剣道部の部室の近くに行くと、ドアが少し空いているのに気づく。
『え、空いてる、』
ちょうどよく開いていたので私は少しドアから顔をのぞかせた。
『…!!!』
気合の入った声と、すばやくかっこいい、と感じる動きをしているものが目に入った。
特に奥の人、名前はよく見えないけれど。
思わずそれに目をとられる。
すると、
「やめ!!」
という迫力のある先生の声と同時に戦っていた部員が動きを止めた。
『…すごい、』
思わず声が喉から漏れる。
休憩の時間がやってきたようで、誰かがこっちに向かってくるのを感じた。
しかもさっきの奥にいた人だ。
『やばい、見てるのばれるのは、』
さすがに恥ずかしすぎる。目が奪われていただなんて。
私は急いでダッシュを決めようとした。
『あ』
気が抜けた声と同時にドアが開いた。
遅かったみたいですね、終わった。
私の目の前に現れた剣道部員は、見知れた顔の男だった。
『…、やったなこれ。』
剣持「…、ーーさん?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!