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翌朝。
「おはよー!」
「おはよう!」
いつもなら穏やかな朝の教室。
けれど今日は、空気がどこか違っていた。
教室に入ったこさめは、すぐにその異変に気付く。
ひそひそ。
「……あの子。」
「会長に落札された。」
「再オークションの話、本当なのかな。」
「もしやり直しになったらどうなるんだろ。」
そんな声が、あちこちから聞こえてくる。
こさめはぎゅっと鞄を握りしめた。
🦈(再オークション……。)
昨日の夕方。
らんやなつと別れたあと、家に帰ってからスマホを見ると、学校の掲示板はその話題ばかりだった。
『公平じゃない。』
『もう一回やるべき。』
『一人が全部使うなんて反則みたいなもの。』
もちろん、
『ルール違反じゃない。』
『負けたから騒いでるだけ。』
という意見もあった。
賛成と反対。
学校中で意見が真っ二つに割れていた。
🍍「こさめ!」
元気な声とともに、なつが教室へ入ってきた。
🍍「おはよ。」
🦈「お、おはよう。」
🍍「なんだその顔。」
なつはこさめの席に座る。
🍍「掲示板見たろ。」
🦈「……うん。」
🍍「気にすんな。」
なつは即答した。
🦈「でも……。」
🍍「でもじゃない。」
なつは少し真面目な顔になる。
🍍「お前、何か悪いことしたか?」
🦈「……してない。」
🍍「だろ?」
🦈「ルール守ってオークション終わった。」
🍍「それだけ。」
🍍「だから堂々としてろ。」
その言葉に、こさめは少しだけ肩の力が抜けた。
6,472
翠玲
1,991
1,810
🦈「ありがとう。」
🍍「おう。」
その時。
🌸「おはよう。」
らんも教室へ入ってきた。
二人の様子を見るなり、小さく笑う。
🌸「もう励ましてたの?」
🍍「当たり前。」
なつは腕を組む。
🍍「こさめ、すぐ気にするから。」
🌸「ふふ。」
らんはこさめの頭を優しく撫でた。
🌸「俺もなつと同じ意見。」
🌸「こさめは何も悪くない。」
🦈「うん……。」
少しだけ笑顔が戻る。
そんな三人を、教室の後ろから見ている生徒がいた。
何も言わず。
ただ静かにスマホを操作する。
そして掲示板へ新しい書き込みを投稿した。
『本人は何も悪くない。でも制度は見直すべきだ。』
投稿ボタンを押すと、静かにスマホをしまう。
誰にも気付かれないように。
昼休み。
生徒会室。
📢「……増えてる。」
いるまがスマホを見ながら眉をひそめた。
🍵「またかぁ。」
すちは書類を整理しながら聞き返す。
🍵「賛成派?」
📢「うん。」
📢「朝から一気に。」
📢「でも反対も増えてる。」
みことはノートパソコンで掲示板を確認していた。
画面には何百件もの書き込み。
『ルール通りなんだから問題ない。』
『再オークションなんて前例を作るな。』
『会長だから狙われてるだけ。』
『公平性は必要。』
意見は混ざり合い、収拾がつかなくなっていた。
👑「……。」
みことは静かに画面を閉じる。
🍵「みこちゃん。」
すちが心配そうに声を掛ける。
🍵「こさめちゃん、大丈夫かな。」
👑「そこが一番心配。」
みことは小さく呟く。
👑「俺は何を言われてもいい。」
👑「でも。」
👑「こさめちゃんが傷つくのは嫌だ。」
📢「だよな。」
いるまも珍しく真面目な表情だった。
📢「こさめ、きっとああいうの気にするタイプだし。」
📢「放っておくと一人で抱え込む。」
🍵「うん。」
すちも頷く。
その時だった。
コンコン。
「失礼します。」
一年生の役員が入ってくる。
「みこと先輩。」
👑「どうしたの?」
「審査委員会の日程が決まりました。」
一枚の紙を渡される。
**三日後 放課後。
恋人契約再オークション申請・審査会。
👑「三日後か。」
みことは静かに紙を見る。
👑「思ったより早いね。」
「はい。」
「校長先生も出席されます。」
部屋が静かになる。
👑「校長まで。」
いるまが頭をかく。
📢「結構大事になってきたな。」
👑「うん。」
みことは頷いた。
👑「だからこそ。」
👑「感情じゃなく、ルールで話す。」
👑「それが生徒会だから。」
その瞳には迷いがなかった。
その日の放課後。
二年A組。
「じゃあね!」
「また明日!」
生徒たちが次々と帰っていく。
こさめも鞄を持ち上げた、その時だった。
🍍「こさめ。」
なつが呼び止める。
🦈「ん?」
🍍「今日さ。」
🍍「ちょっと寄り道して帰らね?」
🦈「寄り道?」
🍍「クレープ。」
🍍「駅前に新しい店できたんだって。」
🌸「いいね。」
らんも笑う。
🌸「俺も行きたい。」
🦈「え、ほんと?」
こさめの表情がぱっと明るくなる。
🦈「じゃあ三人で……。」
そう言いかけた時。
コンコン。
教室の扉がノックされた。
👑「失礼します。」
聞き慣れた優しい声。
🦈「みこちゃん。」
こさめが笑顔になる。
みこともその笑顔を見て、ほっとしたように微笑んだ。
👑「迎えに来たよ。」
すると、なつがにやりと笑う。
🍍「会長。」
🍍「今日は俺ら、こさめ連れて寄り道する予定なんだけど。」
🦈「え?」
こさめは目を丸くする。
みことは少し驚いたあと、小さく笑った。
👑「そうなんだ。」
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