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柾哉side
デビューして5年。
リーダーになってから5年。
頼られることは嫌じゃなかった。
前までは。
マネ「次の振り木村さんにお願いしたくて」
洸人「次のセトリある程度決めとけだって」
“リーダー”だからしょうがない。
けど、その一言一言が少しづつ肩に積もる。
前までは嬉しかった言葉がいつのまにか重りになっていた。
辛い時だってもちろんある。
止まりたい時だってたくさんあった。
けど、俺がそういう顔を見せちゃいけない気がした。
来週に控えたフェスの練習。
ほんの少しズレた動きが妙に目に入る。
「…そこ、違くない?」
低くて、冷たい声。
自分でも驚くくらい、強い言い方だった。
空気がピリッと強張るのがわかる。
本当は怒りたかったわけじゃない。
ただ、焦っていた。
ーー俺がちゃんとしなきゃ。
ーー俺が引っ張らなきゃ。
その気持ちが口調を鋭くする。
雄大「ごめん…」
小さく聞こえた声に胸が痛む。
でも、引き返せなかった。
「休憩にするから直して、時間ないから」
それだけ言って、みんなから離れた。
1人になった廊下で椅子に深く腰を下ろす。
「……はぁ、」
静かな廊下に短い息だけが響く。
頼られるのは嫌じゃない。
むしろ、誇りだと思ってた。
でも、頼られる存在でいるには弱さを見せちゃいけない気がした。
さっきのみんなの顔が頭から離れない。
「俺、何やってるんだろう…」
ぽつりと溢れた声は誰に拾われることもなく消えていった。
洸人side
練習後のスタジオ。
みんなから少し距離を取って片付けを始める柾哉を目で追っていた。
目の奥にあった余裕のなさがどうしても気になる。
「…柾哉」
呼び止めると一瞬動きを止めて、でもこっちを見ずに答えた。
柾哉「ん?」
いつもと同じ落ち着いた声。
でも無理してるって 俺にはわかる。
「さっきの、ちょっときつかったんじゃね? 」
なるべく軽く、責めないように。
最年長として、空気を壊さない言い方を選んだつもりだった。
でも、
柾哉「誰かがキツく言わないとでしょ」
即答だった。
柾哉「この世界は結果出さないとやってけないんだよ」
その言葉に空気が重くなる。
「…誰も、1人で背負えなんて言ってない」
少しだけ、声を低くして続けた。
「俺らもいんだから、頼れよ」
手を止めてこっちを見た柾哉とやっと目が合う。
柾哉「頼ってるよ」
柾哉の声が少しだけ震えた。
柾哉「俺が迷ったら、みんなが迷う」
「俺が弱ったら、グループが崩れる」
先頭で引っ張ってく奴にしか分からない気持ち。
柾哉「リーダーなんだから、弱音吐くわけには行かないでしょ」
言葉がどんどん鋭くなっていく。
柾哉「洸人にはわかんないよ」
誰かの「それは言い過ぎだって」っていう声が聞こえてくる。
「…わかんない、か」
それ以上、踏み込めなかった。
踏み込むのが怖かった。
「悪かったな」
それだけ言ってスタジオを出た。
柾哉side
誰もいなくなったスタジオで1人動けずにいた。
胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
わかってる、言い過ぎた。
でも、止められなかった。
「……っ、」
胸の奥が熱くなる。
深呼吸しようとしても、息が浅い。
床に腰を下ろした瞬間、張り詰めていた何かが音を立てて切れた。
「……もう、無理」
誰もいない静かな空間に初めて本音が溢れた。
「全部、俺がやらなきゃなんて…」
視界が滲む。
頼られることが誇りだったはずなのに、いつのまにか重りになっていた。
誰にも見せれなかった不安。
誰にも言えなかったしんどさ。
それが一気に押し寄せて溢れそうになる。
「……ごめん、」
誰に向けた言葉か分からないまま、肩が小さく震えた。
その日以降、みんなとの距離がほんの少し遠くなった。
「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫だよ」と微笑んで
「無理してない?」と言われれば、「全然」と返した。
洸人ともあれ以降深い話はしなかった。
あの一言、
ーー「洸人には分からない」
それが、2人の間に薄い壁を残した。
数日後。
本番直前の最終リハーサル。
照明が強くて、音が大きくて、空気がやけに熱い。
「次、頭からもう一回いこう」
声は落ち着いている。
でも、視界の端がじわじわ白く滲んでいた。
ーー立っていられる。
ーーまだ、指示は出せる。
そう言い聞かせて、一歩踏み出した瞬間
ぐらりと世界が傾く。
「……っ、」
足に力が入らない。
床が急に近づいた。
誰かが名前を呼んだ気がしたけど、音が遠い。
洸人side
最終リハーサル。
みんなの前でいつも通り指示していた柾哉の身体が急に傾いた。
「柾哉、!」
反射的に腕を伸ばして、崩れ落ちる身体を抱き止める。
「……おい、しっかりしろ」
肩を支えながら、顔を覗き込む。
柾哉の瞳は力無く閉じられていた。
ーーあの時、引かなきゃよかった。
ーーぶつかって終わりにしちゃいけなかった。
「ごめんな…」
誰にも聞こえない声で呟きながら、しっかりと抱え直す。
「もう、リーダーじゃなくていいから」
柾哉の背中を抱えたまま、静かに言った。
柾哉side
ぼやけた視界の向こうで、1番最初に映ったのは洸人の顔だった。
洸人「……目、覚めたか」
低い声。
でも、いつもより少しだけ優しかった。
起きあがろうとしたけど、身体は言うことを聞いてくれなかった。
洸人「無理すんな」
反論の余地を与えない声だった。
洸人「立てる状態じゃない」
「……ごめん、」
その一言で、洸人の表情がほんの少し揺れた。
洸人「別に謝って欲しいわけじゃない」
「無茶すんなよ」
「だって、俺がやんないと」
洸人「違う」
被せるように洸人が言った。
洸人「お前が倒れたら、全部止まる」
「それが1番、みんなを困らせるんだよ」
言葉は厳しい。
けど、声の奥にしっかりと熱があった。
洸人「リーダーってのはな、1人で背負うことじゃない」
目線を合わせるようにしゃがんだ洸人と目が合う。
洸人「倒れそうになったら、倒れる前に誰かに助けを求めろ」
「俺も他の奴も絶対助けてやるから」
その一言に視界がぼやける。
ゆっくりで確かな声。
洸人「俺らはお前の下に立ってるんじゃない」
「一緒に、横に立ってる」
洸人の落ち着いた声が胸にスッと入る。
「ありがとう、洸人」
そう言えば洸人は少し顔を赤くしてそっぽをむいた。
俺だけが頑張らなくてもみんないる。
そう思えば少し心が軽くなった。
迎えたフェス当日。
体調は万全とは言えなかったけど洸人の承諾もあり出れることになった。
洸人「無理はすんなよ」
「わかってる」
周りを見れば10人の仲間の顔がある。
最高の仲間と最高のステージ。
みんながいれば絶対大丈夫。
「本当にINI最高!!」
みなさんお久しぶりです。
このアカウントでは初のお話です!
もう一つのアカウントでも話した通り引き継ぎがうまくいかずこのアカウントを作りました
新しい物語も考えているので是非楽しみにしててください!
それじゃあまたね〜🐉
コメント
3件
見るの遅れてすみません…!引き継ぎするの難しいですよね…共感…またよろしくねー!!新しい小説も待ってます、! キム西最高すぎる…まさや休憩してぇぇぇ…!!