テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
藤澤サイド
「元貴、髪の毛、乾かそ」
優しく言うと元貴はこくりと頷いて洗面所まで僕を引っ張っていく。
こんなふとした時の、元貴の可愛らしい行動が可愛くて仕方ない。
だから、思う。
なんで若井は元貴のことを捨てたんだろう。
ドライヤーの熱気がこもって洗面所が蒸し蒸ししてきた。
元貴の柔らかい髪の毛を持ち上げながら熱風を当てて髪の毛を乾かしていく。
「元貴、あつくない?」
「…うん」
時々あつくないか聞きながら無事に髪の毛を乾かし終わる。
ドライヤーを止めて元貴の目にかかった前髪を指で払って、くしでとかしていく。
「あ、元貴。」
「…なに、?」
「元貴、…ご飯食べてる?」
元貴は首を横に振る。
ドライヤーで乾かしたばかりの、元貴のサラサラな髪が揺れる。
「ちゃんと、食べよ…」
「食欲、…ない。」
洗面所に朝日が入ってきた。
元貴の手を引いて、洗面所を出る。
リビングに行き、元貴に問いかける。
「なにか、食べれそうなの、ない?」
「食欲、ないもん。」
「何か飲み物くらいは飲まないと、…死んじゃうよ…」
元貴をソファに座らせて、急いでキッチンに行く。
二人分のマグカップに、二人分のココアを作る。
甘い匂いが漂い、暖かい湯気がマグカップから溢れ出る。
テーブルの上にココアを置き、元貴の隣に座る。
「…ココア」
「そうだよ、それだけでも、飲んで」
「…ありがと、」
そう言って元貴はマグカップを手に取り、口につける。
美味しい、と元貴は静かにいった。
安心して、僕もココアを口に含んだ。
優しい甘さが、舌に張り付く。
「…涼ちゃん、」
肩に重さを感じて横を見ると、元貴が肩に寄りかかっていた。
まつ毛に縁取られた目は焦点が合わず、どこをみているのかわからない。
「元貴、」
「…ん、」
「寝ても、いいよ」
僕がそう言うと、元貴はうん、と頷いて、
そのまま目を閉じる。
規則正しい寝息が聞こえ出し、
僕も深い眠りへと引きずり込まれる。
♡&💬よろしくお願いします
コメント
4件
久しぶりの優しい世界… 綺麗だよ、、、 続き💙さん出てくるの怖いな、、 幸せが続いてほしいよ、、、
続きは夜だします 大森さんが夢見ます 若井さん出てくるのでお楽しみに。 この作品もたくさん♡押して感想書いてください、
かわいいですね、あたすも一緒に寝させてください(??)