「そういえば椎名は人間なの?」
釘崎は椎名に向かって話しかけた。
椎名は釘崎の部屋でくつろいでいた。
椎名がこの世界にいる間は釘崎の部屋に泊まることになった。
椎名は先ほどの呪霊との戦いで疲れていた。
釘崎の部屋に入るやいなやクッションへ倒れ込んだ。
「人間やで~。」
クッションにうつぶせになりながら片手をひらひらあげている。
「向こうの世界には呪術師いないんじゃなかったの?」
釘崎は部屋着に着替え、椎名の部屋着を探しながら話した。
「あてぃしも剣持も呪術師じゃないんよ。あてぃしは少し除霊が出来るだけやし。」
椎名は仰向けになる。
すると、釘崎から部屋着を渡される。
釘崎から渡された部屋着に着替える椎名。
「ふーん、いろんな奴らがいるのね。吸血鬼に悪魔に…。」
釘崎はベッドの上に座る。
「なぁなぁ釘崎ぃ、明日買い物に付き合ってや~。こっちの世界の物いろいろ見たいねん。」
椎名は釘崎のベッドの上にあごを乗せた。
椎名の顔は大福のようにモチモチとしてそうだった。
「いや、東京はあんた達の世界と変わらないでしょ。」
釘崎は冷静に対応する。
それに対して椎名はムスッと頬っぺたを膨らませた。
「私の仕事を手伝うなら考えてあげなくもないわよ。」
釘崎はニヤッと笑う。
椎名はその言葉にジト目をした。
「えー、動くんめんどくさいぃ。……まあ、泊まらせてもらってるしなぁ。………行くわ。」
椎名は少しめんどくさそうに答えた。
釘崎は椎名の布団の用意をしようとした。
「ありがとな~。あてぃしも手伝うで~。」
釘崎のあとについていく椎名。
釘崎は椎名に布団を渡す。
「あ、そういえば、唯華って呼ぶわね。少しだけだとしても一緒に過ごすわけだし。」
釘崎は腰に手を当て話す。
椎名は呼び方などはなんでもいいのですぐに了承した。
「ねぇ、一緒にいた剣持?だっけ。あいつ何歳なの?」
釘崎は布団に寝転んでいる椎名に聞いた。
「剣持ぃ?あいつは、16歳だったかなぁ。」
椎名の回答に釘崎はふーんと言った。
「同い年かよ。16歳に見えないわね。もっと上だと思ったわ。」
釘崎の言葉に椎名は枕の中にあった顔をあげ、釘崎を見た。
「あー、そう見える?確かに上っちゃ上やけど、16歳というか…。複雑なんよな。」
椎名はそういいながら再び枕に頭を乗せた。
椎名の言葉に釘崎は疑問に思った。
「上っちゃ上ってどういうことよ。」
釘崎の質問に椎名は渋った。
釘崎も詳しくは聞こうとは思わなかった。
その日は二人は、少しだけ話をしてそのまま眠りについた。
帰る当日になった。
釘崎と椎名は最初よりも仲良くなった。
一緒に任務に行ったり、買い物したりなどで仲が深まったのだ。
帰る準備をしているとき椎名が話し出した。
「最初の日に野薔薇が聞いたこと覚えてる?剣持の歳の話なんやけど。」
椎名の言葉に釘崎は頷く。
「あてぃしと剣持はさぁ、歳をとらないんよ。ずっと高校一年生のまま。あてぃしは歳をとれるかもだけど、剣持はずっと16歳のまま。」
椎名の言葉に釘崎は少し戸惑った。
椎名はへへっと笑っていた。
その椎名の笑顔を見て釘崎は答えが決まった。
「ふーん、ずっと16歳ね。………それでも唯華は唯華よ。16歳同士じゃないと友達になれないわけじゃないわ。」
釘崎はそう言いながら座っている椎名を立たせた。
「どんな状況が来ても唯華は私の友達よ。誇りなさい!」
釘崎は自分の胸を叩いた。
釘崎の言葉に椎名は笑った。
椎名は元の世界へ帰って行った。
彼女達が会うことは二度とない。
しかし、お互いに友達だったという記憶あるだけで十分なのだろう。
コメント
4件
続きを楽しみにいつまでも待っています。😊
え、あ、ああの、神ですよね??いや絶対神です