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大森元貴 × 若井滉斗
🔞
夜になると、昔の声が聞こえる。
誰かの怒鳴り声。物が割れる音。泣き声。
耳の奥にこびりついた恐怖は、大人になっても消えなかった。
ベッドの端で膝を抱えてうずくまる。呼吸がうまくできない。
胸が苦しくて、喉の奥がつかえて、吐きそうになる。
「若井…また、?」
眠っていたはずの元貴が声をかけてくる。
顔を上げられないまま、小さく頷く。
「…ごめん…また、思い出して…」
「謝るなよ。若井は悪くないんだから」
低くて少し掠れた声。体の震えが少しだけ収まる。
幼い頃から何度も何度も聞いてきた言葉だ。
「こっち来いよ」
元貴がシーツをめくって、腕を広げる。
少し迷ったあと、ゆっくりとその胸に身を預けた。
胸の奥にある傷口を撫でるように、温かい腕に抱きしめられる。
それだけで、世界の音が遠くなる気がした。
「怖い夢、見たの?」
「…うん。父さんの声がした。『お前なんかいらない』って…」
声が震える。言葉にするたび、心の奥の痛みが滲み出てくるようだった。
でも元貴の前だけは、不思議と話すことが出来た。
「俺がいるだろ。お前をいらないなんて言うやつは、もうどこにもいない」
小さく頷きながら、元貴のシャツの裾をぎゅっと掴んだ。
昔からそうしてきた。夜が怖いときは、元貴の服を握りしめて眠った。
「元貴…俺、ずっと怖いんだ。昔みたいに捨てられるんじゃないかって…」
「捨てるわけないだろ」
そう言いながら、元貴の手が髪を優しく撫でる。
指先の熱が、少しずつ不安を溶かしていく。
「俺がいないと寝れないんでしょ?」
「…うん…元貴がいないと、息するのも苦しい…」
言った瞬間、恥ずかしくて涙が滲んだ。
だけど元貴は怒らない。むしろ、おれの顎を掬い、顔を上げさせて微笑む。
「じゃあもっと近くに来て。離れるな」
元貴はゆっくりと俺の唇に触れた。
甘いキスじゃない。少し荒く、熱をぶつけるように、舌を絡めてくる。
「…んっ…ふ…」
苦しいのに、体の奥は熱くなっていく。
元貴の唇と舌が、俺の全部を欲しがっているのが、痛いくらいに伝わってくる。
「滉斗…欲しい」
吐息混じりの声に、背筋が震える。
元貴の手が腰に触れ、シャツをたくし上げた。
「寒くない?」
「…うん、大丈夫。元貴の手、あったかい」
「じゃあ、脱がすよ」
少し乱暴にシャツを脱がされて、肌が夜気に晒される。
でも、怖くはない。元貴の瞳が俺を見てるから。
「可愛いな…昔からずっと」
「やめてよ…恥ずかしい」
「やめない。俺だけが知ってればいいから」
元貴の指が、胸を撫で、少し強く摘む。
「んっ…!」
思わず声が漏れると、元貴は嬉しそうに微笑んだ。
「声、もっと聞かせて」
言われるがまま、耐えきれずに喘ぎ声を漏らしてしまう。
体の奥が熱く痺れて、腰が勝手に揺れる。
「元貴…怖いのに…嬉しい…」
「わかってるよ。俺も怖い。お前がいなくなるのが、一番怖い」
俺の頬に触れる指が、小さく震えている。
昔、誰にも言えずに震えていた夜を思い出す。あのときも、そばにいたのは元貴だった。
「俺しか見ないで、滉斗」
「うん…元貴だけ見る…ずっと…」
熱いキスが何度も落とされ、脚を開かされる。
奥がずきずきと疼いて、指が触れるのを待ってしまう。
「濡れてるね…可愛いよ、ほんと…」
「やだ…恥ずかしい…でも、元貴だから…」
吐息混じりの声で言うと、元貴に強く抱きしめられた。
「俺も、お前じゃなきゃ駄目なんだよ」
そう言いながら、元貴の指先が俺の奥に触れる。
少しずつ、慎重に。でも確かに奥を探られて、甘い声をあげた。
「んつ…ふぁ……!」
「滉斗…可愛い…もっと欲しい?」
「…うん…元貴のが欲しい…全部欲しい…」
視界が涙で霞む中、元貴が自分の腰を重ねてくるのがわかった。
体の奥に熱いモノが触れて、少しずつ押し広げられる。
「はぁ…っ…!」
「痛くない?」
「ちょっと…でも大丈夫…元貴だから…」
体の奥が満たされていく感覚は、痛みと快感が混ざり合って甘い。
「滉斗…好きだよ…」
「俺も…元貴がいないと、生きていけない…」
「離れないよ。絶対に」
奥まで埋められた瞬間、体が小さく跳ねた。
「んつ…あっ…!」
声を漏らしながら、爪先まで震える。
「動くよ…」
「うん…お願い…元貴…」
夜の奥で、ふたりは何度も名前を呼び合った。
汗と涙で濡れた肌を重ね ながら、世界にふたりしかいないように求め合った。
昔の傷も、 恐怖も、痛みも。
全部を抱きしめてくれる 腕と、名前を呼んでくれる声が、何よりの救いだった。
何度も、何度も熱く深く繋がり合いながら、ふたりはお互いを確かめ合う。
「滉斗…愛してる」
「元貴…俺も…愛してるよ…ずっと…」
夜が終わっても、この腕の中にいられるなら_
壊れてもいいと思えた。
なんか途中で止まっていたことに今更気づきました
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