噛み癖の話
ぺいんとside
日も高く上り気温が高くなり始めた平日の昼間。
リビングでくつろぎながら棒付きのアイスをかじる。一口、二口、三口、四口目を食べると木の棒が顔を出す。箱に沢山入ってるものを買ったからもちろん1本が小さい。
ぶどう味のアイスは棒に色がついてるよな、とまた齧って棒を確認する。
「……しにがみの色」
俺の中で紫は彼そのものも同然だった。
噛み砕く罪悪感とどこか心地よい背徳感で満たされる。
最後の一口を食べ終わると持っていた棒の先の方を口に入れる。奥歯に当たるように入れたら無意識に口が動く。ひたすら噛み続けて飽きたら少し折ったり。
口から出すと棒の紫はほとんど消えボロボロになっていた。
腹の下の方からむくむくと興奮が湧きあがる。自分の体内に大好きなメンバーがある。
棒に残った僅かな紫をちゅ、と吸う。
満たされる。満たされた。
「また噛んでる」
後ろから手が伸びて無遠慮に口に入って荒らしていく。
舌を人差し指と中指で挟んで軽く引っ張ったり上顎を擽られたり……涎が顎と手に伝ってるけど気にしない。
「噛みな」
許可が出た。
犬みたいにしゃぶって、舐めて、甘噛みから歯型が着くくらい噛んだり。
指が出ていってそのまま上を向かされる。
どちらともなく近づいてキスをする。
触れ合って、角度を変えて、舌を絡めあって。さっきの指みたいにまた荒らされる。
離れる時にだらしなく舌を出す。そしたら今度は噛み付くみたいなキス。
「ん、ッこ、こは、やだ…」
獲物を狙う獣みたいな目で見つめられて背中にビリビリ痺れが走る。体を支えている手に力が入らなくなってそのままソファに倒れる。
我慢できなくなったのはもしかしたら俺かもしれない。
また深いキスをして、抱き合って、お互いに快楽の海に沈んでいった。
依存とか背徳とか。
攻めを誰にするか決められなかった。想像におまかせしますということで。
あとあの、一応交際してるっていう設定は付けてないです。セフレ…みたいな。
アイスの棒はマンゴーとかみかんとかでも色ついてるけどハッキリ色ついてるのわかるのぶどうだったのでぶどう味にしました。
コメント
1件
最高です😭👏✨