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ルーマリの声が、ノーマンの胸の奥で小さく響いた。
> 「……ん……ちゃんと、生きてるよ……」
その言葉に、ノーマンの喉がぎゅっと詰まる。
堪えていたものが、いっきに溢れ出すように震えた。
> 「……よかった……ほんとうに……」
彼の腕の力が、少しだけ強くなる。
でもそれは痛いほどではなく、ただ、
「もう二度と失いたくない」という気持ちがそのまま伝わるような抱きしめ方だった。
ルーマリの頬に、ノーマンの涙が落ちる。
冷たい夜風の中で、その涙の温かさだけがやけにリアルだった。
> 「……ノーマン、泣かないで……」
「……泣くよ……だって、怖かったんだ……」
ノーマンは顔を上げる。
瞳の奥には、まだ恐怖と安堵が入り混じったままの色。
> 「もう……君がいない世界なんて、考えたくない……」
ルーマリはその言葉に胸をつかまれるような感覚を覚えた。
何か言おうとしても、喉の奥が熱くて、声にならない。
> 「……大丈夫。ほら、こうしてちゃんと生きてるから……」
ルーマリが微笑むと、ノーマンの顔も少しだけほころんだ。
でもその笑みは、まだ泣き笑いのままだった。
> 「……もう、離さないから」
「……うん……」
ノーマンが再び腕を回す。
ルーマリはその胸の中で、彼の心臓の音を聞いた。
**どくん、どくん**と、自分の鼓動と重なる。
夜空の星が静かに流れる。
風がふたりの髪を撫でていった。
そして——
> 「……ノーマン」
「ん?」
「ありがとう。……助けてくれて」
> 「当たり前だよ。君を助けるためなら、何度でも行くよ」
その声があまりに真っ直ぐで、
ルーマリは思わず涙をまた零してしまった。
ノーマンはそれを拭おうと、そっと彼女の頬に触れる。
震える指先が、優しく涙をなぞる。
> 「……生きててくれて、ありがとう、ルーマリ」
> 「……生きててよかった、ノーマンに……会えて」
ふたりの呼吸がようやく穏やかに重なったとき、
遠くで夜明け前の鳥の声が聞こえた。
──その夜、星の下で交わした約束は、
どんな朝にも負けないくらい、静かで強い光を放っていた。