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《もうすぐ退院します》とメールをして、返事が返ってきたのは二分後だった。
日付けと地図が有って、《此処の屋上で待ってる》とだけ書いてあった。
指定された場所は、マフィアの拠点のからそう遠くない場所だった。此れなら迷わなくて済みそうだ。
「お大事に」
「はい。お世話になりました」
退院の日。お迎えは頼まなかった。森さんは是非と云ってくれたが、丁寧に断った。
何故なら、寄りたい処があったから。
「久しぶりだね。」
私がそう云った相手は、綺麗に磨かれた墓石だった。
「退院もしたし、私·····そろそろ自分に素直になろうと思うの。だから応援しててね、雪乃」
花を供えて、私は墓地を後にした。
一先ず家(勿論事務所では無い、マフィアの方に用意された一人部屋)に帰って、入院中の荷物を置かないといけない。其れから
「心の準備、しないとな」
今日は、自分から云うのだから。
指定された場所に着けば、既に彼は居た。フェンスに手を掛け、向こうの方を見ている彼に近づき、自ら声を掛けた。
「お久しぶりです、中也さん」
私の声に反応して振り向いた中也さんは、無言で何かを差し出してきた。小さな箱の蓋は開いていて、月光に照らされて見えたのは、指輪。
「?」
「太宰から、全部聞いた」
「えっ!」