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けたたましく鳴る雷。周りの景色が分からないほどの豪雨。黒く濁った空を見つめながら、バス席のガラス窓に映る自身の顔を見ていた。
「…なんで、私たちが…」
隣の席の…おそらく高校生くらいの女の子が呟く。顔は俯いていて、表情は分からなかったが、ひどくやつれた顔をしているのだろう。このバスに乗っている乗客全員、そんな顔をしているからだ。
「…ぐすっ、スン…」
驚いた。突然、隣の女子高生が啜り泣き始めたのだ。子供が隣で泣いているのに、放っておく大人がいるか。
『…大丈夫?』
そう言って、バス席に取り付けられていたティッシュを取り出し、手渡す。
「え…あ…あの、ありがとぅ、ございます…」
初めは驚いたようで、少し大きな声が出ていたが後半につれてだんだんと声がか細くなっていった。もう少しきちんと話した方が、愛想はいいぞ…と、説教じみたことを考えるが、この状況でそんなことも言えるはずがない。むしろ感謝の気持ちを伝えただけで褒められるレベルだ。
「…あの、お名前を聞きたいのですが…」
女子高生が私に尋ねる。…今聞くことなのだろうか…
『…龍野』
『…龍野、紅蓮』