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前書き
今回の話は、
『197.同盟者』
『222.Thank you my Friend ①』
の内容が関わっています。
読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います。
「それにしても随分集めてくれたのでござるなぁ~」
「アイ、ディドュントゥ、ハブ、ア、タイム、バット、アイ、ガッラズ、メニィ、ピィポォ、アズ、ポッシボォー」 (急だったからな、でも目いっぱい来てもらったんだぜぇ)
もういいや、ここからは賢い賢い私、観察者がオーディエンスの為に翻訳済みの日本語での会話でお送りいたします。
善悪はウィルの肩を抱きながら言う。
「ありがとう親友、こんなコロナ禍の中、まさかマスクも付けずに駆けつけてくれるなんて、とんだ有難迷惑、おっと、同盟者として、同盟者だからこそ、感謝しかないのでござるよ」
ウィルが後頭部を掻き掻きしながら顔を赤らめて答える。
「お、おう! 友達に呼ばれたんだ、マスクなんてする暇なんか無いだろう? ははっ、友達が一番大事だろ? コウフク?」
善悪は内心で舌打ちをする、こいつ等ワクチンとか打って来たんだろうな、と……
「キャシィ、皆も! こっち来てこの茣蓙(ゴザ)の上に準備したお饅頭、日本の食べ物なんだけど食べて頂戴! ワンもターシャも、サラは? ああ、エニィと一緒だったのねん! ほらこっちこっちぃ♪」
揃いも揃って恵体(けいたい)ばっかり集めた聖女と聖戦士の集団である、坂道では一般の皆さんの想像を超える消耗と戦っていたのである。
早急なカロリー摂取が必要な事態であったのだ。
辿り着いた丘の中腹で待っていたのは、各々の国を代表する御馳走の山である、皆最後の脂肪を振り絞って坂道を駆け上がるのであった。
餃子、桃まん、ピロシキ、シュウマイ、パイ包み、カレーまん、ブリック等々に加え、数々のオリジナル饅頭までがぎっしりと茣蓙(ゴザ)の上に山積みで用意されている。
そう、トシ子と弁論対決 (なんちゃって)を繰り返しながら、一所懸命饅頭のレパートリーを増やし続けていたのはこの為であったのだ、決して遊んでいたのでは無かったのである。
「ラドゥハ!」 (美味しい!)
エニィの口にもあった様である、良かった…… あとスワヒリ語もヤメレっ!
キャシィーもラビオリを口一杯に頬張りながらコユキに言う。
「それにしても、コユキ! 貴女が私たちに助けを求めるなんて…… 強敵なのよね? 次の相手は一体どんなヤツなの? 教えてちょうだい!」
コユキもおやつのピザまんを頬張りながら答えた。
「ん? 次の相手ならヒュドラだってさ、んでその後はバアルよバアル、強敵だとは思うけどねん、ウマウマ」
「ヒュ、ヒュドラなのね…… 強敵じゃないの!」
キャシィの後ろでブリックの具の半熟具合に唸っていたエニィ(アフリカ出身)が、あろう事か捕食を中断して言うのであった。
「ば、バアルっ! む、無理よ! 西洋では悪魔かも知れないけど私の国では神様、いまだ崇められているのよ! コユキっ! 信仰を残した悪魔がどれほど恐ろしいか、『真なる聖女』である貴女が分からない訳無いじゃない! 無茶だわっ! あ、ジャンボ」
語尾のお約束を忘れてしまう程狼狽え(うろたえ)てしまっている様であった。
コユキは気楽な様子で笑いながら首を左右に振ってエニィに答える。
「心配しないでエニィも皆もね、戦いに力を借りたくて来て貰った訳じゃあないのよ! 闘いはアタシと善悪の二人に任せて置いて! 皆には別の事で力を振るって欲しいんだよぉ~」
コユキの言葉にホッと胸を撫で下ろしているアフリカ、ヨーロッパ、中東のメンバーとは違い、リーベンレン(お隣り)の中国の聖女ワンが確認を入れて来る、流石は大国であった。
「コユキ…… それで、私たちに頼みたい事ってなんなのアル? 言い方に不穏(ふおん)なものを感じるアルヨ……」
キャサリンが表情を消し去って言う、勘の良い女だ。
「ま、まさか……」
コユキが答えるのであった。
「それはね、お! 丁度戻って来たみたいね、話すより見て貰った方が早いわね! オーイ! 善悪ぅ! 首尾はどぉうぅ?」
「上々でござるよコユキ殿! 蝿さん達の分も、スケルトンの分も模型たちが拙者の指示通り、ひとつ残らず集めてくれたのでござるぅ、大漁大漁! わははは」
鉄人のコントローラーで無数の模型たちに指示を出したのであろう、満面の笑顔を見せる善悪の後ろには、一個大隊以上の陸上自衛隊の戦士たちが、両手に大量の魔核を持って整列していたのであった。
キャシィとウィルがPTSDでも起こしているのか、過呼吸気味で話せそうも無かったので、親切なコユキが他のメンバーに説明してくれるのである。
「皆にはこの魔核を見張っていて欲しいんだよね♪ 数も数だから死なない様にしっかり食べながら待っていてね♪ 良い? 食べ続けないと確実に死ぬからね! んじゃ頼んだわね!」
「「「「え、え、え? エエエェェェェっ!」」」」
驚きの声を上げる各国の聖女と聖戦士を尻目に、経験に依る危機感からであろう、必死にカロリー摂取を続けるアメリカ合衆国の聖女と聖戦士、キャサリンとウィリアムの姿があった。