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心の中で親指を立てた俺を、新人はゾッとするような黒い笑みを浮かべて見つめる。

「先輩はとても優しい方ですから、僕の面倒を見ないなんてことをしませんよね?」

「え……?」

新人は膝の上に置いたままのスマホに触れ、俺に注目させる感じで撫で擦った。

「先輩は僕の面倒を見る義務があること、お忘れなく♡ はい、お箸です!」

普通に微笑んだ新人は、押しつけるように割り箸を手渡す。仕方なくそれを受け取り、注がれる視線を振り切るために顔を前に向けた。花園常務がお重の蓋を開けたのを確認後、同じように目の前に置かれたお重の蓋を開ける。

「あっ、いけない。すみません、お茶淹れてきますね」

「だったら俺が――」

ローテーブルに箸を置いて腰を上げかけると、目の前にいらっしゃる花園常務が俺に声をかける。

「島田くん、こういうのも息子にやらせてくれ。本来なら食事の前に、気づかなければいけないことだろう?」

「あ、はい。そうですね」

腰をおろしたタイミングで、新人が部屋を出て行った。その後も花園常務と他愛のない会話を続けている最中に、温かいお茶を持参した新人が戻ってきて、それなりに和んだ雰囲気で会食をすることができた。

(なんだかんだ言いつつも、花園常務が用意したうな重というエサに食いついた俺は、いいように利用される社員になり果ててしまった……)

後片付けに勤しむ新人が追いかけてこないように、早足で部署に戻る。これ以上問題児と接触して、神経衰弱しないように施さなければならない。

「とは言え、合同プロジェクトが開始されたら、四六時中一緒にいることになるんだよな」

ぽつりと呟いた瞬間あることに気づき、上着のポケットに入れっぱなしのスマホを取り出した。そして新人の面倒を見ている同期の林に、アプリで連絡してみる。

『ちょっと聞きたいことがあるんだけど、今日時間あるか?』

最速で問題解決したかった俺は、今日という期限を勝手に指定して、新人の面倒を見ている林に訊ねた。昼休みが終わっていたのもあり、既読は着かなかったが、仕事をしながら連絡を待つ。

恋の撃鉄(ハンマー) 挨拶からはじまる恋♡

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