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mzyb 近郊の住人 ci×em
わんく
ある街の中心部に建てられた、大きなビルアパート。そこには居場所を無くした人外と共に住む人間達の姿があった。階ごとに街の運営を任されている者達も一緒に住んでいる…という噂も。度々そのビルの点検に来ては、状態を記して場を去る運営者の姿もよく見るとのこと。
…噂での運営者は謎多き者だとか、恐ろしい者だとか良く言われているらしいが…
e「最近、困った事とかある?大丈夫かな?」
c「特にないっすねー、騒音も前よりかはマシになっとるし。」
e「ん、はぁい…わざわざありがとうね。」
c「いいえ〜、大丈夫っすよ〜」
俺は全然そうは思わない、というか…思えない。時折、こうして強面の年上であろう人が聞き込みに来る。近寄り難い雰囲気とは似つかない程の柔らかい口調に、俺はつい口元が緩んでしまう程には気を許している。
c「エミさんもお疲れさん〜、毎度毎度大変やな。」
e「ん〜、まぁね…この街の市役所長でもあるし…。こういうのには気を引き締めんとアカンからね…笑」
c「たまには他の人に任してもええんちゃう〜?」
e「いやぁ、これも私の仕事の内やからさ…笑」
そんな世間話を少し交わして、彼は手元にある資料に目を通した。数枚重ねた紙の端をホチキスで止めて、それを大事そうに両手で持つ彼に俺は少し愛着が湧く。
c「…エミさんさ、今日…空いてたりする?」
e「んぇ?…まぁ、空いてないこともない…けど…。」
少し言葉を詰まらせながら、両手に持つ資料で口元付近を隠す彼。俺から視線を外し、やや俯き気味で返答してくれた。そんな彼に、俺は顔をズイッと近付ける。
c「じゃあさ、今夜…どう?」
e「っ…、、」
俺のそんな言葉に、彼は目を見開いていた。少しの間を置いて、彼は隠していた口元を露にさせた。だが喋ろうとしない彼に、俺は痺れを切らして彼の耳元に口を近付けた。
c「黙ってちゃ分からへんのやけど?」
e「っうぇ…!?//」
腑抜けた声を漏らし、頬を赤くさせる彼。そんな彼の反応に、俺は笑みを溢す。彼は少し言葉を詰まらせた後、動揺させた声色で答えを出す。
e「ぉ、遅くなりますけど…、、いいです…か…//」
c「笑…うん、じゃあ待っとるから。」
e「っん…、!//」
彼の返答に俺は満足し、頬に優しくキスを落とした。すると可愛らしい声を漏らして、より一層顔を赤らめる彼だった。…所詮は噂、誰が流したかも定かではないそんな噂…。
c「ふ…っ笑、回るん早くて助かるわ〜…。」
あ〜、案外皆って単純なんやな。流して良かった、次はどんな噂を流そうか。考えるだけでもウズウズする。
おわり。