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暗がりの道を並んで歩いていると、遠くからまだ小さく花火の音が響いてきた。
咲は胸の高鳴りを抑えきれず、ぽつりと口を開いた。
「……悠真さんって、昔からずっと落ち着いてますよね」
「そうか?」
悠真は少し驚いたように目を細める。
「はい。お兄ちゃんと一緒にいるときも、なんだか安心感があって……」
言いながら、咲は自分でも顔が熱くなるのを感じて慌てて言葉を濁した。
「……その、頼りになるなって」
悠真はしばらく黙っていたが、やがて小さく笑った。
「……そんなふうに言われるの、妹ちゃんだけだよ」
思わず顔を上げると、夜風に揺れる提灯の光が悠真の横顔を照らしていた。
胸の奥に、また新しい鼓動が刻まれていく。