樹と幸せな時間を過ごせたのもつかの間。
気付けば樹が出張に行ってから、もうすでに5日目。
毎日LINEしたり電話したり連絡取れて寂しくはないけれど、やっぱりもう樹に会いたい。
離れているからこそ会えない距離がもどかしくて恋しくなる。
だけど樹はまた新たな場所で今頑張っているんだから、私は何も出来ないけどただ応援するしかない。
”ピンポーン”
夜、仕事が終わって家でゆっくりしていると、家のチャイムが鳴る。
樹のことを考えてるこのタイミングで鳴るチャイムに、一瞬胸が高鳴る。
もしかして樹!?
ってまだ出張行って5日目で帰って来るのには早いか。
だけど、もしかしたらとほんの少し期待しながら玄関に向かってドアを開ける。
「ハイ」
ドアを開けたそこに立っていたのは。
「久しぶり」
樹じゃない別のある男性がそう声をかける。
何年かぶりに見るその顔。
「なんでここに・・」
「ようやく会いに来れた」
その男性は嬉しそうに笑って伝える。
「もしかして・・」
「うん。やっとね。これ約束してたワイン。一緒にお祝いしてくれる?」
「もちろん・・。やっと会いに来てくれたんだね」
そして私も笑顔で答える。
「入っていい?」
「どうぞ」
喜んで部屋の中に迎え入れる。
「お邪魔します」
「どうぞ~」
「透子ちゃん。元気そうだね」
「ハルくんも元気そうでよかった」
「うん。もっと早く来たかったんだけどね」
「でも会いに来てくれて嬉しい」
久々に会えて喜んでいると。
”ピンポーン”
ん?また誰か来た?
荷物かな?
「ハイ」
荷物かと思って何気なくドアを開ける。
すると、そこに立っていたのは。
「えっ?樹!?」
えっ?なんでここに樹が?
ハルくん来てくれたことですっかりもう気が紛れてた。
そうだ。さっき願っていたこの光景。
今度は本当に目の前に樹がいた。
「樹?なんで?出張は?あと2日あるんじゃないの?」
期待していたけれど、実際にこんな何の連絡もなく突然予定よりも早く会えると思ってなくて。
いざ樹を目の前にしてつい色々尋ねてしまう。
「透子に会いたくて仕事早めに片付けてもう帰って来た」
「そうなんだ!それなら連絡してくれればよかったのに。何も言ってなかったから突然でビックリしちゃった」
私は嬉しくてすぐに反応する。
だけど樹は嬉しい言葉を言ってくれているはずのに、なぜかちょっと浮かない顔をしている気がして。
「いけなかった・・?」
「え・・?」
樹は少し小さく呟く。
「突然訪ねて来たらマズかった?」
そしてなぜかちょっと怒っているような表情と口調の樹。
「えっ、なんで?そんなことあるワケないじゃん」
なんで樹怒ってんの?
せっかく早く帰って来てくれて、やっと会えて私は嬉しいのに。
ようやく会えて笑顔で微笑み合ってるはずなのに・・・なぜ?
「だったら・・・」
「え?樹ホントにどしたの?なんか変だよ?」
「中入れてくれる?」
だけど樹はそのまま表情を変えずそう伝えて来て。
「あっ、今・・・」
「何?なんか都合悪い?誰かいんの?」
どんどん樹の口調がキツくなってくる。
あっ・・樹・・もしかして・・・。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!