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⚠️文豪ストレイドッグスのBL 中芥
地雷さん、純粋さん逃げて。
通報、アンチお断り
中也目線(下手)オチは特にないかも
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昔俺が読んだ本に、「蜘蛛の糸」というものがあった。姐さんが教えてくれた本だ。
釈迦が糸を垂らして、蜘蛛を救った大罪人を天国に来させてやろうと言う、特に興味も無い本だった。結局、その男は蜘蛛の糸が切れて、地獄に落ちてしまうのだが…
何故、そんなものを今思い出したのだろうか。
理由はあらかた分かっている。俺は隣にいる男をチラリとみた。
芥川龍之介。ポートマフィアの禍狗とまで呼ばれ、指名手配されている男だ。
…そして、あの糞鯖…もとい、太宰を崇拝している人物でもある。
太宰に認められる為だけに、生きていると言っても間違いではない気がする。
蜘蛛の糸の主人公は、コイツに似ているな、とふと思ったのだ。
蜘蛛の糸…あの糞鯖に認められる事、そしてアイツはそれに縋り付いている。
どれだけその糸が細くても、それが成し遂げられる確率が低くても。
まるで、生きていていいと言う証明を求めるかのように。
どれだけその糸を手繰り寄せても、縋り付いても、それに届くかは分からないと言うのに。
それに、太宰がアイツを認めたとしても、その後はどうなるのだろう。太宰が認めてくれたから精進する、これも有り得るが、俺は更に最悪な想像をしている。
太宰が認めた後、アイツは更に太宰への執着を強めるのでは無いだろうか。もっと認められたいと望むが故に。
ならばいっそ、俺がその糸を断ち切ってしまおうか。太宰を殺すなり何なりでもして。糞鯖の事だ、死ねて嬉しいとでも言うのだろう。いや、死ぬなら美人とがいい、も言いそうだ。
「おい 芥川、手前ェの目標はなんだ?」
「…?太宰さんに認められること、です」
あぁ、やはりか。
コイツは太宰しか目に入らないのだ。
太宰という、コイツにとってはお釈迦のような、俺にとっては悪魔のような、そんな奴しか。
なぁ芥川、俺はもうとっくにお前を認めてんだよ。首領だって姐さんだって認めてる。認めてねぇのは太宰と手前自身だけだ。
それなのに、どうしてそこまで糞鯖に認められたいんだ?俺たちじゃ、俺じゃダメなのか?何がお前をそこまで突き動かす?
いつまでたっても蜘蛛の糸に縋り付いて、宙ぶらりんで苦しいのはずっとずっとお前のまま。
それならもう、その手を離しちまった方が楽じゃないのか?
お釈迦は直に手を差し伸べてはくれないんだよ。蜘蛛の糸を垂らして、それを見てるだけなんだ。いつ辿り着くのか分からない天国に向かって垂らされている蜘蛛の糸。
それを掴んで必死に登るくらいなら、諦めたちまった方が楽だろう。
それに、太宰に認められたからと言って、俺らは明るい世界に行ける訳じゃないんだ。蜘蛛の糸を登りきったからと言って、天国に行ける訳じゃないんだよ。
俺はため息をついた。
心ではそう思いながら、結局は芥川が太宰に認められる為だけに行動する、という事に嫉妬をしているだけだ。
芥川が蜘蛛の糸に縋り付く罪人なら、俺はその糸を掴んで、芥川を地獄に戻す罪人だろうな。
決して救われたいわけじゃない。芥川が地獄にいて欲しいんだ。
あの糞鯖のように、地獄から抜け出さないでくれ。
俺は、お前だけはポートマフィアからいなくなって欲しくないんだよ。
俺は芥川に、地獄にいて欲しいんだ。
なぁ芥川、蜘蛛の糸に縋るくらいなら、もう一緒に底が見えている地獄に堕ちようぜ。
お前が蜘蛛の糸に縋ろうとしても、蜘蛛の糸を断ち切るなり手を掴んで引き止めるなりなんなりしてやるよ。
ずぶずぶと血の池にでもなんでも堕ちて、ずっとずっと二人で苦しもう。
なんてったって俺らは罪人なのだから。
そして、眩い天国なんかからは目を逸らして、真っ暗な地獄に二人でいようじゃないか。
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