テラーノベル
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途中まで書いてたけど飽きたし着地点分からんくなったので没
でもわりかし長めに出来てたのもったいないんで公開します。後悔しないように。
一応死ネタ
奏斗が死んだ。
真夏の、セミがうるさい日だった。奏斗は仕事が終わって車で帰っている時、トラックと衝突したらしい。トラックの運転手は生きていて、どうやら熱中症になって気を失い奏斗の車と衝突してしまった。奏斗は即死だった。現在そのトラックの運転手は裁判にかけられているが弁護士の話によるとどうやら過失致死罪になる可能性が高いとのことだ。調べてみると、過失致死罪は罰金50万円以下、もしくは7年以下の拘禁刑になるらしい。少し、悲しくなった。50万も7年も少なすぎるし短すぎる。そんなチンケなもので奏斗が死んだという事実を突きつけられるのは正気の沙汰では無い。そもそも、お金や時間など後からどうにでもなる。
どうにかなる、あの運転手には未来があるのだから。一方、奏斗には未来が無い。閉ざされてしまった。……運転手の不注意によって。いっそ運転手を殺してしまおうかと思ったが、セラおとアキラに止められてしまった。2人曰く「そんなことをしても奏斗は帰ってこない」「奏斗が悲しむ」だとか、なんだとか。分かっている、分かってはいるが……心の奥底で奏斗が帰ってくるのを願う自分がいるのも確かだ。いつものおちゃらけた表情で、声で、玄関を開けて「ただいま〜」なんて言って帰ってくる彼を待ち続けた。この彼と暮らしていた玄関の前で、ずっと、ずっと。けれども彼は、奏斗は…帰ってこなかった。
「じゃあ、行ってきます!!」
スーツケースを両手で持ち、地面に置く。2人に手を振ると心配そうな顔でアキラが、
「ほんとに、行くんですか?」
「その……まだたらい向けの依頼が来るかもしれないので……」
いじらしい。素直に行って欲しくない、まだここにいて欲しいと言えばいいのに、それを直接言えないいじらしさが可愛らしい。
俺はアキラの頭に手を乗せ思いきり撫で回す。
「うわっ、ちょ!?」
「ごめんなぁ、アキラ。俺家に戻んなきゃいけなくなっちゃった」
「ここ5年は自由にさせてくれてたけど、そろそろ世代交代らしくってさ」
「あとバイトも、ね。無くなっちゃったから」
一瞬2人の表情が強ばる。それに気付かないふりをして、アキラの頭から手を離すとすぐにアキラはぶつくさ言いながら髪を直し始める。その隣でセラおが笑いながら「凪ちゃんの髪変なの笑」なんて言っている。……この場に居たくないなぁ。彼らが眩しすぎて、俺が消えてしまいそうだ。
「じゃ、そろそろ行くね」
「雲雀」
そそくさと退出しようと後ろを振り向いたと同時に、背後のセラおに話しかけられビクッと驚いてしまう。
「帰ってくるよね?」
……そんな、悲しい顔で言わないで欲しい。元々ここに帰る予定は無かった。……奏斗の居た痕跡が残っているこの場所は俺には毒すぎた。奏斗の痕跡を見つけてはあの日の苦しみが喉の奥から込み上げてきて何度も吐きそうになった。だから、セラおとアキラには悪いがここには居たくない。ダメなんだ。奏斗との思い出を思い出したく無いんだ。
「……仕事が落ち着いたらね」
「……ん、分かった」
「本当にそろそろ行くね。電車の時間が……」
時計を確認すると電車の時間まであと少しだった。走っていけば間に合うが、最後かもしれないからゆっくり歩いてここを目に焼き付けたい。そんなことを考えてアキラの方を見ると驚いた。アキラが、泣いていた。
「えっ、は、アキラ……さん??」
問うてもアキラの口からは嗚咽しか出てこなかった。数回深呼吸してなんとか声を発せられるようになって、
「絶対、帰ってきてくださいね」
「セラ夫も、私も……待ってますから」
アキラの隣でセラおもうんうんと頷く。
「……うん」
俺は2人を背に、駅に向かった。
今回の依頼はマフィアのアジトにある美術品を取り返して欲しいというなんとも妙な気持ちになる依頼だ。「マフィア」。何度も頭の中でその言葉を反芻する。そういえば、彼ら──アキラとセラおは元気だろうか。あれから3年経った今でもあの場所には帰れていない。まだ、奏斗がいるような気がして受け付けない。
…ネガティブになってはいけないと思い自分の頬を両手でパンっと叩く。気合いを入れなければ。作戦は明日なのだから。
「や〜ば」
マフィアのアジトに侵入したは良いものの警備が固い。マフィアの癖に中々勘のいい…なんて思いながら煙幕を目的の美術品近くに投げる。警備にあたっていた奴らが警戒を強める声を張り上げる。俺はマスクを顔に装着し、美術品の元へと急ぐ。その時、腕を掴まれた感触があった。バッと振り返ると警備にあたっていた一人で、手にはスタンガン。終わった、と思うと同時に俺の意識は無くなっていた。
次に意識を取り戻したのは水をかけられる感覚でだった。
「あ、起きた」
「ボス!!この盗人起きましたよー!!」
ボスと呼ばれた男が部屋の奥から歩いてきて、俺の目の前でしゃがみこみ前髪を掴んで顔を無理やり上げさせる。
「お前、目的は?ん?」
「……っ、」
「ま、迷いこんじゃって…まさかマフィアのアジトだとは知らず…」
まさかここで本当のことを言うわけがないだろう。言ったら確実に殺される。
ボスの男がじ〜と顔を覗き込んでくる。
「嘘はついて無さそうだよなぁ。うん、好青年って感じ」
ボスの男が手を離し、代わりに頭をポンと撫でる。
「可哀想になぁ。知らないで乗り込んで来たんだもんなぁ?」
俺が必死に頭を縦に振っているとボスの男がぷはっと笑い出す。それに続いて手下達も笑い出す。…少し恥ずかしくなってきた。
「はー…お前かわいいな笑」
「今回は許してあげるわ」
俺がホッと肩を下ろすと、ボスの男が
「でもアジトに入ったのはダメだよな?」
「おーい、こいつ、サツに告げ口しないようにある程度痛めつけとけ?」
「……え、?」
突然の手のひら返しに驚きを隠せない。ボスの男が手を振って部屋から退出していく。それの入れ替わりのように手下数名が近寄ってくる。みな体格が良く、縄抜けしても逃げ出せるかは分からない。これだけの体格差があると、俺を殺すのは簡単だろう。……終わった。まだ歌歌いたかったな。アキラとセラおにも、会って話がしたかった。……でも、奏斗に会えるかな。それなら良いか。死んでも。
コソコソと目の前で手下達がどうする?などと相談しあっていた。……出される案は意外と良心的で、そこまで残虐性は無いようだ。殺される心配は無いかなと安堵する。すると、手下の1人が
「俺、その、割とこの盗人の顔がタイプというか……」
「……は?まじかお前」
「趣味悪、だからお前は童貞なんだよ」
…なんだ?何を話しているのだろう。タイプ?童貞?俺への拷問の話では無いのか。
「じゃあお前だけ童貞卒業コース?笑」
「良いんすか笑」
「良かったら言ってな!俺も男はどんなかだけは興味ある笑」
そんな話をしながら手下が一人近づいてくる。咄嗟に身構え、キッと手下を睨む。
それに苛立ちを覚えたのか肩を強い力で押し、俺を押し倒す形になる。
手下の顔を見ると顔が少し赤面しており、興奮している様子だった。俺はゾッとした。この男は俺に欲情している。その感覚は、奏斗以外からはもう受け取らないと思っていたのに。俺が硬直していると、男が顔を近づけて無理やりキスしようとしてくる。嫌だと顔を背けると頬を手で掴まれ、キスする、という直前。目の前に光が広がった。
「これ、僕の獲物だからやめてくれる?」
なんだか見覚えのあるシルエットの男が、先程の手下と俺を遮るように間に立っていた。
金色の髪、程よい肉付きの体、記憶の片隅にある奏斗と同じ声、違いとしては羽と眼帯のようなものが付いているくらい。
「か、なと……?」
奏斗?がこちらに向き直る。
「……会ったことあったっけ?初めまして、だよね?」
少し、胸が痛くなる。奏斗らしき人物に心の距離を感じる。もし奏斗では無いとしたら彼は一体なぜここに…。
すると奏斗?の乱入に驚いて黙っていた手下が奏斗?に向かって声を荒らげる。
「誰だよお前!」
「えー…別にお前に用はないんだけどね?」
質問の回答になっていないことを言いながら奏斗?は俺の拘束を解く。
「あ、ありがとう」
「うん」
手下が舌打ちし、無線に向かって応援を呼びかけている。まずい、と思い逃げ出そうと立ち上がるがまだガスの影響かまっすぐに立てなかった。それを見兼ねた奏斗?が俺の腕を掴み宙に浮かび上がる。
「はっ?!え、浮いてる!?」
「僕天使だもん。そりゃ羽の2つや3つ……」
「3つもあってたまるか」
「……まぁ、無宗教そうだし、知らないか」
俺は何か仕掛けがあるのかと上空を見たがよく手品で見るワイヤーらしきものは無く、先程見た背中に生えている羽らしきものが動いていた。それで飛んでいるのだろうか。……便利そうだな。
下から発砲音が聞こえ、右足に銃弾が掠める。
「…っぶな」
「当たった?」
「いやギリセーフ」
「……ならいっか。じゃあ、ちゃんと掴まっててね?」
最後の方飽きてきて展開バカ早い
コメント
2件
気になりすぎるーーー!😭