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#nmmn注意
椰々
47
1
#微いじめ️⭕️
【真の愛にナイフを】
◾︎第1話
画面は、何も変わらない。
いつも通りの配信。
いつも通りの声。
いつも通りのコメント欄。
なのに。
どこかが、ほんの少しだけズレていた。
「……ねぇ、見た?」
小さく漏れた声に、返事はすぐに返ってくる。
「見てる。」
「今ちょうど流れたやつでしょ。」
「うん。あれ。」
同じものを見ている。
それだけで、会話は成立する。
画面の右側、流れ続ける文字の中に、また現れる。
――うち絶対認知されてる
――今日も確定貰った笑
軽い文面。
自慢ともとれるその言葉は、本来なら珍しくもない。
誰かが騒いで、誰かが流して終わる。
それだけのはずだった。
「……は?」
誰かが、舌打ち混じりに低く呟いた。
その一言は、思っていたよりも強く、空気を変える。
「認知?」
「確定?」
「……なに、それ。」
わざとらしく笑うでもなく、怒るでもなく。
ただ、理解できないものを前にした時の、冷たい声。
「……擦り寄ってるだけじゃないの。」
ぽつりと落ちた言葉に、誰も否定しない。
擦り寄る。
その意味は、わざわざ考えなくてもわかる。
利益のために近づく。
好かれるために距離を詰める。
本心なんてどうでも良くて、ただ“特別”になりたいだけ。
「無理なんだけど。」
「普通に無理。」
「てか、ああいうのが一番厄介でしょ。」
言葉が重なっていく。
否定も、躊躇いもなく。
「騙されやすいんだよ、あの人。」
ふと、誰かが言った。
責めるような響きではない。
むしろ、少しだけ優しい。
「優しいからさ。」
「だから、勘違いするやつが出てくる。」
ああ、と誰かが息を吐く。
納得した訳じゃない。
ただ、その説明は“都合が良かった”。
悪いのは、あっちだ。
そう思える理由が、一つ増えただけ。
「……じゃあさ。」
静かに、声が落ちる。
「放っておくの?」
その問いに、間は生まれなかった。
「放っておけるわけないでしょ。」
即答だった。
当たり前のことを確認されたみたいに、少しだけ苛立ちすら滲む。
「穢されるじゃん。」
「普通に嫌なんだけど。」
「てか、もう既に近づいてるよね。」
画面を見ればわかる。
あのアイコンは、何度も現れる。
コメントの間隔が近い。
反応を待っているような、妙な“間”がある。
偶然?
そんなわけない。
「狙ってるでしょ、あれ。」
断言だった。
証拠なんてない。
でも、そんなものは必要なかった。
違和感は、確信に変わっている。
「……ねえ。」
少しだけ声が低くなる。
「消したくない?」
その言葉は、冗談みたいに軽く投げられた。
なのに。
誰も、笑わなかった。
「わかる。」
「普通にわかる。」
「てか、むしろなんで今まで放置してたのって感じ。」
静かに、同意が積み重なる。
「だってさ。」
誰かが続ける。
「ちょっと営業しただけで、ああいう顔するじゃん。」
ああ、とまた誰かが頷く。
思い浮かぶ光景は同じだった。
ほんの少しの言葉。
ほんの少しの反応。
それだけで、簡単に特別だと思い込む。
――easy。
そんな単語が、ふと頭を過ぎる。
簡単。
軽い。
直ぐに落ちる。
「気持ち悪い。」
短く吐き捨てられた言葉に、空気がさらに冷える。
「……泥棒猫みたい。」
ぽつりと落ちたその表現は、妙にしっくりきた。
奪おうとしている。
本来、自分たちのものではないものを。
「ほんと、それ。」
誰かが笑う。
けれど、その笑いは温度がない。
「じゃあさ。」
また、同じ声。
「次は、どうする?」
問いかけというより、確認。
もう結論は出ている。
「排除でしょ。」
迷いは無い。
「当たり前。」
「むしろ遅いくらい。」
言葉が、どんどん軽くなっていく。
重いはずの意味を持ったまま、表面だけが軽く滑る。
「ねえ。」
ふと、別の声が混ざる。
「これってさ。」
一瞬だけ、空気が揺れる。
「……やりすぎ?」
その問いは、ほんの僅かに遅れて出た。
完全な確信の前に、最後に残る“確認”。
けれど。
「は?」
即座に返された声は、冷たかった。
「何言ってんの。」
「やり過ぎも何も無くない?」
少しの間。
それから。
「だって、守るだけじゃん。」
その一言で、全てが塗り替えられる。
守る。
それは、正しい行為だ。
誰かを傷つけるためじゃない。
奪うためでもない。
ただ。
大切なものを、守るため。
「……そっか。」
小さく、納得する声。
「そうだよね。」
それでいい。
それで、全部説明がつく。
あたしたちは間違っていない。
むしろ。
やらない方が、おかしい。
「じゃあ。」
誰かが、誰かに言う。
「始めよっか。」
その言葉に、誰も驚かない。
すでに、全員の中で決まったことだから。
画面の向こう。
変わらないはずの配信が、続いている。
声は変わらない。
表情も変わらない。
何も知らないまま。
ただ、そこにいる。
「大丈夫。」
誰かが、優しくつぶやく。
「ちゃんと守るから。」
その言葉は、誰に向けたものでも無い。
けれど確かに、そこにある。
歪んだ確信として。
そして。
その裏で、静かに動き始める。
名前も知らない誰かを、消すための準備が。
画面には、またあのアイコンが現れる。
――ねえ、見てる?
そんな気がした。
問いかけるように、そこにいる。
けれど。
「見てるよ。」
返事は、すぐに落ちた。
ただしそれは。
“あたしたちが、見ている”という意味でしか無かった。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡20
コメント
1件
ああ〜これめっちゃ怖いし、めっちゃ面白い!!😭💕 配信画面を挟んだ“あちら側”の会話だけでここまで不気味な空気作れるの、本当にすごいよ…! 「守るから」って言葉が一番怖い…歪んだ正義感って、それが一番タチ悪いんだよね…。次どうなるのか気になって仕方ない!!続きすっごく待ってます!!😢🔥