「そういえば、あなたお名前は?」
“ ? “
登校時間はもうとっくに過ぎている為、どうせ急いでも同じだろうと
私はしばらく一緒に歩いている人物と会話をしていると、ふとそんな会話になった
「もしかして、名前が無いの?」
” あなた 私 名前 付ける ! ”
「私が?うーん、」
歩いている音から察するに、この人は足を引きずりながら歩いているのだろう
そして私より身長が小さい、這いずりながら歩いているのか
「じゃあ、這いばいさん?」
“ 私 あなた 名前 貰った ! ”
這いばいさんは嬉しそうに笑いながら、私の手をまた強く握った
「ふふっ、喜んでもらえて良かった」
そうして、私はまた這いばいさんと会話をし
ていると、カツンと鉄と傘がぶつかった音がし、手で学校の名前を確かめると、
ようやく辿り着いたと安堵した
「ここまでありがとう、這いばいさん」
“ あなた 1 行く? 一緒 ダメ ? ”
「うーん、流石に一緒はダメかな、
” 私 夕方 ここ 来る ”」
“ 可能 あなた 話す ? “
「うん、またいっぱい話そうね」
” 分かった、 私 あなた 待つ ! ”
「ありがとう!這いばいさん」
私は這いばいさんと別れ、そのまま校舎へ入っていった
「巴ちゃん、どうして今日遅刻したの?」
「ごめんなさい、少し道に迷ってて」
その後、私は傘を白杖代わりに職員室へ入った
「はぁ、あのね巴ちゃん。もう小学1年生でしょ?もうお姉さんなんだから、そんな遊びは終わりにしたら?」
「、、、」
私はスカートの裾を強く握った
本当に見えないのに、
「それに傘、ちゃんと傘立てに置かないとダメでしょ?」
先生がそう言った瞬間、
“ 触るな ”
「ひっ?!」
「?!」
そんな声が私の耳元で聞こえ、先生は怯えたような声を上げ、私は首を傾げた
“ 彼女 違う 触る 許す ない ”
「痛い痛い!!なに、なんなのよ!」
「先生、?!」
耳元で這いばいさんと同じ言語が聞こえ、前からは先生の悲痛な悲鳴が聞こえた
“ あなた 好き 好き 彼女 殺す ? ”
またそんな声が聞こえ、殺すというワードに冷や汗を覚える
「 ” だ、ダメ ! 殺す ダメ ! ”」
“ ..分かった あなた 言う 聞く ”
「っは、はぁっ、はぁっ、」
すると、先生が必死に呼吸をする音が聞こえた
「先生!」
「ま、松山先生?!大丈夫ですか?!」
私が音を頼りに先生へ駆け寄ると、騒ぎを聞きつけた先生が次々と職員室へ入って来た
「ひっ、来ないで、来ないでぇ!!」
「うぐっ!」
私は半狂乱に叫ぶ先生に突き飛ばされ、床へ倒れる衝撃に備えたが
“ あなた 平気 ? ”
「あれ、痛く無い、?」
ボスンという音が聞こえ、何かに受け止められたのだというのが理解できた
「巴ちゃん!君はもう教室へ行きなさい!」
「わ、わかりました、」
私がそう返事をすると、私を受け止めている人物が私の手に傘を握らせた
“ あなた これ 必要 ”
「あ、ありがとう、」
私は受け止めた人物に礼を言い、傘を軽く地面へ叩きながら職員室を後にした
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「にしても、相変わらずおかしな子ですね
巴ちゃんって」
「そりゃそうよー!なんでも巴ちゃんのお母さん薬物を摂取してるって噂よ?」
「あらまぁ、じゃあ親がそうなら子も子ね」
「それにしても、巴ちゃん
一体何と話していたのかしら?」