朝6:30
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いつもの時間にアラームは鳴る
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アラームの音は絶望の始まり。
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無理やり目を開けてカーテンを開ける。
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眩しい太陽が目に刺さる。
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居場所はどこにも無い。
ここにも、あそこにも。
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今日も行き場の無い空間を往復しては寝付いてまた次の日が来る。
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そんな日の繰り返し。
つまらないも何も楽しい事が今まで無かったせいでこれが日常。当たり前の日々。
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ずっと続くと思ってた。
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彼女に会うまでは。
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第14話 夏の冷風
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気がつけば夏休み間近。
教室は熱気で締め尽くされただでさえ居心地の悪い空間が悪化していく。
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彼女は今日も友達と楽しそうに話している。
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彼女と関わる時間は
昼休みと放課後だけ。
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そりゃそうだ。
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彼女にはいつも一緒にいる友達が居るんだ、自分とは違って。
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それでも昼休みと放課後は一緒に過ごしてくれる。
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その度に、彼女の友達は不思議そうにこちらを凝視しながらその場を後にする。
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花音「おまたせーー!!!」
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昼休み
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屋上で弁当を開けるタイミングで彼女は毎回やってくる。
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葵「待ってたよ」
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これが彼女との一日の始まりだ。
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花音「今日はぁ~ピーチスカッシュ~」
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毎朝コンビニで2人分買ってくれてるのだろう。ちょっとぬるくなってる彼女からの差し入れが1番美味しい。
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葵「ねぇ、もういいってば笑
嬉しいけど。お金あるの?」
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花音「そろそろバイトやろうかなって思っててさ」
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葵「バイト…ね。へぇ、凄い。」
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花音「ん?何よ。平日の放課後!火、水、金でシフト入りたいなって」
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葵「平日に、か。」
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花音「アオイも嬉しいでしょ?私がお金持ちになったら、また美味しいとこ連れてくから」
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彼女にとって自分はありふれた中の1。
でも、自分にとっては彼女はたった1人の…
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放課後会えなくなる日が増えるね。
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なんて絶対言えない。
自分だけが求めてるなんて。虚しすぎる
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葵「頑張ってね。応援するよ」
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花音「うん!洋服もコスメも新作スイーツも買い放題なんて夢見たい!^_^♡」
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嬉しそうにその場に寝転がった。
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危ないよ、彼女のスカートが風に揺られて思わず目を逸らした。
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花音「あ…今、目逸らしたでしょwww」
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葵「いやいやいやいやだって、そんなん、、、」
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左手に握りしめていたピーチスカッシュをグッと飲み干した。
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花音「ほんと可愛いなあwwwww
別に私は気にしないのにwwwww」
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花音ちゃんはいいよね、気楽そうで。
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こっちは何故だか君と出会ってから
謎のドキドキが止まらないんだよ。
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花音「屋上って風があれば涼しいね」
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葵「そうだね。教室に居るより全然いい」
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そういうと彼女がじっとこっちも見た。
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花音「アオイ、好き」
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口に含んでいたピーチスカッシュが今にも溢れそうになった。必死で両手で口を抑えた。
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益々心臓の鼓動が高鳴る。
うるさい。うるさいうるさい!!
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落ち着け。
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花音「昔のアオイより、今のアオイの方が︎好き。」
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葵「…」
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彼女の目を見ることが出来なかった。
目を見たらもう、、、
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_おォぃ、花音何してんだよ_
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突然屋上の扉が空いてイカつい3年生が叫んだ。
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誰。。
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花音「ごめん…行かないと」
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葵「あぁ、、うん」
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彼女は何事も無かったようにそそくさと立ち上がり駆け足で校舎に戻って行った。
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そして振り返って一言、
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花音「ずっと、私の好きなアオイでいてね」
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