「最近まふゆとどう?」
「奏……?」
奏がセカイにいて嬉しくて話しかけたらこれだ。拍子抜け。私は純な気持ちで奏と話したいのに。
「どうって、普通だけど……」
「絵名、まふゆを家に呼んだんでしょ?」
「え、え……?」
「リンから、聞かせていただきました」
お辞儀をして、少し私を拝んだ(?)後に、奏は一つ咳払いをして真剣な表情でこちらを向いた。
「ねえ絵名。この前の台風の日、どうして絵名がまふゆの分まで連絡したの?」
「あー……ああ、あれ。瑞希にはからかわれそうでまだ言ってないんだけど、まふゆを家に呼んでて、そしたら台風になっちゃって。それでまふゆを家に泊めたんだよね……」
正直、瑞希に何を言われるのかわからないので中々言い出せない。いや、想像はつく。あの絵名がまふゆを家に泊めるなんて〜、って嬉しそうにからかってくるのだろう。
「って奏、どうかしたの?」
奏は顔を両手で押さえて上を向いている。
「いや、よくわからないなって」
「あー、そうだよね。私もまふゆを家に呼ぼうなんて、ちょっと前までは思わなかったし」
「それって、まふゆを膝枕してることと関係あるの?」
「え、それ知ってたの!?」
「リンから聞いたよ」
「リンのやつ……」
人にすぐそういうこと言っちゃだめって教えなきゃ。私の言うことなんて、聞かなそうだけど。
「関係、なくはないかな。ただちょっと仲良くなりたくて、ふと誘っちゃおうって思ったのかな」
「絵名にとってまふゆはどんな存在なの?」
「な、何その質問……。うーん、子供みたいな、感じ?」
「子ども?」
「私が親で、まふゆが子供……。そう、子供」
だって、すぐ手を繋いでくるし、悪夢を見て嫌がるような子だし、何一つとして間違いではないと思う。
「ちょっとかわいい顔もするし……」
「ふーん、好きなんだね」
「好き、好き……そういうのじゃ、母性?」
友人とかとしての好きってよりかは、面倒見なきゃっていう気持ちが大きい。危なっかしいところはたくさんあるし。
「母性かぁ。まあそれでもいいかな」
「ええ、どういう……」
「まふゆが安心できる存在って貴重だと思うから。絵名にはこれまで以上にたくさん支えてあげてほしいかな」
「……奏」
「勿論セカイのみんなとか、わたし達もそういう存在でありたいけど、多分絵名に見せてるような顔なんて全然知らないと思うから」
「…………」
「これからも、まふゆのことをよろしくね。絵名」
「……奏にそこまで言われたなら、頑張らなきゃね。うん、任せて!」
あれ、どうして私はまふゆを任されているのだろうか。まあいいや、奏からの言葉だし。
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