と気分がいい。
咥内でチョコレートが溶けてなくなった数秒後、名残惜しそうに唇が離れた。
唇が離れた瞬間、数秒ほどの沈黙が落ちる。
星導は何が起きたのか理解が追いついていない顔で小柳を見つめたまま固まっている。さっきまで真っ赤だった頬がさらに色を増して耳まで染まっていた。
一方の小柳はというと、さっきまでの恥ずかしさが嘘のようにどこか得意げだ。
「んふ、ど?美味いっしょ」
わざとらしく首を傾げながら聞く。小柳の得意げな表情と声色に星導は口元に手を当てて、まだ残る甘さを確かめるように舌でそっと触れる。
ビターなはずのチョコレートなのに、妙に甘い余韻が残っていた。
原因は、どう考えても目の前の男。
認識した途端、顔を上げて小柳を睨んだ。
そして真っ赤な顔のまま叫ぶ。
「⎯⎯ッ甘すぎるって!!」
終
素敵なリクエストありがとうございました!
時間かかる場合がございますがコメントからリクエスト受け付けております。
現在はrbruのみ。
詳しく詳細いただけるとより早く仕上げられるかもです。
励みとなりますので感想や反応等もお待ちしております!
コメント
2件
リクエスト受け付けてくださって本当にありがとうございます!ruだけでなくrbの照れまで頂けるとは・・・!この上ない幸せです♡