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硫酸バリウム@低浮
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※誤字脱字・捏造・学パロ・キャラ崩壊・nmmn・伏字なし
すれ違ってまた遠回り。星導ショウ
「いつものファミレス集合。」字面からしたら冷たい奴である。
集合のかかった店の最寄りの駅で降り、改札口でスマホをかざし、外に出て少し歩けば、雪積もっていて少し見えづらいが、見覚えのある看板がお出迎えだ。
「どうしたんですか急に呼び出して、また恋愛相談ですか?」
「それ以外何があると思ってんだバカ」
小柳ロウは謎である。先に着いていたらしく店の奥のボックス席に座り、コップに注がれた炭酸飲料をストローでくるくると回してあそんでいた。俺はすかさず首元を覆っていたマフラーを外してドリンクバーを頼み、対面になるように座る。
学校ではクールな一匹狼で有名な彼が実はこんな人間だってこと、思いがけないギャップである。
「相談に乗ってもらう人の態度なんですかね、それ」
自分の恋愛事情なんて話さないと勝手に思い込んでいたから、尚更イメージとはかけ離れて行っていた。
「マジでさ、全然振り向いてくんないの」
「へぇ~それは残念ですね」
「他人事かよ、ほらモテる男として何かアドバイス」
「ないですよ、しかも小柳くん聞く相手間違えてますよ」
当方、小柳くんに俺は女性も男性もどっちもきっと好きになるんですよ、と曖昧に恋愛から自分は遠い存在だと返したばかりなのに。
「関係ねぇよそんなの」
「はぁ…」
にしてもどうも小柳くんは恋愛相談となるとグイグイ来るものだ。
の、割には自分では絶対に告白しないと言い切っている。なんて面倒くさい奴なんだ。
「てか星導はさ、好きな人に気持ちを伝える時どうする?ストレートに伝える派?それともじわじわ攻めていく派?」
「…伝えるも攻めるも何も、俺は傍に居られればそれ以上の関係は望みませんよ。」
なんでこういう時にこの人は乗り気なのか俺には良く分からない。本当にやめて欲しい。だって一人あなたにひっそりと恋心を寄せている俺がバカみたいじゃないか。
「ふ~ん、傍に居れればいいってなんか惨めじゃね?そういうの」
聞いておいてなんだそ返事は。人の気も知れないで。惨めな俺は置いておいていつも通りウェンやマナと話せばいいものをどうして俺に聞く。
「俺はビビりなので、相手に傷ついてほしくないんです。」
もう一度言わせてもらう。俺はコイツに男性も女性も好きになる。そう伝えているのだ。小柳くんの恋愛相談に乗っている以上、俺はこの気持ちを彼に伝えることは出来ない。そう確信している。
だって迷惑じゃん?友達だと思ってた人から急に恋心伝えられてさ、でショックを受けて新しくできた俺じゃない恋人に縋って、自然と距離が出来てしまう。自己中心的な考えだが、俺はそれは御免だ。
「へー…」
俺に喋らせておいてなんてなんだその素っ気ない態度は。小柳君は俯いてストローをくるくると回した。何だか落ち着きがなさそうだ。
時々氷がコップに当たってカランカランと音を立てる。寒い時期だが、暖房が聞いた室内では躊躇なく氷と一緒に飲み物を楽しむことが出来る。
「じゃなくて、小柳くんの相談でしょ?俺が喋ってどうするんですか?」
必死に話を逸らす。彼には俺の心に足を踏み入れて欲しくないからだ。
小柳くんが顔を上げ、俺と目を合わす。反射的に目を逸らした俺はコップに触れた。結露したコップから滲み出ている水滴が俺の焦る心情を表すように触れた俺の手の一部を濡らす。
「つーかさ、アイツほんとに鈍いの、俺がこんなに分かりやすくアプローチしてるのに全然気づかないのどう思う?」
「一匹狼のあなたは人に関わらないって言うイメージがありますからね。ほら、アピールが足りないんじゃないですか?アピール」
「…めちゃくちゃしてんだけどね」
そう言ってそっぽ向いてしまった。なんなんだこの人、折角俺がアドバイスしてあげたのに。
「…星導はさ、」
「…だからそういうの聞く相手間違えてますよ、今のアドバイス聞いて分かったでしょ。俺は恋愛に疎いんです。」
そしたらまた彼は「関係ねぇよ」どうやら彼は諦めないらしい。
重い口を開いたと思ったらまた俺のことを聞き出そうとしてくる。勘弁してくれ。
「星導はさ、いないの?好きな人とか…」
ほ~ら、出た。すぐ俺の話にしようとする。すぐ下俯いてさ、目を見て話せっぅの。
「…いますよ」
こうなったらやけくそだ。小柳くんの好きな人暴いてやる。そんで、俺は今日でケジメを着けよう。
「はぁ!?誰だよ!!」
ガタッと大きな音を立てて前のめりになった。なんだよ、そんな興味ありますよみたいな、思わせぶりか?なら嬉しいけど。…いや、これは友達として気になってるだけだな。俺と好きな人被ってるわけねぇよなって、気になってるだけだ。
小柳くんが大きな振動を立てるから、コップに垂れてる大きな水滴が落ちてきて机に小さな水たまりを作っていた。
「教えませーん、小柳くんが教えてくれないのになんで俺が教えるんですか」
「そっれは…そうだけど…」
また俯いてストローをくるくると回す。カランカランと氷がコップに当たって小さな音が客の少ない店内に響く。
「つーかさ、誰を好きになるとか関係なくね?自分の気持ちを伝えるのに何の技術も才能も関係ねーよ」
急に顔を上げたと思ったらなんだ急に、そんなのを言うならとっとと小柳くんは俺じゃない好きな子に…
「告白しちゃえばいいじゃないですか、そんなに言うなら。」
「…っはぁ!?お前ガチで言ってる…?」
「善は急げですよ~」
とっとと好きな子に告白をして、俺なんか忘れてくれ。
人に興味無さそうって言われてる俺が好きになる小柳くんだ。きっと彼を振る人なんていないからさ。
「お前、俺の好きな人知ってて言ってんのか?」
「え?あー…隣のクラスの~えっと…かっ髪とか長いですよね~?」
「はっ!?…まぁ…髪は長いかも…あと、ちょー優しくて…それで…」
そんな幸せそうに話さないでくれ。さっきまで焦った様子でストローをくるくる回していたくせに。今は今までに見たことないくらい頬を赤らめてさ、さっきまでコップを伝っていた水滴は無くなって氷は解けて、音はもう一つも聞こえない。ほら、どんどん俺とかけ離れて行く。俺はずっと下を俯くことしか出来なかった。そして、目が合った。反射的に逸らそうと思ったけど、できなかった。そして小柳くんは視線を外し、窓ガラスの方に視線を変え、口を開いた。
「…すごい…好きなんだ…」
何かが切れる音がした気がする。聞いたことないくらい甘い声だった。
「…俺、もう時間なので。では」
冷たい別れ方だっただろう。それは後悔している。でも、その場を離れると言う選択に後悔はない。
横に置いておいたバックを肩にかけ、小銭で渡すのは面倒なのでお財布からは千円札を取り出しテーブルの上に置いて、そのまま足早に店を出た。
店を出る時小柳くんの顔は見てない。目も合わせなかった。動揺する彼の声だけを残して店を出て行った。もう小柳くんを他の人に取られてしまうなんて。そんなの耐えられない。少しの時間しか一緒に居れてないというのに。さっきの言葉だって本当は俺に向けて放って欲しい。そんなのは俺の高望みなわけであって、ただの嫉妬であって、叶うわけないのに。いつもより早く駅に着いた気がする。雑にスマホを改札にかざし、通知で振動が続くスマホの電源を落とす。運が良かったのか、電車にはすぐに乗れた。夕方の退勤ラッシュは過ぎていて、誰もいないガラガラな電車の中で揺られる。単語帳を開く心の余裕なんてなく。何か締め付けられるような、足元を見つめることしか出来なかった。でも下を見続けると視界がぼやけてくるから、時々上を向いて堪える。気づけば最寄りの駅に着いていて改札に向かいながらスマホの電源を入れる。振動はしない。画面は見ないでそのまま改札にかざしてもう一回電源を落とす。改札を出ると、外はイルミネーションできらきら輝いてて、なんだか惨めに思ってきた俺は手に持っていたマフラーを自身の首元に巻いた。
少し歩いたらイルミネーションの光は一切なく、殺風景な住宅代の道の真ん中だ。雪は積もっていて、歩く一歩一歩が重い。
「ばかだなぁ…ほんとに…」
首元の暖かさを感じ始めたと同時に頬にも暖かい涙が伝う。言葉と同時に出た息は白い。寒いせいだろうか声は震えて、手も震えて、終いには座り込んでしまった。
なーにが傍に入れればそれでいいだよ。カッコつけやがって、本当はジェラシー丸出しでいっつも一人から回ってるくせに。俺がこうも傷心している中でも雪はお構いなしに振り続ける。これじゃ電車は動かない、良かった早めに出てきて。そう考えよう。
「良かった…今日が金曜日で。」
明日は待ちに待った休日で。これで小柳くんともいったん距離置けるし…というか距離を取るしか出来ないくせにまた変に知友を付けて逃げようとする。こんな俺とはもう疎遠になってくれ。俺のことなんか忘れてさ
「小柳くんが幸せなら俺はそれでっ……」
「…っ…ほしるべっ…!!逃げんなよっ…!!」
「…小柳…くん…?」
「っ…あぁそうだよ…!!」
真っ白い雪の中、ファミレスで語っていた時よりも倍赤くなっている頬に鼻。息が上がり、白い吐息が休む間もなく宙を舞っては消えている。髪は彼らしくないくらいに乱れていて、俺がその場から立ち去ろうとゆっくり立ち上がり彼に背を向けると何か強く押される衝撃が来た。
「…はぁっ!?ちょ、こっ小柳くんっ、何して…」
少し視線を後ろに向けると俺よりも背丈の小さい…さっきまで顔を真っ赤に息を上げていた彼が俺の背中に抱きついてきた。どうにか平常心を保ったままぎゅうっと力強く抱きついてくる彼の腕を振り払おうと試みるが、強く抱きつかれているせいで全く振りほどけない。腹のあたりにある手を解こうと触れる。冷たい。さっきまで氷か何かを握ってたのかってくらい冷たかった。寒いの苦手でいっつもポケットに手を突っ込んで温めているくせに。俺がいつもカイロ代わりに使っている小柳くんとは比べ物にならないくらい冷え切っていた。
「…小柳くんの手とっても冷え切ってますね。」
「お前のせいだよ」
そう言ってさりげなく手を離そうとすると気づいた小柳くんはそっと手を放し、二人並んで歩き始める。降り続いていた雪は少し止んで降り積もった雪の道を歩く度に足跡が残る。出来た足跡を見つめて歩き続けていると、くいっとブレザーの裾を引っ張られた。犯人は一人しかいない。
「…ほしるべ」
「何ですか」
「俺さ…好きな奴いんだよ」
「知ってますよ」
「でも…全然気づいてくれねぇの」
「…アプローチが足りないんですよ。きっと」
「……相談って誤魔化してファミレス誘って、必死に追いかけて勇気出して抱きついてもそれでも全然気づかねぇの」
「それは…酷い人ですね」
「…あのさ」
「はい?」
「気づいてんだろ…どーせ」
「なんのことやら」
「…そーかよ…」
「…ねぇ小柳くん」
「…んだよ」
「どーして泣いちゃってんの」
「…別におめーに関係ねぇよ」
「じゃあ俺の自惚れた質問聞いてくれませんか」
「…さっさとしろよ」
そう強く口で出ても小柳くんの目からは涙が止めどなく涙が零れていた。
「小柳くん俺のこと…好き…ですか…?」
「…さぁな」
「ほんとは?」
「悪かったな、好きになって」
「ねぇ。そんなこと言わないで…。あのさ、小柳くん」
「……」
「小柳くん、もう一ついいですか」
「むり」
「そこをどうにか」
「やだ」
「一生のお願いだから」
「…なに」
「俺と付き合ってください。」
「は…?」
喉から言葉を振り絞って小柳くんの瞳を見つめた。小柳くんの瞳が少し揺らいだ気がした。
「…小柳くんの笑う所も何かに一生懸命努力することも、全部、全部大好きです。」
「は、えっちょ……」
「小柳くんのこと、一生大切にします。」
「俺と付き合ってください」
「…まっ…て…」
ずるずるっと俺の腕にしがみつく。小柳くんじゃないくらい力が弱かった。
「なんですか?」
「おれ…ぜったい振られたって…」
「うん」
「嫌われたって…おも、って…」
小柳くんの口から途切れ途切れに言葉が聞こえる。小柳くんはずっと俺の腕の中で涙と小さな言葉を零していた。
「そんな訳ないじゃん。俺、ずっと小柳くんのこと好きだったんですよ?」
「いつものファミレス集合。」字面からしたら本当に冷たい奴である。だけど、今は違う。改札口でスマホをかざす。それと同時にロック画面を見つめると「着いたボックス席確保完了」と白い猫のようなアイコンから新着メッセージが届いていた。ほんと、この字面は彼にしか出せない色なのだろう。そう再認識する。今日は明日の小テストに向けて単語練習ができる。車内に入り、周りに人がいないことを確認し、単語帳を開く。降り続いていた冬の寒波は過ぎようとしていて生き残った蕾たちが徐々に花咲かそうと色づいてくる季節になっていた。
「今日は何の相談なんですか?」
店に向かうと一人、ボックス席で頬杖をついて待っている彼がいた。俺が横に座るとゆっくりと目を見開いたものの、すんなりと受け入れ口を開いた。
「別に、なんでもねーよ」
手を繋ぐ、抱きしめ合う、それらは彼らにとってはまだまだ長い長い道のりになるのだろう。だけど、二人にとってはそれぐらいが一番心地よい距離感なのかもしれない。
「小柳くん」
「んだよ」
「俺と出会ってくれてありがとう」
「…べつに、」
「なんだよ素直じゃないな~」
「…悪いかよ」
「ううん、全く。」
「星導」
「なんですか?」
「好きでいてくれてありがと」
「どういたしまして」
沢山すれ違って、沢山ぶつかり合うのかもしれない。けれどまた、遠回りして、お互いに惹かれ合うのだろう。ふとそう思った星導は、小柳の手を取り、暖かい体温をじんわりと感じ、また歩き始めた。
rbru不足により書かせて頂きました。駄作rbru失礼します。付き合う前はグイグイ来るけど、付き合うとツンデレ化するkyngさんと、付き合う前は塩対応気味、付き合うとグイグイくるわんこ系のhsrbさん、この対比を書きたかった…
コメント
1件
いいなあ、これ……ファミレスの氷の音とか、水滴が落ちる描写が、星導くんの焦りをそのまま映してるみたいで、すごく好きでした。「傍にいられればいい」って言い聞かせてるのに、電車で泣いちゃうところとか、もうね……。最後の「今日は何の相談なんですか?」でちゃんと戻ってくる構成も綺麗だなって思いました。お互い遠回りしたけど、ちゃんと惹かれ合っててよかったです。