神域の本拠地は静寂に包まれていた。戦いが終わり、残されたのは零と少数の下っ端だけ。彼らはそれぞれの異能を使って本拠地を整え、戦いの後処理を行っていたが、零はその場にじっと立ち尽くし、何かを見つめていた。
その目線の先には、南無の遺体が横たわっていた。戦闘中、南無は致命的な傷を負い、その命を落とした。しかし、零にはその遺体に対して異常な興味が湧いていた。
零:「あ、こいつ、最恐のくせに死んだんだ。」
零は淡々と呟いた。南無の死は彼に衝撃的だったが、同時に新たな可能性を感じていた。その直感は間違っていなかった。
零は自分の異能を発動させ、南無の遺体に手を触れる。その瞬間、南無の体を包み込むようにして、何かが動き出す。霊的な力が体を包み、南無の死体が徐々に変化を始めた。
零:「この力体…無駄にしてはいけない。」
その時、遺体の中に宿った霊が覚醒する。霊が体を支配し、徐々にその体が変わり始めた。南無の姿が、まるで何かに取り憑かれたかのように変化していく。その姿は、遥か昔の歴史に名を刻んだ室町時代の最恐の武士――その名は「武田 忍」だった。
武田忍(南無の体に受肉):「私は、誰だ…?」
南無の遺体に宿った霊は、ゆっくりと目を開け、周囲を見回す。その瞳にはかつての武士としての誇りと凄みが宿っていた。彼の体を支配していたのは、死後もその名を恐れられた伝説の武士だった。
零:「ようこそ、武田忍。」
零はその場に立つ南無(武田忍)の姿を冷静に見守っていた。微笑みはなく、ただその状況を受け入れているだけだった。
零:「君の力を借りたい。」
武田忍は静かに歩み寄り、零の前に立った。その冷徹な眼差しを向けると、武田忍は無言で頷く。彼の体からは、武士の誇りと力が滲み出ていた。
武田忍:「俺がこの体を使い、再び世界を動かす。」
南無の体に宿った武田忍の力は、計り知れないものがあった。彼の異能は、かつての武士としての技術や精神力がそのまま宿り、戦場においては無敵と言われたほどのものだった。それが再び、零の手の中で活かされることになる。
零:「これで新たな戦力が手に入った。」
零の目には冷徹な輝きが宿っていた。彼の心には、すでに次の戦いのビジョンが浮かび上がっている。武田忍の力を得たことで、神域は新たな力を持ち、再び戦乱の中で力を示すことになるだろう。
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