テラーノベル
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いつも通り。学校から帰って。バイト。家。寝る。起きる。学校に行く、、、。ただ、それだけの毎日だったのに。どうしてこうなった、、、、、。
「雪、!?、ちょ、、おぉっ!?」
小さくギシィ、とベッドが軋む音。爆速の心拍。濃厚なシャンプーの香り。
「、しよ、凛くん、////?、ここまで、来ちゃったから 、さ♡?」
今、自室のベッドの上で、同じクラスの女子の上に覆いかぶさっている。
俺、西宮 凛《にしみや りん》は私立白樺高校に通う、高校2年生。部活は特にやっていないので、友達は少ない。、、、要は普通の高校生だ。趣味はゲームだが、父親が癌で死んでからは母親一人で育ててもらっているので、しっかり近所の居酒屋でバイトした金で買ってる。ちなみに成人モノは一つしか持っていない。内緒だぞ。今日は四月七日。始業式の日だ。正直だるいが、長期休み明けの宿命である。
「凛、朝ごはんできてるよ~」
「ああ、ありがとう、母さん」
いちごジャムの塗られたパンにかぶりつき、牛乳を飲む。
「ああ、そうそう、、、今日と明日、仕事で家を開けるから。早めに起きて自分でご飯作りしてね」
「ええ、めんどくさ、」
新学期早々これは堪える、なんてことを考えながら制服を着用し、準備を整えて、玄関の扉を開く。
「よし、行ってきます」
「いってらっしゃい」
母とのおなじみの会話を終えて、一歩、二歩と歩いていく。学校からは割と近い方なので、玄関を出てから五分ほどですぐ同じ制服の輩が沢山視界に入る。
更に足を進めていく。
瞬間、後ろから衝撃が。
「よっ、凛。おはよ〜」
「何だ、蚊か」
ゆるく首を絞められる。やっぱり朝はコイツだな。目覚ましになる。
「おかしいだろっ!」
「あっはははっ、悪い悪い、、、」
徐々に強くなっている首絞め。まずい。死因が蚊の絞首なのは困る。
「、、待ってくれ、、わるい、わるが、っだが、ら」
ついに解放される。腕力は蚊じゃない。
「いつもの分も合わせて仕返ししてやったぜ、お得だな」
「はぁ、はぁ、はぁ、あっ、、おはよう、慶」
「、、蚊、 まぁ、なんか気に入ってきたかもな、、、、 おう、慶さんだぞ~」
コイツは十場 慶《とば けい》。蚊だ。
と言いたいところだが、実は違う。たまに鬱陶しいとこらは蚊そっくりだが、去年同じクラスだった、数少ない友達だ。ゲームの話で友達になったが、イケメンで意外と運動もできる口で頼りになる。いいヤツだ。だが、コイツには、、、、、、、、、
「おーい、慶〜?、、あぁ、西宮君と話してたのか、」
「あっ、いけね、杏待たせてるんだった!、、、、じゃあ、先行ってるぞ」
「おお、分かった」
そう、コイツには彼女がいる。
彼女の名前は宵代 杏《よいしろ あん》。蚊の彼女だ。こんな言い方をするとレベルが低いと思われるだろうが、成績も顔も性格も良いクール系JK。女子力も高い。方や蚊。方や美女。どうなってる。まあ、いるもんはいる。いいヤツだからギリ許してやるが、、、、やっぱ顔なんだろうか。いいなぁ。
前から宵代の声が聞こえた。
「じゃあ、また。西宮君。今年も同じクラスだと良いね」
「はい、、その時は、よろしくお願いします」
少し立ち止まり、二人の邪魔にならないようにゆっくりと、トボトボと。一人で校門まで向かった。
「さて、と」
二年一組。俺の今年の教室だ。騒がしいな。
あの後は何も無かったかのようにササッと校門を通り、教室へ颯爽と向かった。周りでボッチなのは俺だけで少し浮いていたので、急いで来た。
ガラガラ、とドアをスライドさせる。進級したてのためか、休みの熱が冷めないのか。
普段なら意識するドアの開閉音すら気に留めず、話し込むクラスメイトたち。想定内だ。少なからず影が薄いというのも絡んでいるが。
「ここか、俺の席。中々いいじゃないか」
教室の左側後方、窓際で角だ。素晴らしい。席の良さに浸っていると、何やら チラチラと視線を感じる。
「?」
「、、あっ、ごめんなさいっ、、、えと、あっ、、ん、、」
視線の方に誘われるがままに、席の右手側を見ると、そこには綺麗な人がいた。それはいいとしても、こんな綺麗な人がこの学校にいたなんて。噂になったりしないのか?
「えっと、私は、天鈴 雪《あますず ゆき》、といいます、今日から、よろしくお願いします」
「あ、ぇ、、お、お願いします、、」
いきなりこんな人に話しかけられてキョドってしまった。恥ずかしい。
「えと、西宮君?、で、合ってますよね、?」
「!、、はい、なんで、知ってるんですか、?」
割と怖い。綺麗な人が俺の名前を知ってる?こわ。
「私、卒業式の前の日に転校してきたんです、、卒業式の日にあなただけ居なかったから、印象に残ってて」
なるほど。確かに俺は卒業式の三日ほど前からインフルエンザで死にかけていたので、その後の学校事情は知らない。
「、とにかく、よろしくお願いします、」
「う、す」
何この子、かわいい。 綺麗な金髪、クリっとした綺麗な目。そして何より胸がデカい。Dカップ位あるんだろうか?、、、いけないいけない。
ふと、教室に響く声。
「よーし、ホームルーム始めるぞ〜!」
担任は去年と同じらしい。聞き慣れた声から号令がかかる。うるさい。
「えー、ということで、新学年、この僕、飛倉 康《ひぐら やすし》が担当してくよ~、よろしく!」
飛倉 康。特に印象はない。というか本当にそんな名前だったのかさえ危うい。
「まあ、今日はもう授業とかはないから、始業式が終わったら安全に帰りたまえ!」
そうして、つまらないホームルームは幕を閉じたのだった。
始業式は特に面白みのないものだったが、強いて言えば、校長の滑舌とハゲが悪化していることだろうか。校長がズラを何週間以内に装着するか、という裏賭博も行われているらしい。賭ける機会があれば、付けないに賭けよう。
そうして今、帰宅しているところだが、、、、
「えっと、西宮君も、こっちなの?」
「あ、うす」
今俺は、隣の席の天鈴と二人きりで下校している。割と緊張するな。
最近、家の向かいの空き家に入居者が来た、と母から聞いていたが、まさかな。
「あ、見て〜!」
「へ?」
「みゃーん」
猫だ。首輪が付いているので飼い猫だろう。ゴロゴロと喉を鳴らして近寄ってくる。
「えへへ、猫ちゃん♪、かわいい〜、よしよし、にゃーん♡」
「、、、、」
なんというか、見てはいけないような、法外ななにかを感じてしまった。今、天鈴は、にゃーんと、そういったのだ。破壊力の高い言葉だと改めて思った。
「、あ、、、/////、ごめん、なさい、、////、、猫、好きで、」
「あぁ〜、ぇ、ぁー、、、///、えっと、こちらこそ、ごちそ、、、すいません、」
「えっと、行きますか、//」
「うす、」
気まずい。少し早めに脚を進める。
あと二十メートルくらいだ。、、、、、
「あ、じゃあ、俺ここなんで、」
「え、?」
「?」
「私、ここなんだけど、、、//」
「」
そんな予感はしていた。帰り道が同じで徒歩な時点で、この方面 は俺だけ。条件が同じで転校となると、もう向かいの入居者であるとしか思えない。
「ん、、、、、じゃあ、これからは、お隣さん兼友達、だね」
「そ、っすね///」
なんで恥ずかしがったんだ、俺。バレたらやばい。キモがられる。
「じゃあ、また、」
「うん、また明日! 」
足早に家に入る。まさか転校生の美少女がお隣さんだなんて。ラノベ主人公か。
靴を脱いで今に向かおうとしとその時、
「コンコンコンッ」
玄関をノックする音。扉をノックする音。慎重にドアを開けると、
「西宮君、えっと、その、、今日、泊めてくれない?/////」
「は、ぁ、?」
一話 《完》
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