叢の中で、今日も目覚めた。今日も、ご飯を探し回る。見つけたらそれを食べる。少々危険だが、それしか方法がなかった。
「今日も美味しいご飯あるかなぁ〜」
叢からじっと当たりを見渡した。
「あ、あった!やったぁ!」
そんな毎日を続け、穏やかな生活を暮らしていこうと思っていたが、そうはいかなかった。
いつもより川の水の音が大きい。何か流れているのだろうか。まあいいや。今日もご飯を探し回る。でも、今日は全然見つからなかった。
「…ないなぁ…どうしよう…」
なぜだろう。ご飯がどこにもない。そんな日が数日続き、もう飢え死にそうだった。そんな中、叢を歩く足音が聞こえる。
「…!?」
息を殺して這いつくばる。耳が叢から出てたりしていたらどうしよう…と怖がりながら当たりを見渡した。そんななか、足音が叢に近づいてきた。
「はっ!?」
そう息を飲み、うずくまる。しかし、その意味はなかったようだ。
「なぁそのうなだれてる兄ちゃん」
「!…」
「何か辛いことあったんか?」
「…」
そんなとき、腹の音がなった。
「腹減ってんのか。」
「…」
「これをやろう、まあその代わり、手伝ってもらうことになるが。」
少し悩んだが、ご飯を食べるならしょうがない。話に乗ることにした。そうやって久しぶりに食べた食べ物はおもちの様なものだった。正直なところ、すごく美味しいわけでもないが、十分食べられる味だった。
その後、お手伝いの数は2つ増えていた。両方おもちのようなものをもらった代わりに、お手伝いになっていた。そんな自分達は、今孤島近くの海の上にいた。
「お前ら、あの島にいる奴らを一人残らず殺してくるんだ。」
とんでもないことを言い出した。手伝いのうちの片方がいった。
「え、でも…」
すぐにあいつは言い返した。
「手伝うって言ったよね…?」
「う…」
そうして、島に登ったお手伝いたちは非行体験をすることになってしまった。
「わああ!!お前ら、やめろ!」
「おいお前ら、そこにもいるぞ!」
「う、うん…」
どんどんと非行をしていく。その度に島には鬼の死体が増えていった。
「猿、雉、犬!お前ら、あとはあいつだけだ!」
「…う…!!!」
ぐさっ
そうして、その島では鬼たちの息は聞こえなくなってしまった。
鬼ヶ島の鬼を殺してから。あの時“桃太郎”と名乗った人間についていってから。平和に暮らしていたその犬は、幸せという言葉を失っていた。犬は後悔の気持ちでいっぱいだった。
コメント
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新作だ!めっちゃ好みの雰囲気… 神作品をありがとうございます!