テラーノベル
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すべての事件が解決し、警察内部の闇が完全に暴かれた数日後。激しかった豪雨は嘘のように上がり、夕暮れのオレンジの光が、母校の「陸上部の倉庫」の錆びついたドアを照らしていた。古い跳び箱や埃をかぶったハードルが並ぶ薄暗い室内。そこには、高橋勇一、亀井輝道、そして朝原卓の3人が集まっていた。
「結局、今回も俺が一番危険な役だったな」
卓が苦笑いしながら、自販機で買ってきた缶コーヒーを二人に手渡す。
「お前は昔から肝心な時に寝てるから、これくらいが丁度いいんだよ」
勇一が缶のプルタブを小気味よく開けながら、呆れたように笑った。
「本当だな。卓は変わんねぇな」
輝道もフードを外し、冷たいコーヒーを一口すする。その顔には、かつて裏社会を震撼させた殺し屋の鋭さはなく、ただの歳の離れたやんちゃな弟の表情があった。
「おいおい、人聞きが悪いな。俺だって10年間、必死に生き延びてきたんだぞ?……なぁ輝道、こいつ高校時代、陸上部でいっつもスタートダッシュ失敗して先輩に怒られてたの知ってるか?」
卓が不敵にニヤリと笑い、勇一の過去を暴露し始める。
「マジで? 兄さん、刑事なのにスタートダッシュ弱いの?」
輝道が吹き出し、勇一をからかうように顔を覗き込んだ。
「うるさい! 卓、余計なことを言うな。俺は後半伸びるタイプだったんだよ!」
勇一が顔を真っ赤にして反論すると、倉庫の中に3人の大きな笑い声が響き渡った。
「いやー勇一と輝道とほんっと仲が良くてなーそれで本当の兄弟とはなー」
笑いながら篤も言う。
「なぁ」
卓がふと、窓の外の夕焼けを見つめながら呟いた。
「10年前は色々あったし、めちゃくちゃな遠回りをしたけど……またこうやって、3人でコーヒー飲めて良かったよ」
勇一と輝道は顔を見合わせ、静かに頷き、勇一は泣いた。
「ああ。これから取り調べとか、親父の事件の再審請求とか、やることが山ほどあって忙しくなる。……だけど、またいつでもここに集まろうぜぇ」
「そうだな。今度は卓を起こすための目覚まし時計、大量に持ってくるよ」
「だから寝てねぇって!」
勇一が感動で泣きながら肩を組む輝道、笑って見守る篤、そして怒りながらも嬉しそうに笑う卓。オレンジの夕日の光が、陸上部の倉庫に集まった4人の影を、いつまでも長く、温かく床に伸ばしていた。
どこかで父に見られている気がして泣いていることは勇一だけの秘密である。
コメント
2件
終わっちゃったんだなぁ? 終わらねぇよ☆
終わっちゃったんだなあって、じんわり寂しくて、でもすごく温かい気持ちになりました🥀💔 陸上部の倉庫に集まって、コーヒー片手に笑い合う3人…10年分の遠回りを経て帰ってこれた場所がここなんだなって思うと、胸がぎゅっとなりました。特に、勇一が泣いたシーンと、最後の「父に見られている気がする」っていう秘密が切なくて、すごく好きです。 本当にお疲れさまでした、レッドゾーンさん。この作品に出会えてよかったです🌙🤍