僕は、探偵社のみんなの匂いを辿って走る
周りには誰もいない、呼吸の音だけが荒々しく響きわたる
異能力のせいだろうか、ずっと走っているせいだろうか、、いや、今は気にしてる場合じゃない、、早く、探偵社の皆に会いたい その思いだけが僕の足を動かしていた
どのくらい走っただろうか、
探偵社の匂いは雨のせいで薄れその代わりに、血なまぐさい匂いだけが鼻につく
何でこんなに血の匂いがするんだと思い周りを見わたすと、
ビルに血がベッタリと着いていた
サー と血の気が引く、、
いや、これは、、探偵社のじゃない、探偵社のじゃ、、、
その血は、裏路地へと続いていた
僕は、壁を辿って歩く
暗い路地から、話し声が聞こえた
僕は、耳を澄ます
?? 「大丈夫か?」
? 「はい、大丈夫です」
?? 「なら、すぐに移動するぞ」
? 「わかりました」
この声に僕は、勢いよく飛び出す
血まみれの2人はこちらを見て固まってしまった
敦 「国木田さん!!谷崎さん!!」
国木田 「敦、、」
谷崎 「あつしくん!」
谷崎さんは、僕の方に走り寄ってくる
谷崎 「敦くん!無事でよかった」
敦 「お2人も無事で良かったです!」
僕がニコッと笑いかけると、国木田さんは、呆れたように少し笑い、僕の頭に手を置き、「よくやった」と言ってくれた
僕は、その言葉を聞き、心のなかから何かが込み上げてくる
唇を強く閉じ耐えるが、 ポロッと目から額にかけて、涙が流れる
谷崎 「敦くん!?」
敦 「いや、あれ、おかし、、グスッヒック」
谷崎 「え、ちょっ、大丈夫?」
敦 「だ、大丈夫です」
谷崎さんはオロオロしながら僕を見ている
僕は、目を袖でゴシゴシ擦って 、2人を見上げる
僕が国木田さんと谷崎さんに今の状況を教えてください!と言うと、国木田さんが簡潔に教えてくれた
聞く話には、ポートマフィアのボスが与謝野さんが欲しいと交渉という名の脅しをしてきたそうだ。だが、もちろん探偵社が屈する訳もなく、今の事態になっているとの事だった
敦 「そうなんですね、でも、ポートマフィアのボスがそんな探偵社を敵にまわすような事を簡単にするんですかね?」
国木田 「はぁ〜、いいか?ポートマフィアのボスはどんな手でも利用する、拷問、根回し、、人質 」
国木田 「今、手っ取り早く探偵社を脅せる人質が簡単に手に入るチャンスを逃す訳が無いだろう」
敦 「それって、、、」
僕は、頭が真っ白になった
さっきの涙が嘘のように引っ込む
この戦争は、僕のせいで起きた、、
僕が異能を使わないから、、
僕が、寿命を気にしていたから、、
2人を見ると、服が所々破れ、血が滴っている
この怪我も僕がいなければ、、、
そんな考えを察したのか、谷崎さんが声をかける
谷崎 「そんな事ないよ、、」
だが、その言葉は僕の耳には届かない
谷崎さんの不安そうな顔を見て、疑問が浮かぶ
敦 「あの!!他の皆はどこですか?」
谷崎 「それは、、さっきの襲撃で離れちゃって、、」
僕は、それを聞いて、なんとか、役に立ちたいと強く思った
敦 「僕が探し出します!!」
国木田 「どうやってだ?」
敦 「虎の嗅覚ならすぐに見つけ出せます!」
谷崎 「ホント?」
敦 「はい」
国木田 「そうか、ならどっちに行けばいい?」
敦 「えーと、、、」
僕は、少し、鼻に意識を集中させる、、
、何の匂いもしない、、、
僕は、もう一度 鼻から息を吸い込む
何の匂いもしない、、、
国木田 「どうした 敦 」
敦 「匂いがしないんです」
谷崎 「え?」
確かに、さっきまであんなにしていた血の匂いが全くしない、、
もしかして、身体の限界が近いのか、、、
僕の寿命はさっきの数十分で、どのくらい減ったんだ、、、
国木田 「敦は少し休んでろ 」
敦 「すいません、」
谷崎 「なら、どこに行きますか?」
国木田 「ここから少しした所に高い建物がある。そこから状況を確認する」
谷崎 「わかりました」
谷崎 「敦くん自分で走れる?」
敦 「問題ないです」
僕がそう答えると、国木田さんが裏路地から 身体を少し出して、周りを見渡す
僕たちに、来いと合図をだすと谷崎さんが国木田さんに続いて走り出す
僕もそれに続く
僕の足は、もう、使い物にならないだろう
そんな、確定した未来は、今の僕には関係ない話だ、、、
どうせ、もう、、
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敦の残りの寿命 〇〇日
コメント
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敦くん!!!!大丈夫かなぁ!!