# 第1話:理想と再会
「姫乃るかさんって……ほんと、完璧だよね」
校門前で交わされたその言葉に、るかはただにこっと微笑んだ。ふわりと風に揺れるスカート、リボンの位置も完璧。成績は常に学年一位、運動も万能、生徒会長としても一目置かれる存在。ファンクラブも存在する、誰もが憧れる 『理想のアイドル』。
「ありがとう♡」
優しく返すその声は、まるで天使のよう。けれど、その笑顔の奥に、本当のるかの心を知る者は誰もいなかった。
校内を歩けば、後輩たちがきらきらした目で手を振ってくる。教師たちも安心しきった様子で声をかける。
「るかさん、次の生徒総会の準備も完璧ですね!!」
「ええ、お任せください♡」
完璧を演じるのはもう慣れた。求められる“姫乃るか”を演じていれば、誰もが愛してくれる。でも、本当に“私”を見てくれる人なんて、どこにもいない。
そしてその日、運命は再び動き出す。
昼休み、屋上へ向かう途中。
「……あれ、るか?」
聞き覚えのある声に、るかの身体がピクリと震えた。
振り返ると、そこに立っていたのは
「もえ……?」
数年前、同じユニットで活動していた相方、如月もえ。突然の脱退と音信不通。るかにとっては、過去を思い出させる“傷”のような存在。
「まさか、同じ学校だったなんてね。……あの時と、変わらないね。るかは」
微笑むもえ。その笑顔の奥に、何か鋭いものが光っていた。
「……久しぶりだね」
心臓が、ずきりと痛んだ。るかは作り笑いで返すしかなかった。
完璧な『姫乃るか』でいなければ、すべてが壊れてしまいそうだったから。
——それが、始まりだった。
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コメント
7件
どタイプすぎて禿げた 二人の関係むちゃ気になるし、思い出させるような傷ってなんだろ😖😖💕 ほんとノベルうますぎだろ👊🏻💕
待って、既に好き… 大好き…
あら私のどタイプ小説 完璧を演じるのになれた子と昔ユニットを組んでいた子…めちゃくちゃ好きなんだが。♡たくさん押します。